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パ覇権のカギを握る西武・雄星。プロ初の2ケタ勝利、絶好調の理由

パリーグの優勝争いもついに終盤。おそらく最後の最後まで目が離せない展開となる。今後の両チームの日程をにらむと、ライオンズ戦、特に菊池との対戦がポイントとなりそうだ。

2016/09/16

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メジャーのエースの投球を見て学んだこと

 それは、今季、開幕投手に抜擢されてから正捕手の炭谷銀仁朗と積み上げてきたものだった。

 今年5月あたりから、菊池は少しずつ投球のスタイルをストレートとスライダーのパワーピッチングから柔軟性のあるスタイルを身に付けつつあった。炭谷が「広島のジョンソンのようなピッチング」と語り、剛と柔をうまく組み合わせたスタイルが目指してきたものだった

 力で押すところ、交わすところを場面によって使い分ける。
 捕手はこの2試合、森へと変わったが、それでも炭谷と取り組んできたピッチングを忘れることなく、森へ自身の投球意図を伝える姿勢は菊池が投手として、一つの階段を上がったことの証だ。

 9日の試合後、森とのやり取りをこう語っている。

「前回、今季初めて森と組んだんですけど、今日まで色々話をして、カーブを使いたいと伝えました。森は、ブルペンで僕のカーブが抜けたりすると、試合では使いたがらないんですが、『修正するから』と伝えました。軸はストレートとスライダーですけど、上手くカーブを使えるようになってきました」

 かくして、菊池は成長の真っただ中にある。17日の楽天戦では、おそらく則本と投げ合いになるだろうが、そのあと最終盤にやってくるソフトバンク、日本ハムとの試合は、おのずと彼の野球人生には重要になってくる。

 だが、本来の論点はそこではなく、優勝を争う2チームが、この菊池と対峙しなければいけないということなのである。

 今季、菊池は日本ハム戦2試合に登板、1勝1敗の五分。一方、ソフトバンク戦は一つの登板もない。

 それがどう影響するかは勝負してからしか分からないが、優勝へ向け一つも負けられないソフトバンクや日本ハムにとって、菊池がどう立ちはだかるのかは、非常に興味深い。

 昨季、クライマックスシリーズ進出を賭けた試合で先発して敗れた菊池は、シーズンが終わるとすぐ、アメリカへ飛んだ。ポストシーズンのロサンゼルス・ドジャースとニューヨーク・メッツ戦を観戦。クレイトン・カーショウ、ザック・グレインキー、ジェイコブ・デクロム、ノア・シンダーガードといったメジャートップの投球を目の当たりにして、菊池が心を新たにしたのは「カーブとチェンジアップの有効性」だった。「一流のピッチャーは、みんなカーブやチェンジアップを投げていた」と菊池は感想を寄せている。

 あれから1年、チームは残念ながらCS進出すら果たせない状況だが、菊池は着実にステップアップした。2ケタ勝利、3年ぶりの完投に加えて、規定投球回をクリアしてシーズンを終えようとしているのだ。

 シーズンクライマックス。
 菊池が優勝を争う2チームにどう立ちはだかるのか。
 その戦いがVS千賀、VS大谷となれば、観る側はたまったものじゃない。

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