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西武時代の輝きを取り戻したオリックス中島宏之。「やっと前みたいな感じに」【どら増田のオリ熱コラム#83】

オリックスの中島宏之が7月30日に一軍に昇格して以来、打率は.349、2本塁打、22打点(9月5日現在)の好成績を残し好調さを取り戻してきている。昨年オリックスに電撃入団した中島だが、この2年間は怪我による不振や新天地になかなか馴染めないなど様々な苦労があった。

2016/09/08

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前半戦絶不調もファームで下半身を強化

 しかし、今シーズンも中島には昨年を超える試練が待ち受けていた。
 万全の状態で迎えたはずのシーズンだったが、安達了一が病気で出遅れたこともあり、開幕当初から負担が多いショートで出場したことも影響したのだろう。これはオープン戦で福良淳一監督も心配していたことだった。

 3・4月の打率が.259、右ふくらはぎを痛めた5月が.172、6月は.244と絶不調。6月5日のヤクルト戦(神宮)で第1号本塁打、同8日の中日戦(京セラ)ではレフト5階席に飛び込む特大の第2号を放ったが、その後、再び不調に陥り同26日に今季3度目にして、はじめて怪我ではなく、不調が理由で登録を抹消された。

「やっと普通な感じというか、足も使えるような前みたいな感じになりました」

 登録抹消から1カ月以上が経過した7月30日に昇格した中島はとてもいい表情をしていた。

 中島が話すところの“前みたいな”感じとは、オリックスを相手に打率.400を打っていた2012年当時のことを指している。逆方向に長打を打つあの頃の中島はオリックスにとって、天敵中の天敵だった。ファンが期待しているのはあの頃のナカジの復活である。

「ファームではとにかく走りましたね。ファームには僕と同世代がたくさんいるんですけど、下も勝てていなかった(断トツの最下位)。だから、試合前におっさん達で集まって、『今日は俺たちががんばって絶対勝つぞ』って言って、試合に臨んで勝ったりもしました。勝つというのはこういうことなんやと、僕もそうだしファームの選手が感じることができたのも大きかったですね」

 さらに、中島は、現在の好調の理由について、こう分析している。 

「あまり打ちに行かないようにしました。これまでは、チームが勝ててないですし、ここで俺が打たなあかんとか、変に背負っちゃって力が入りすぎていたんですよね。力みがあったから上下のバランスが悪くなっていた。いまは楽な気分で打席に立つようにしています」

 北川博敏打撃コーチも「スイングスピードが戻ったよね。下半身を使えるようになった。これからまだまだやってもらわないと困ります」と現在の中島の状態について太鼓判を押すとともに、残りシーズンのさらなる奮起に期待を込めていた。

 中島に続いて未来の主砲候補である吉田正尚や大城滉二らバッティングに期待ができるルーキーも昇格したことにより、ここ数試合のオリックス打線は純国産ながら厚みを増してきた。

 9月2日の日本ハム戦(ほっと神戸)では「みんなが繋いでくれたので、打ってヒーローになってやろうと思った」と日本ハム石井からレフトへ逆転タイムリーを放ち、4日の同じく日本ハム戦(同)では7回に1点差に迫るタイムリーを放ち、6点差を追いつくミラクル劇を演出した。

 中島の“復活宣言”はチームもファンもずっと心待ちにしていたことだが、一番それを望んでいたのは中島本人であったことは言うまでもない。何より表情の明るさが好調さを表している。

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