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東條、リハビリ中に見つけた感覚。MLB屈指の守護神が、新人1番の一軍昇格きっかけに【マリーンズ浦和ファーム通信#19】

マリーンズの2015年ドラフト組で一番に一軍昇格を果たしたのは、キャンプで最初に離脱した東條大樹だった。

2016/05/13

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千葉ロッテマリーンズ



一軍のマウンドで得た収穫

 迎えた4月19日。一軍の本拠地QVCマリンフィールドにて行われた二軍戦(埼玉西武戦)には伊東勤監督をはじめ一軍首脳陣がずらりと勢ぞろいしていた。東條は4番手で登板をすると打者4人を2三振の無安打で抑えきった。右のサイドから投じられるボールはMAX146キロを計測。遅れをとった分を取り返そうと必死のアピールだった。

 翌20日。二軍での試合に備えて、ロッカーでくつろいでいるとコーチに呼ばれた。山下徳人二軍監督に一軍行きを告げられた。予想だにしていなかった早い昇格だった。マリーンズの新人では初の公式戦一軍昇格。キャンプでの新人リタイア1号となった男が、最初に一軍への切符を手に入れたのだ。

 デビューは5月1日の北海道日本ハム戦(QVC)。2点ビハインドの場面だった。不思議と緊張をしなかった。初めてリリーフカーに乗った。ライトスタンドからの「東條コール」がはっきりと聞こえた。名物の海風も心地よく感じた。夢にまで見た一軍のマウンド。初回は無失点で切り抜けたものの、2イニング目に3失点。結果を出すことができずに二軍落ちとなった。それでも東條は前を向いていた。自分になにが足りなかったのか。今後、どう取り組めばいいのか。一軍の舞台での1試合での登板だったが、得るものはあった。

「自分の持ち球の一つであるスライダーを、しっかりと投げ切ることができれば通用することが分かった。課題はコントロール。プロではしっかりと早いカウントでストライクをどんどん取っていかないと生きていけない。他にもいろいろと勉強になりました。今はその課題を思い出して一つひとつ取り組んでいます」

 ロッテ浦和球場。背番号「20」は必死の日々を送っていた。練習が辛いと思うことはない。足を痛め、ベッドに横たわることしかできずに悔し涙を流したことを考えれば、グラウンドで目一杯、動ける日々は幸せだ。目指すは映像で見入ったレッドソックスのクレイグ・キンブレルのような投手。マウンドでの立ち振る舞いから威圧感を醸し出せる投手だ。いきなりの挫折を乗り越えた男だからこその夢は広がる。貴重な右のサイドハンドとしてマリーンズセットアッパー陣の一角を狙う。

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