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【MLB】危険?危険ではない?『2塁へのスライディング』――新ルール解釈の違いで、審判団の判定が議論に

今季よりMLBでは危険なスライディングを禁止した新しいルールを導入した。しかし、新ルールを巡り、議論を呼ぶ判定が下った。

2016/05/04

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今季から厳格に適用

 2016年、ダブルプレーを防ぐための『危険なスライディング』を禁止した、新たなルールが設けられた。MLB公式ルール6.01(j)として追加されたルール、通称『チェイス・アトリー・ルール』だ。

 2塁ベース上での危険なスライディングはこれまでも幾度かクローズアップされたが、新ルール導入の引き金となったのが、昨年の10月10日のプレーオフだ。
 ドジャースの2塁走者アトリーがダブルプレー崩しで、メッツの遊撃手ルーベン・テハダに向かって激しくスライディング。大きく体制を崩したテハダは腰のあたりから落下、地面に激しくたたきつけられた。テハダは右足の腓骨骨折の重症を負った(その後、アトリーは2試合の出場停止を言い渡されたが3月にMLBが処分取り下げ)。

 新ルールの概要は以下の通りとなっている。

・走者はベースの手前でスライディングを開始すること。
・走者はスライディングの後、手もしくは足がベースについていること。
・ホームベース以外の塁では、走者はスライディング後にベースに留まること。
・走者は、野手との接触をする目的で走路を変更することを禁じ、ベースに向かってスライディングすること。

 今季、審判たちはすでに『危険なスライディング』から選手を守る新ルールを厳格に適用している。

 しかし、4月30日のホワイトソックス対オリオールズ戦で、議論を呼ぶ判定が下った。

 3回裏無死1塁2塁。オリオールズの打者のジョーンズが打った打球はサードへのゴロ。
 三塁手のフレイジャーは難なくゴロをさばき、そのまま三塁を踏み、まず1アウト。そしてそこからセカンドへ送球し、1塁走者がセカンド上でフォースアウト。
 二塁手のロウリーはファーストへ送球する態勢に入ったが、間に合わないと判断し、送球せず。
 しかしその際、1塁走者であったマチャドは、スライディング時に左手を大きく伸ばし、二塁手であるロウリーの左足をタッチ。

 これに対して、すかさずホワイトソックスのベンチュラ監督が抗議。新ルールが適応されるべきスライディングであると訴え、チャレンジを行使。ビデオ判定に持ち込まれた。

 しかし審判団が出した結論は、『新ルールは適応外』。もちろん納得のいかないベンチュラはさらに抗議。結果的に退場処分となった。

 この一連のプレーに関して、現地では議論が噴出した。

『Sports Illustrated』のクリフ・コーコラン記者は、Machado’s illegal slide exposes new rule’s inconsistent enforcement.(マチャドの違反したスライディングは、新ルールの矛盾を明らかにした)と題し、持論を展開。

Machado reached out in the opposite direction of the base and grabbed the second baseman’s ankle as he slid by.
(マチャドは二塁ベースとは反対方向に腕を伸ばし、スライディングの際に二塁手の足首を掴んでいる)と報じ、ダブルプレーを防ぐための接触と指摘。明らかに新ルールを適用すべきプレーであると報じている。

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