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チーム低迷でも「値引きせず」。高級ブランド会社と同様のチケット販売戦略から見る、スポーツビジネス【経営学から見たカープ】

どんなに成績が低迷してもチケットそのものの値引きをしない。その一方でチケットを買うに見合った独自性・魅力性を担保する。ブームを客観的に見て、次の戦略に打って出る。現在のスポーツビジネスに求められる姿勢ではないだろうか。

2016/04/04

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成績低迷時もチケット代は値下げせず

 今年も広島東洋カープのチケットは、開幕前から売れ行き好調だった。その販売戦略の独自性は、ずばり「値引きをしない」ことにあるのではないか。
 
 もちろんファンを集客するために値引きをすることは重要な手段の一つであり、しばしばスポーツビジネスの世界でも用いられる。
 Jリーグではアルビレックス新潟が、町内会へ無料券を配り、スタジアムへの集客を成功させた。いわゆるプロスポーツ不毛の地で、コミュニティのつながりをうまく利用した事例である。
 
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 しかし、カープ球団はそれを行わなかった。表の観客動員数をみると、成績が低迷し、施設の老朽化や球界再編問題が起こった2003年は94万人、04年は98万人と100万人を切り、球団経営も非常に厳しかった。さらにその姿勢にファンからも非難を浴びたが、頑として値引きを行わなかった。球団としての経営哲学を貫いたのである。
 
 私はこの球団の姿勢が現在の好調につながっているのではないかと考える。
 確かに値引きを行えば、一時的に人は集まるかもしれない。しかし、一度、値引きした商品の価値をなかなか取り戻すことはできない。
 
 これについて広島東洋カープ入場券部長の島井誠氏は「値引きは一度してしまうと、商品価値が下がってしまう。そのようなことは多少経営が苦しくてもうちはしません。また、集客することを目的とした無料のグッズ配布もしたことありません。昨年、他球団の応援をもとに作ったグッズを初めて配布しましたが、それは目的が違います。ファンの方に純粋に楽しんで応援してもらいたいという意図で配りました」と答えている。
 
 カープの独自のチケット販売戦略の中で『プレミア化』『コミュニケーション』『ロイヤリティ』の3つがキーワードになるのではないかと考えた。

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