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年間指定席継続率99%。今季も開幕前からチケット販売が好調の理由【経営学から見たカープ】

今季も広島東洋カープのチケット販売が好調だ。すでに昨年の総観客動員数の約6割以上がすでに売れている。

2016/03/24

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年間指定席の購入者の大半が広島を中心した企業

 メジャーリーグや日本の人気球団は観戦者の約6割以上が、年間でチケットを購入している。また、同じエンターテイメント産業であるアミューズメントパークなども年間パスが大きな収入源となっており、この部分は非常に重要である。
 
 カープもこのような状況に近づいているが、プロセスは全く違う。被爆から復興し、低迷期を支えたファン文化があるからだ。そのファン文化があるからこそ、今のカープがある。球団はそのようなファンを大切にするために、継続者にはチケットの優先的な予約権やサービスを行っている。新規のファン層にサービスを厚くしているように見えるが、実は長年のコアファンに手厚くすることは注目すべきポイントである。
 
 この年間指定席の購入者の6割~7割が、広島を中心とした企業であることも特徴的である。福利厚生の一環として、購入する企業もあるが、社交場として購入する企業が多い。日本唯一のボールパークさながらに、チケットがプレミア化している場としての付加価値は、ビジネスを行うのにも魅力的である。島井氏は「ゴルフ場の交流をマツダスタジアムに移して試合観戦をして親睦を深める方も多いのでは」とも語っている。
 
 企業もカープの付加価値を認めている証拠である。しかし、この付加価値の創造はすぐに行われたわけでない。これには、カープ独自の戦略があった。この戦略について次回、探っていきたい。

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