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前人未到“夢の打率4割”達成する現役選手はいるか?【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、NPBで4割打者に最も近い選手についてだ。

2016/03/07

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NPB史上いまだ達成者がいない打率4割

 打率4割は、これまで多くの打者が挑戦してきたが、NPBでは一人も達成していない。
MLBでは20世紀以降、8人が13回記録しているが、1941年のテッド・ウィリアムスを最後に記録していない。
 近代野球では不可能な記録のようにも思えるが、現役選手でその可能性を探ってみたい。

 1946年以降のNPB打率20傑。ISODは安打以外の四死球で、どのくらい出塁しているかを測るもの。出塁率-打率で求めることができる。

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 1位は1986年の阪神、ランディ・バース。阪神が21年ぶり3度目のリーグ優勝した85年から、バースは2年連続で三冠王に輝いた。
 2位、3位はイチロー。打率.380以上を2回も記録したのはイチローだけだ。MLBに移籍する直前の2000年は、ケガで一時離脱も、自己最高の打率.387をマークした。
 ちなみに1994年は、当時NPB最多安打となるシーズン210本安打を放った年だ。

 以下、張本、大下、クロマティと続く。上位6人の共通点は、すべて左打者だ。
 右打者の最高打率は、内川聖一が横浜に所属していた2008年に記録した.378。左打者は右打者よりも一塁までの距離が近く、また右投手のほうが左投手よりも多いため、左打者が有利だと言われるが、このデータはそれを証明しているようだ。
 4割打者が出るとすれば、まず「左打者」であることが条件になるだろうか。

 実際にMLBの4割打者も8人のうち5人が左打者だ。
 現役では昨年のソフトバンク、柳田悠岐が17位になっている。彼も左打者だ。

 昨年、柳田悠岐と西武の秋山翔吾が激しい首位打者争いを繰り広げた。秋山は柳田よりも5試合多く出場し、34本多く安打を打ちながら打率で上回ることができなかった。
打席に立つ回数が増えれば、安打数も多くなる一方で凡打も必然的に増えてしまう。シーズン終盤になって打率をさらに上げようとするときに、打数が多いのは不利だ。

 NPBでは200安打を記録した選手は6人(7回)いるが、打率ランキング20傑に載っているのは1994年のイチローだけだ。
 安打数を追いかけることと、打率を上げることは似て非なる目標なのだ。あくまで個人打席を考えた場合、打率をキープし、効率よく上げるためには「打数」を増やさないことが必要だ。つまり「四球」を選ぶ必要があるのだ。
 このランキングに並んでいる選手の多くは、ISOD=四球による出塁率が、リーグの平均的な数字である.060を上回っている。
 高打率をマークするには四球を選ぶ能力、選球眼が必要なのだ。

 打順でいえば、リードオフマンよりも好機に打席が回りやすく、歩かされることが多い中軸打者のほうが良いと思われる。
 年齢のことも考慮すべきだ。20人の平均年齢は30.1歳。打者として円熟味を増す20代の終わりから30代初めの年齢が、高打率を残しやすいと言えるだろう。
 また、打率を上げるためには俊足であるほうが望ましい。きわどい当たりを何本ヒットにできるかが分かれ目になることもある。

 1994年のイチローの記録は21歳のときのもの。一番打者であり、唯一200安打もマークし、ISODも.060と高くなかった。まさに例外中の例外だ。これは、イチローという打者の異能ぶりを如実に示しているが、あまり参考にはならないだろう。

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