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2014年の阪神を振り返る~補強の成功、9月の踏ん張り、そしてソフトバンクとの差

2014年、阪神は初めてクライマックスシリーズを突破し、セリーグ2位から日本シリーズ進出を果たした。特にファイナルステージでの対巨人4連勝は圧巻。溜飲を下げた虎ファンも多かったはずだ。しかし、日本シリーズでは福岡ソフトバンクを相手に1勝4敗と、力の差を見せつけられてシーズンを終えた。球団創立80周年を迎える来季は、リーグ優勝と日本一が至上命題となる。

2014/11/10

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今年はCS突破で十分!?

 日本一にならなくてよかった――。
 
 そう思った阪神ファンは少なくなかったはずだ。実際、クライマックスシリーズ(CS)を見ながら、複雑な思いにかられたというファンの声を聞いた。
 
「試合を見ているときは、心から応援しているんです。勝ってほしいし、勝って喜ぶ選手の顔を見たいから。でも、セリーグで2位だったのに、このまま日本シリーズに行って、もしかして日本一になったりしたら……それでいいのかなって思うんですよね」
 
 CSという制度がある以上、レギュラーシーズンで2位だろうと3位だろうと、そこから勝ち上がって日本一になるのは正当なことだ。頭ではそれを理解できても、気持ちがついていかない、といったところだろう。
 
 そんなファンの気持ちを知ってか知らずか、阪神は日本シリーズで福岡ソフトバンクに1勝4敗と敗れ、85年以来の日本一はならなかった。シリーズに限っていえば、03年から敵地で9連敗。究極の〝内弁慶〟を露呈してしまったが、リーグ優勝と内弁慶克服は来季への宿題にすればいい。とりあえず今年はCSを突破し、「短期決戦に弱い」というレッテルを外せたのだから、それで十分だ。
 
 CSの阪神は本当に強かった。ファーストステージでは昨年、甲子園で2連敗を喫した広島を相手に2連勝とリベンジ。ファイナルステージではリーグチャンピオンで1勝のアドバンテージがある巨人に4連勝してみせた。阪神ファンにとって、巨人をぐうの音も出ないほどやっつけること以上に痛快なことはない。
 
 CS突破の原動力となったのは投手陣だ。ファーストステージ初戦はメッセンジャーと呉昇桓が9回完封リレー。第2戦は能見篤史、呉昇桓、福原忍が延長12回までゼロを並べた(規定により延長12回表コールドゲーム)。
 
 この無失点記録はファイナルステージ初戦で先発・藤浪晋太郎が7回に1点を失うまで続き、CS6試合でのチーム防御率はなんと1.42。抜群の安定感は数字が証明している。
 
 なかでも獅子奮迅の活躍を見せたのは、今年から加入した新守護神・呉昇桓だ。CS全試合に登板して、失点は最終戦の2点のみ。しかも、ファーストステージ第2戦では3イニングを投げ切ったのだから恐れ入る。当然、CSのMVPに輝いた。打線で光ったのは同じく新助っ人のゴメス。CS6試合で8打点をマークし、セ・リーグ打点王(109打点)の力をまざまざと見せつけた。
 
 レギュラーシーズンは2位に終わった阪神だが、何度も首位・巨人に肉薄し、「失速」が代名詞のようになっていた9月に踏ん張れた要因のひとつには、この2人の新助っ人と、来日5年目のメッセンジャー、マートンという外国人4選手の活躍があった。

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