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ソフトバンク、選手発掘の眼は中南米にも。自ら道を切り開き、ドミニカで奔走する担当スカウト

ドミニカ共和国で選手発掘に日々奔走するのが、ホークス中南米担当スカウトの萩原健太氏だ。

2016/02/08

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高橋康光



スアレスは社会人1位クラスの実力の持ち主

 そんな萩原氏に中南米担当スカウトの仕事について質問を投げかけてみた。
 
――スカウト就任1年目となった2015年はどのような活動を行っていたのですか?
 
「ドミニカでウインターリーグをチェックし、2月にプエルトリコにカリビアンシリーズ視察。その後宮崎キャンプを訪問のため、2週間ほど日本へ帰国しました。そして春先から秋口にかけてはメキシコリーグをかなり回っていました。もちろん国も大きいですし、16球団ありますから、事前にめぼしい選手をリストアップしていきますが、実際に現地で見るとそうしたリスト外の選手にも気になる選手が出てきたりしますので、そうした予定外の選手を追いかけて行ったりすることもありました。
 
 秋からは再びドミニカのウインターリーグです。途中キューバにもチェックに行っています。球団にはリストアップした選手や、現地の情報を適宜報告しています」
 
――そうした中で発掘したのが、メキシコリーグでプレーしていたロベルト・スアレス投手(昨年11月に契約)ということですね。
 
「そうですね。初めて見たときから光るモノがありました。155kmのストレートをきちんとコントロールできますし、何より性格が真面目で日本向きです。24歳とまだ若く、ほとんどプロ経験がない中でこれだけのピッチングができるのは魅力です。年齢を考えても、社会人のドラフト1位クラスと遜色ないポテンシャルだと思っています。さすがにリーグ終盤には彼をチェックするアメリカのスカウトも増えてきていましたが、それに先んじて契約できてラッキーです」
 
――選手獲得にあたり留意していることはありますか?
 
「打者でいうなら変化球への対応力、タイミングの取り方を見ています。直球をどこまで飛ばすかということは気にしないですね。凡打やファールの内容にも注目しています。たとえ崩されたとしてもきちんとスイングできていたのかどうかというのは大事なポイントだと思います。
 
 投手は武器がほしいです。まとまったピッチャーは日本にもたくさんいますから、彼らにないモノを見つけています。そしてある程度の制球力です。日本の打者は振り回してこないですし、見極めてきます。四球で自滅したり、イライラしたりという投手は日本では厳しいと思います。
 
 もちろん性格面も重視しています。
 球団通訳時代から色々な外国人選手を見てきましたが、日本で成功している外国人選手は総じて真面目です。みんなとは言いませんが、一般的にアメリカ人選手のほうが日本野球を下に見ている感じが強いですね。アメリカと比べてボールが違う、マウンドが違うと神経質にもなりがちです。そういう選手に限って失敗しています。
 
 その点ラテン系の選手は素直です。
 元々、恵まれない環境の中でプレーしている選手が多いですから細かい違いに不平不満は言わないですし、日本の野球を受け入れようとします。
 ただラテン系の選手は、一度気持ちが切れたらそこから再び這い上がってくるのは難しい。なので、うまくモチベーションをコントロールして、信じて使ってあげてほしいというのが個人的な願望です。
 
 これは蛇足ですが、日本も何チームかはドミニカのウインターリーグへスカウトを派遣していますが、韓国のほうがより熱心ですね。今季も5~6球団は来ています。彼らは、外国人選手獲得のためには意外とお金を使いますし、近年では韓国球界に優秀な選手を先んじて獲得されるケースも目立っています。ここでのスカウト競争に関しては韓国にリードされているのではないでしょうか」

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