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ショートゴロまで横取り!? データが示す、長嶋茂雄のすごすぎる三塁守備

ON時代を築いた一人、長嶋茂雄読売巨人軍終身名誉監督は、打撃のみならず守備でもファンを魅了したことは野球ファンならご存知のことだろう。実際のデータからもその守備範囲の広さに驚かされる。

2015/12/28

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長嶋が正三塁手になって広岡の守備のデータに変化

 1956年と今の主要な遊撃手の守備成績を比べてみよう。
 
1956年
・広岡達朗(巨人)93試合147刺殺337補殺16失策 守備率.968 RF5.20
・吉田義男(阪神)127試合204刺殺436補殺17失策 守備率.974 RF5.04
・豊田泰光(西鉄)147試合277刺殺440補殺40失策 守備率.947 RF4.88
 
2015年
・田中広輔(広島)141試合212刺殺476補殺22失策 守備率.969 RF4.88
・安達了一(オリックス)139試合203刺殺449補殺16失策 守備率.976 RF4.69
・坂本勇人(巨人)130試合190刺殺415補殺11失策 守備率.982 RF4.65
 
 遊撃手の守備機会は今も昔も大きな変化はないと考えられる。
 
 広岡は、これも名人と言われた阪神の吉田義男よりも広い守備範囲を誇っている。現代の選手と比べても、守備範囲は広かった。内野の要として活躍したが、1958年に長嶋茂雄が入団し、正三塁手になると、広岡の守備成績は微妙に変わっていく。
 
 長嶋が入団する前後8年の、巨人の三遊間のRFの推移を見ていこう。
 
1954年 ・三塁手 手塚明治RF2.65 ・遊撃手 広岡達朗RF4.79
1955年 ・三塁手 広岡達朗RF3.16 ・遊撃手 平井三郎RF4.66
1956年 ・三塁手 土屋正孝RF3.18 ・遊撃手 広岡達朗RF5.20
1957年 ・三塁手 土屋正孝RF3.39 ・遊撃手 広岡達朗RF5.08
1958年 ・三塁手 長嶋茂雄RF3.95 ・遊撃手 広岡達朗RF4.39
1959年 ・三塁手 長嶋茂雄RF3.85 ・遊撃手 広岡達朗RF4.89
1960年 ・三塁手 長嶋茂雄RF3.69 ・遊撃手 広岡達朗RF3.99
1961年 ・三塁手 長嶋茂雄RF3.83 ・遊撃手 広岡達朗RF4.27
 
 長嶋が正三塁手になった年に、遊撃手広岡のRFの数値は激減している。翌59年は盛り返すが、60年にはまたRFが激減している。
 
 広岡はその後、遊撃守備のRFが4.5を超えることがないまま、1966年に引退。スーパースター長嶋茂雄の前にかすんでしまった印象だ。
 
 遊撃の広岡達朗が打球を処理しようと身構えていると、三塁の長嶋がそれを横っ飛びにとってアウトにした、とはよく聞く話だが、このデータはそれが本当の話だったことを如実に表している。

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