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先発の真の実力は? 今季打線の援護に恵まれた投手、恵まれなかった投手【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は援護点についてだ。

2015/12/19

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援護に恵まれず勝ち星が伸びなかったメッセンジャー

 次にセリーグを見ていこう。

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 ヤクルト勢が上位。ヤクルトの防御率はリーグ4位の3.31だったが、打率は1位の.257。優勝の要因の一つに、強力打線の存在があげられる。
 石川・小川の先発陣も、打線の援護を受け、盤石なリリーフ陣のおかげで勝ち星を積み上げることができた。

 ロッテもそうだったが、同じチームでも援護点は同じとは限らない。
 巨人はマイコラスと高木勇、ポレダ、菅野とは1点以上の差があった。マイコラス自身も防御率1.92と優秀でかつ援護点も多かったため、最高勝率.813のタイトルを取ることができた。

 反対に不運だったのがメッセンジャー。
 シーズン前半は不振のために一度は二軍落ちしたが、復帰後は好投した。しかし援護率が防御率を下回る2.37だったために、9勝どまり。5年連続二けた勝利はならなかった。

 援護点が多い投手はテンポが良くて打線が活気づくからだという説があるが、投球内容と援護点に相関関係があるとは言い切れないだろう。ローテーションとの兼ね合いもある。

 強力打線をバックに投げられば、援護点が増える傾向にあるのは間違いないが、それ以上のことは断言できない。やはり、投手の勝ち星は「実力+運」といえる。

 それを超越するには、大谷翔平のような抜群の力を備えるほかはないのだろう。

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