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張さんが抜け、富田や高橋一三が活躍した大沢ファイターズ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#18】

今年は富田勝氏、高橋一三氏ら、故・大沢監督第一次政権時代の名選手が相次いで亡くなった。

2015/12/11

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親分と張本さんの面白い関係

 大沢親分は東映・日拓時代の主力を次々にトレードに出し、手駒で「日本ハム」のチームカラーを作っていった。ニュアンスは2000年代、ヒルマン監督が東京時代の選手を切っていき、ヒチョリや田中賢介、高橋信二ら鎌ヶ谷組に世代交代していったのに似ている。まぁ、そうした血の入れ替えが必要になる時期がある。
 
 ただね、(世間の人はご存知ないだろうけど)僕はTBS『サンデーモーニング』で長い間、大沢親分と張本さんが仲良く「喝!」とか「あっぱれ!」とかやってるのがちょっと面白かった。元をたどれば「切った監督」と「切られた選手」だ。
 
 が、この移籍の真相に関して今年、張本さん自身から興味深いエピソードが語られた。 『週刊文春』の人気連載「阿川佐和子のこの人に会いたい」、対談ゲストに張本さんが登場したのだ。
 
 東映・日拓・日本ハムで不動の4番打者だった張本さんは新しく来た監督(大沢さん)とソリが合わず、移籍を考えていたらしい。で、阪神の吉田義男監督と話ができて、タイガース入りが内定していたのだ。
 
 が、ある日、財界の大物から呼ばれ、王貞治さんと二人、その豪邸に出向く。大物氏は「張本君、巨人に入りなさい」と突如言い出し、その場で阪神・吉田監督に電話をかけ断りを入れてしまう。張本さんはあっけにとられたそうだ。そうすると合図か何かあって、次の間に控えていた巨人・長嶋監督が出てくる。もうね、時代劇みたいでしょ。王と張本は長嶋監督の前で活躍を誓うのだった。
 
 だから、ひとつ違っていたら青のピンストライプを着ていたのは阪神の、例えば佐野仙好、古沢憲司だった可能性もあり得たらしい。
 
 色んな力関係や偶然がグラウンドに物語を作り出す。「張さんが抜け、富田や高橋一三が活躍した大沢ファイターズ」をありありと思い出す。ありがとう。さようなら。
 
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