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プレミア12から見えた、15年間変わらぬ国際大会の課題と「侍ジャパン」の未来

第1回のプレミア12は、一定の成功を収めたと言える。今大会を通じて、今後の国際大会はどうあるべきか。また「侍ジャパン」の課題はどこにあるのだろうか?

2015/11/28

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宮野敦子



タフな国際試合の経験を

 現地でも、同様の見方をしたWBSC(世界野球・ソフトボール連盟)の関係者に出会ったが、全日本野球協会の柴田 穣事務局長によれば、オリンピックの野球に年齢制限を設けることはできないそうだ。

「サッカーのように、ワールドカップをはじめとする国際大会が全世界に認知されている競技なら、オリンピックに年齢制限をつけてもIOC(国際オリンピック委員会)は何も言わない。でも、これから復帰させていただこうという野球が同じ方針を打ち出せば、ベストアスリートを出場させないならお引き取り下さいと言われかねません。だから、あくまでベストアスリート、つまりメジャー・リーガーを出場してもらう努力を続けなければならないのです」

 これは、1997年にプロ選手の国際大会への出場が容認され、2000年のシドニー五輪へ向かう際の課題と何も変わっていない。それから15年間で1ミリも前進していない問題が、あと5年足らずで解決するのだろうか。

 そうした世界の野球を取り巻く環境の中で、日本は『侍ジャパン』という統一名称の下に全カテゴリーの代表チームを集約した。

 これは、ファンの注目度を見ても、若い世代の視線が世界へ向くことを考えても素晴らしい取り組みだ。だが、プロ選手を代表に招集するという作業に関しては、様々な条件や制約が伴うことは避けられない。表現は悪いが、小久保裕紀監督の一存でチームを編成するのは困難であり、従って選考メンバーという視点から戦術や選手起用を評するのは難しい。

 ただ、小久保監督の就任後は打線の軸として経験を積んでいる中田 翔(北海道日本ハム)が目覚ましい活躍を見せる一方、日本が誇る大砲の中村剛也(埼玉西武)は故障もあって本領を発揮できなかった。

中田 翔選手

 つまり、国際舞台への対応力を高める選手強化は不可欠であり、2017年のワールド・ベースボール・クラシックで世界一を奪還するためには、できる限りタフな状況で国際試合をこなしていくことも求められる。

 そうした点で、来年も3月と11月に予定されているという国際試合には注目したい。

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