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2014年ドラフト総括「識者はこう見る!」~大学生・高校生編

10月23日、「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が都内で行われ、105名の選手がプロの門を叩いた。有原航平(早大)や安楽智大(済美高)、高橋光成(前橋育英)など注目選手に話題が集まった今年のドラフトだが、見るべきポイントはいくつもある。下位指名で活躍や大化けが期待できる選手は? 2回目は大学、高校編だ。大学野球を中心としたアマチュア野球に造詣の深いスポーツライター高木遊氏と、高校野球を中心に徹底した現場主義で取材を重ねるスポーツジャーナリスト、田尻賢誉氏それぞれに今ドラフトを総括してもらった。

2014/10/26

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大学時代にコンスタントに成績を残した選手が上位指名

 オリックス1位の山﨑福也(投・明治大)は、六大学通算20勝をあげた左腕。長身で素材は間違いありません。大学では昨シーズンに春秋連覇、高校でもセンバツ準優勝(日大三高)と実績も抜群。今年はあまり調子がよくありませんが、高校、大学と強豪校で部内の競争に勝って実績を残している点も高ポイントだと思います。
 
 横浜の1位、山﨑康晃(投・亜細亜大)は、勝てる投手という意味では申し分ありません。ただし、直球にいいものを持っていながら、先発したゲームでは変化球を多投する傾向があります。大学レベルではゲームをつくる能力に異論はありませんが、プロでは中継ぎや抑えが向いているかもしれません。
 
 ロッテが単独1位で指名した早稲田大のキャプテン中村奨吾(内)は、大学ナンバーワン内野手。チーム内に右の内野手が少ないことを考慮しての指名と思われます。そうした理由から、打撃にやや課題はありますがひと目見ていい選手とわかる中村を一本釣りで狙ったのではないでしょうか。
 
 大学生の上位候補選手がケガや不調で苦しみ、各球団とも指名を絞り込めないという話もありましたが、2位や3位で指名された選手に好素材が揃いました。西武2位の佐野泰雄(投・平成国際大)、同じく3位の外崎修汰(内・富士大)、巨人2位の戸根千明(投・日本大)。これらの選手は実戦的で、全国舞台などでの実績こそ際立っていないですが、ポテンシャルは素晴らしいといえるでしょう。
 
 ヤクルト2位の風張蓮(投・東農大北海道)は無名校(岩手・伊保内高)時代から力強い直球が注目されており、横浜2位の石田健大(投・法政大)や中日2位の浜田智博(投・九州産業大)は風張ほどではないですが、左で力強い球を投げられるという希少性が高く評価されたようです。
 また、京都大の田中英祐(投)もロッテから2位指名と高い評価を受けました。田中は投手層の薄いチームということもあり、かなり投げていましたが、大きなケガもなく常に成績を残した投手です。京大出身という価値ではなく、投手としての能力を評価されての2位指名だと思います。
 
 そういう意味では、コンスタントに成績を残した選手が上位指名を受けたという印象があります。
 
 また、右の外野手が手薄になっている楽天は、3位で福田将儀(外・中央大)、4位でルシアノ・フェルナンド(外・白鴎大)を指名しました。福田は走攻守3拍子揃ったアベレージタイプ、フェルナンドはパワーがあって性格的にも一生懸命な選手です。補強ポイントを踏まえて、狙いを定めた指名を行ったと思います。

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