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プロ初勝利、ファームタイトル2冠に自信。木村優太、新球シュートで飛躍を誓う2016年【マリーンズ浦和ファーム通信#8】

一軍での活躍を夢見て、日々二軍の浦和球場で汗を流す選手を、マリーンズ広報がクローズアップする連載『マリーンズ浦和ファーム通信』。第5回目は、今季イースタンリーグで木村優太投手だ。

2015/10/07

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千葉ロッテマリーンズ



シュートがもたらす効果

 これまでストレートを軸にスライダー、フォークでの打ち取るスタイル。右打者には攻めることができても左打者からすれば怖くない印象を持たれていると自己分析した。誰からアドバイスを受けたわけでもなく、見様見まねで取り組んだシュート。ブルペンでの試投で曲りに自信を掴んだ。

「これがあるとファウルになるか、ゴロになる。打者の残像にも残る。その後のストレートも生きてくる。今までは左打者にセンター方向を中心に綺麗に弾き返されるイメージがあったけどシュートを投げるようになってからだいぶ変わった」

 7月25日のイースタンリーグ・日本ハム戦(成田)では被安打2の完封勝利。シュートを多投し、110球での勝利となった。左打者には胸元をえぐり、ハーフスイングでの空振りもとれた。右打者はタイミングを外し併殺。まさに理想のピッチングだった。

「タイトルを獲れたことは自信になる。ファームとはいえ初ですから。ここまでやってきたことが無駄にならないように、もっと精度を上げてもっと長い期間、一軍の戦力になりたい」

 去年から取り入れているトレーニングがある。練習の合間を縫って、室内練習場のカーブマシンで100球程度、ボールを打つ。小谷正勝二軍投手コーチから若手投手陣に推奨されたのがキッカケだ。

「理由は言われていないです。『やってみたらどうだ?いいから、やってみろ』とおっしゃっただけ。最初は投手陣、みんなやっていたけど、だんだん減って、今は自分ぐらい。でも、自分の中ではきっと小谷さんはこういう理由で薦めてくれたのだという答えは出ています。確認はしていませんが……」

 カーブマシンでボールを振り切ることで、腰のキレが出るようになった。体幹、股関節の動き。体重移動。意外とピッチングにつながることが多いことに気づかされた。学ぶことが多く、今でも時間を見つけては必ずこなしている。
 その様子を時には室内練習場の入り口付近から小谷投手コーチが覗き見をしている。継続して、必死になにかを掴もうとする木村の姿に満足げな表情を浮かべ、無言でその場を立ち去る。

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