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【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】ドラフト直前、選手を見抜く“眼”と育てる“腕”を持つ球団はどこか?

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。第10回目は「過去5年のドラフト獲得選手の成績から、球団のスカウティング力と育成力」を考えてみた。

2014/10/20

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 NPBはクライマックスシリーズと日本シリーズの間に「新人選択会議」(ドラフト会議)を実施している。今年は10月23日。野球熱が高い時期に、ドラフト会議をやることで注目度を上げようということだろう。

 今年の目玉は高校生が前橋育英の高橋光成、済美の安楽智大、智弁学園の岡本和真、大学生では早稲田の有原航平、亜細亜大の山崎康晃などと言われている。

 ドラフトはくじ引きではあるが、球団の〝選球眼〟つまり有望選手を見抜く目も大切だ。
また、獲得した選手を順調に成長させる「育成手腕」も重要だ。

 そこで今回は、過去5年間の12球団の「ドラフト獲得選手成績表」を作成した。
 2009年から2013年までに獲得した新人選手がその後、どのように活躍しているかを、選手個々の通算成績を集計して比較したものだ。
 その年のドラフト上位3人を紹介、その年指名された選手全員の2014年オフまでの通算安打、勝利、セーブ数を集計した。最下段に5年間の合計数を入れた。

獲得した選手の起用法から、各球団の現状が見えてくる

 まずパリーグから見てみよう。

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 ソフトバンクは2009年1位の今宮が遊撃の定位置を得た。通算329安打。また翌年2位の柳田悠岐がスラッガーの片りんを見せ始めた。302安打。毎年1人ずつ主力選手が加わっている印象。手堅いドラフトではないか。
 ただし下位の選手が、あまりチャンスを与えられていない感がある。特にこのチームは三軍で多くの選手を抱えているだけに、その感が強い。

 オリックスも手堅い。この5年で目立つのは、ドラフト上位で獲得した選手から優秀なセットアッパーが生まれている点だ。

 2011年ドラフト3位の佐藤達也は今季最多ホールド、2010年2位の比嘉幹貴も0点台の防御率をマークし、今季のチーム躍進に大きく貢献した。

 また2010年1位の後藤駿太(現駿太)が通算117安打、翌年1位の安達了一が233安打、同8位の川端崇義が212安打と打線のつなぎ役に良い人材が出ている。

 日本ハムは何と言っても大谷翔平だ。わずか2年だが103安打14勝、二刀流のすごさを見せつけている。また2010年2位の西川が257安打だ。今季は1番を打つ機会が多くなったが、斎藤佑樹と同じ年の入団した選手だ。
 2011年には菅野智之の入団拒否があったが、同年4位の近藤健介が三塁の正位置をうかがい、先発陣に2013年2位の浦野博司が入り、クローザーに2009年5位の増井浩俊が座るなど、着々と世代交代を進めている。

 西武は投手陣が働いている。2009年1位の菊池雄星22勝、2010年2位の牧田和久34勝22セーブ、2011年1位十亀剣18勝、2012年4位高橋朋己3勝29セーブと今や先発と抑えの主軸となっており、指名は大成功と言える。

 打者では2010年3位の秋山翔梧が459安打。完全にレギュラー定着、2012年3位の金子侑司も内野のユーティリティとして出場機会を増やしている。今年はドラ1の森友哉が高卒新人タイの3試合連続本塁打と派手な活躍をして見せた。

 ロッテは5年以内に入団した野手が主力級に育っている。2009年1位の荻野貴司は247安打、怪我さえなければ盗塁王のタイトルを獲ってもおかしくない韋駄天。同4位の清田育宏も238安打、2010年1位の伊志嶺翔大は180安打、2011年3位の鈴木大地は317安打、内野、外野のポジションの違いがあるが、いずれも足が速く俊敏な守備が売り物。新しいチームカラーを作りつつあるようだ。

 投手では2011年4位の益田直也が11勝35セーブとリリーフ陣の一角を形成。今年1位の石川歩は10勝、新人王の有力候補だ。

楽天は、毎年好投手が上がってくる。なかでも2012年2位の則本昂大は2年で29勝。田中将大の後のエースにのし上がった。今年1位の松井裕樹は4勝ながらシーズン終盤には先発投手として使えるめどが立った。

 野手では2011年4位の岡島豪郎が捕手から外野手に転向し258安打。2009年2位の西田哲朗は今年松井稼頭央から遊撃のレギュラーを奪った。104安打。

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