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浅村流フルスイングでチームをCSへ――手ごたえをつかんだ、右中間への2塁打【中島大輔 One~この1本をクローズアップ】

パリーグは、すでにホークスとファイターズがクライマックスシリーズ進出を決めており、残り1枠をライオンズとロッテが争っている。ライオンズにとってはもう1敗もできない状況下で浅村栄斗が救った。今回は、9月22日のオリックスバファローズ戦、3回に訪れた浅村の第2打席をクローズアップする。

2015/09/25

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手術明けの影響で開幕時の浅村のスイングはコンパクトに

 そう振り返る理由は、体の反応で打った当たりだったからだ。
 打ったのはボールゾーンの球で、見逃せば四球で歩いていた。もちろん、その球を反応で打てるところに浅村のすごみがある。

 田邊徳雄監督にとっても手放しで褒められる本塁打ではなかった。

「追い込まれていたから、大振りではなく、コンパクトにいこうという振りに見えた。ややもすると、大振りになるケースが今シーズンは見られる。チェンジアップが中に入ってきた分、拾えたよね。外だったら、クエッションかもしれない」

 浅村の最大の持ち味は、フルスイングだ。下半身をどっしり構え、力強いスイングでボールを強くたたいていく。2013年に打点王を獲得できた理由は、そうした打撃が花開いたことにある。

 それが今季、そのスタイルに変化が生まれていた。昨季オフに肩の手術を受け、春季キャンプで打撃練習をできなかったことが理由だ。

 3月27日、シーズン開幕戦を迎えた頃の状態は50%だったという。

「余計に『大振りしないでいこう』と思えたのは、それがきっかけでした。とにかく、最初のほうは『長打は捨てよう』と思っていましたね。シーズンは長いので、ホームランはある程度最後のほうに打てればな、と」

 これがまさに「怪我の功名」となり、浅村は高い打率を残していく。6月終了時点で、打率.316。徐々にフルスイングもできるようになり、ヒットもいいペースで飛び出していた。

「いくらホームランや打点が少なくても、3割打たないと、いいバッターだとは自分では思わないので。毎回電光掲示板に自分の率が出るので、ひとつバロメーターというか。3割を切ってしまうと、すべてがうまくいかないような感じがするので。本当に率は第一に考えて、あまり波が激しくないように。ずっと3割キープして、1年間終わりたいな、と。そのためにもホームラン、打点を稼ぐという意味でも、率は大事にしています」

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