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故障者続出、助っ人不調、打撃コーチの退団……「一致団結」できなかったデーブ楽天

大久保体制1年目、主力選手に怪我人が続出しつつも、若手を我慢強く起用し前半戦は踏みとどまっていたが、田代打撃コーチの退団やオーナーの現場介入報道などが起きた後半戦、チームは最下位に低迷している。すでに大久保監督が今季限りの辞任を示唆する事態に発展している。

2015/09/13

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田代打撃コーチ退団後のチーム成績は借金10

 それでもだ。8月上旬、借金が二ケタに迫りながらも、クライマックスシリーズ進出のチャンスは残されていたのである。3位・ライオンズが13連敗と大きく後退したことで、前半戦終了時7.0だった3位とのゲーム差が8月4日には3.0に縮まっていた。

 だが、事態は急変する。
 まだこれからという矢先、その希望を閉ざしたのが、時を同じくして発生した田代打撃コーチの退団(7月30日)と、オーナー現場介入報道だった。

 選手の人望が厚い田代コーチが得点力不足の責任を一身に背負ってチームを去ったこの退団劇は、ギリギリのところで一致団結を維持していたチームが、実は途方もない問題点を抱えていたことを、ファンの前に明らかにした。

 立花社長就任後に新設されたチーム戦略室によるビッグデータやセイバーメトリクスを元にする組織作りに否定する気は全くない。三木谷オーナーが目指した、そうしたフロントと現場の一体化や、球界の非常識に取り組んでいくという試み自体も否定しない。

 オーナーはおそらく本業と同じ皮膚感覚でイーグルスを改革していく気構えだったのだろうが、現場のコンセンサスを得る粘り強い努力を継続していくソフトランディング路線を採ることはできなかったのだろうか。

 一致団結を掲げたチームを、そうできなくさせてしまったと思われても仕方ないだろう。

 田代コーチが去った7月31日以降、真夏の酷暑にも襲われた楽天は、瓦解の一途を辿っている。

 退団前の90試合は39勝48敗3分の勝率.448、1試合平均得点3.33、同失点4.03。それが退団後の33試合では11勝22敗の勝率.333、同得点2.97、同失点4.58。

 7月31日以降に限って言えば、楽天の成績は最下位・オリックスを下回るワーストの成績だ。

 今シーズンが暗黒期の序章になってしまうのか、それとも再建への痛みを伴った第一歩となるのか。それは今後にかかっている。

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