大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】イチローもヘルナンデスも縁はなし! 名選手ですら経験できないワールドシリーズ

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。第7回目は「ワールドシリーズ」についてだ。

2014/10/10

text By



キング・ヘルナンデスも、ワールドシリーズの出場は一度もなし

 続いて投手を見てみよう。100勝以上の選手と主要な日本人選手で、すでに引退を表明した選手も含んでいる(データは10月9日時点)。こちらもポストシーズン出場試合数順だ。

hiro-7-2

 1位はジョン・ラッキー、レッドソックス、カージナルスなどで出場。2位のサバシアはここ2年不調だが、ヤンキースのエースとして活躍。ウェインライトは、まだ救援投手だった2006年にワールドシリーズに出場している。

 100勝もしていれば、一度くらいポストシーズンに出ていてもおかしくはないように思われる。しかし、今年のアリーグ、サイ・ヤング候補筆頭のフェリックス・ヘルナンデスは125勝もしながら、一度もポストシーズンで投げていない。

 彼が所属するシアトル・マリナーズは、イチローがデビューした2001年を最後にポストシーズンに進出していない。2005年デビューのヘルナンデスは、10年のキャリアだがまだ出たことがないのだ。今年は最終盤まで可能性があったものの、逃してしまった。
「キング」と言われ、絶対的な信頼感のあるヘルナンデスですら、個人だけの力ではどうにもできない現実がここにある。

 松坂大輔は新人時代の2007年にワールドシリーズに出場。上原浩治、田澤純一の昨年、ポストシーズンでの活躍は記憶に新しい。

 最後に、引退(日本に復帰)した主要な日本人選手のポストシーズン出場記録を見ておこう。

hiro-7-3

 打者では何といっても松井秀喜。2009年ワールドシリーズのMVPは、今も鮮明だ。
 田口壮もカージナルス時代にポストシーズンで大活躍。岩村、井口もワールドシリーズに出場している。
 新庄は2002年10月19日、日本人として初めてワールドシリーズに出場した。

 投手陣を見てみると、意外なことに日本人最多勝の野茂英雄はワールドシリーズに出場していない。ポストシーズンは地区シリーズの2試合だけ。岡島秀樹はレッドソックス時代にワールドシリーズに出場している。

 ポストシーズン、ワールドシリーズで活躍するためには「実力」に加えて「運」が必要だ。
「持ってる」選手だけが、シーズン最後まで野球をして、栄冠をつかむことができるのだ。

1 2