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野茂英雄は「野球人気を再燃させたヒーロー」 アメリカ球宴での先発&快投から20年

1995年にセンセーショナルなデビューを飾った野茂英雄が、球宴で栄誉ある先発のマウンドを踏んでから20年になる。米メディア『ESPN』は、彼の登場がMLBに与えた影響と功績を伝えている。

2015/07/07

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20年前に成し遂げた快挙

 第86回MLBオールスター戦が近づいている。今回は、日本のMLBファンにとっても記念すべき球宴だ。野茂英雄がオールスターゲームで晴れの先発投手を務めてから、20年になるからだ。『ESPN』のデビッド・ショーンフィールド記者が、その歴史的意義を報じている。

 野球ファンにとっての1995年は、暗雲が立ち込める中で明けた。ワールドシリーズすら中止に追い込んだ前年からのストライキが継続していたからだ。多くのファンは怒りを露わにするか、野球に対しそっぽを向いた。4月に入ってようやくストは終結し、本来各チーム162試合のペナントレースは144試合として始まった。

 この年、9月にはオリオールズのカル・リプケンがルー・ゲーリッグの2130試合連続出場のMLB記録を更新し、10月にはこの年から始まったディビジョンシリーズで、マリナーズとヤンキースが史上有数の名勝負を繰り広げた。これにより、前年には1試合平均3万1256人だった観客が2万5008人まで減った危機のシーズンが救われたとされているが、ショーンフィールドは、前半にもう一人のヒーローがいたことを忘れてはならない、としている。

Two decades later, I think Hideo Nomo’s impact has been forgotten. When he started the season in the Los Angeles Dodgers rotation, he became just the second Japanese player to appear in the majors.
あれから20年が経ち、野茂英雄の衝撃が忘れ去られつつあるように思う。彼がロサンゼルス・ドジャースのローテーションの一員として自身の開幕を迎えた時、彼は単に(村上雅則に次ぐ)メジャー2人目の日本人という存在でしかなかった。

Nobody knew what to expect from Nomo. He had pitched for the Kintetsu Buffaloes, one of the worst teams in Japan, pitching in front of sparse crowds. He was criticized in Japan for deserting his team and country when he signed with the Dodgers. Within a few months, however, the prime minister would call him a national treasure.
野茂に何を期待できるか?誰もわからなかった。彼は近鉄バファローズで投げていたのだが、それは日本でもワーストのチームのひとつで、観客はまばらだった。彼は、ドジャースと契約した際に、日本ではチームや国を見捨てたと非難された。しかしながら、数カ月のうちに首相ですら国の宝と呼ぶほどの存在になった。

 野茂は5月2日に初登板を迎え、好投すれど勝ち星に恵まれなかった。4戦目には7回14奪三振という快投もあったが、5月は結局0勝1敗、防御率3.82だった。
 しかし、月が改まると一気にスパートした。16奪三振や、2試合連続13奪三振での連続完封もあった。6月は6勝0敗、防御率0.89で、これで球宴選出を確実なものとした。

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