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〝独り立ち〟の時――ヤンキース・田中将大、試練を乗り越えられるか

ヤンキースの田中将大が3日(日本時間4日)の本拠地レイズ戦に先発し、6回6安打3失点。3試合ぶりのクオリティースタート(6回以上、自責3失点以下)で完全復活への手ごたえをつかんだ。

2015/07/06

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自分で乗り越えるしかない

 黒田は昨オフ、ヤンキースからFAとなって広島東洋カープへ出戻った。この黒田の決断がメジャー2年目の田中に1つの「転機」を与えるきっかけとなっていたのだ。どういうことか――。
 田中は昨シーズン中、まだ右も左もわからないメジャーリーグでヤンキースに入団した直後からメジャー在籍7年目の黒田に〝米国でいかにして生き延び、いかにして成功を収めることができるか〟という気構えを再三に渡って伝授されていた。同じユニホームを着ている間、黒田が田中の大先輩として、さまざまな疑問を解決する良き相談相手になっていたのである。

 田中にとって面倒見のいい黒田は、とてつもないほどに大きな存在で、頼りになる兄貴分であった。同じ先発投手であり、しかも日本語で意思疎通ができる。実際に昨シーズン中はクラブハウスで田中が黒田のロッカーへ足を運んで何やら話をしに行ったり、試合中も出番のない時に両者がベンチで長い時間にわたって会話したりしている光景はヤンキース番記者の間で何度となく目撃されていたと聞く。
 2人はある意味で師弟のような関係であったのだ。

 だからおそらく田中は今回スランプにハマってしまった時、一番相談したかったのは黒田であったのではないだろうか。〝黒田さん、こういう時には一体どうしたらいいのですか〟と――。

 しかし、その頼れる存在は今季もういない。田中はスランプにあえぎながら人知れず相当にフラストレーションが溜まり、苦しんでいたはずだ。それでも、やるしかない――。田中の気持ちにそう踏ん切りが付いたのは、2試合連続の3被弾を食らって5回6失点となった前回登板の6月27日(同28日)・敵地アストロズ戦後ではないだろうか。それが証拠にスランプについて問われた田中は、多くの日本人メディアの前でこう言い切ったのだ。

「自分で乗り越えていくしかないと思ってます。まあ、自分がやるしかないですから。誰かが助けてくれるわけじゃないし、結局は自分だと思ってるんで」

 メジャーで初めて経験したスランプを乗り越えた時、田中は独り立ちし、精神的にもさらに逞しくなって大きな成長を遂げるはずだ。次回登板予定の9日(同10日)・本拠地アスレチックス戦で快投し、それをぜひ証明してほしい。

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