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故障歴が大きな妨げに MLBドラフト全体1位候補の指名が78番目にまで遅れた理由

今年のドラフトで最も注目を集めた1人がデューク大のマイケル・マチュエラ。春先には全体1巡目候補との噂もあった右腕はなぜ78位という低い指名順に終わってしまったのだろうか。

2015/06/12

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故障を乗り越えエースとなることができるのか

 一方でマチュエラの最大の欠点がこれらすべての評価に「健康であれば」というアスタリスクがつくこと。ドラフトでの評価を落としたのも、これが原因だ。持病の脊椎すべり症による腰痛からくる故障に加えて、ドラフトイヤーの今年は4月に肘の故障でトミー・ジョン手術でシーズン全休が確定した。

 春先の『Lindy’s baseball』誌のランキングでは、大学生1位もトミー・ジョン手術の影響で17位指名となったエイケンやコルビー・アラード(同高校生3位も故障で14位指名)ら今季のドラフトには事前に高い評価を受けながらも故障で指名順位を落とした選手は多い。
 そんな彼らと比べてもマチュエラの評価の下落幅(同大学生2位から78位指名)が大きかったのは大学3年間で141イニングしか投げられていない実績不足を各球団が敬遠したからではないだろうか。

 予想だにしなかったであろう低い順位の指名についてマチュエラは『MLB.com』に以下のように語っている。

“It was definitely tough not getting picked the first day,” Matuella said. “But I was confident the right team would pick me. I was really happy it was the Texas Rangers. Texas has been very thorough in describing the rehab program I would be going through. I think it’s the right course to ensure my long-term health and my long-term success.”
「1日目で指名を得られなかったことは本当にタフだった」とマチュエラは言う。「だけどどこか正当なチームが僕のことを獲得してくれると確信していたよ。それがテキサス・レンジャースで本当にうれしい。彼らは僕がこれまで行ってきたリハビリプログラムについて徹底的に調べてくれた。(レンジャースに入ることが)自分の長期的な健康と成功を確実にする正しい道だと思っているよ」

 元々レンジャースは今年1月の時点では、マチュエラを全体4位の枠で指名するつもりだったという。それが78位で獲得できた、球団にとっては思わぬ幸運だろう。スカウト部長のキップ・ファッグは2日目の指名を終えたあと地元紙『The Dallas Morning News』に「レンジャースでスカウトを務めた24年間で最良の日だ」「初めに指名した4人はいずれも我々のトップ20リストに入っていた選手だ、そんなことはこれまでに1度もなかった」と喜びを隠さなかった。

 指名順位に応じて契約金のスロットが決まっているMLBのルール上、契約が難航するとの見方もあるが、今のところ両者とも契約に前向きな姿勢を見せておりその可能性は低い。将来レンジャースを背負って立つエースとなるか、はたまたジョシュ・ジョンソン(投げられれば一流も故障体質で長期離脱が多い)2世となってしまうのか、新たなる一歩を踏み出したマチュエラに注目したい。

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出典:Third-rounder Matuella aims to overcome odds by T.R. Sullivan in MLB.com on Jun.9 2015

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