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1割打者4人? 怪打線で首位を独走するアストロズの勝因

混戦が予想されたアリーグ西地区だが、予想を裏切りアストロズが首位を独走している。特に目を引くのが、1割打者が4人も並ぶMLB最低打率打線。これだけ不安定な打線を抱えていかにしてリーグ首位に立っているのだろうか?

2015/05/15

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チーム打率最下位のチームが首位を独走

Are these Astros the real deal? Can they sustain their success?
アストロズは本物なのか?彼らは成功を継続することができるのか?

 開幕前に混戦が予想されたアリーグ西地区だが、まさかのチームが首位を走っている。そう、なんとあのヒューストン・アストロズだ。今季はここまで21勝13敗、ロイヤルズと並ぶアリーグトップタイの勝率.618を記録し2位エンゼルスを4ゲーム差離す独走ぶりを見せているアストロズ。若手が育ちアメリカでは「2017年のワールドチャンピオン」とも言われる彼らだが、2011年~2013年に残した3年連続100敗のインパクトもあり、日本のファンの間ではいまだに弱小チームのイメージが強い。今季のアストロズのスタートダッシュの要因はどこにあるのだろうか。

 今季のアストロズの特徴としてまずあげられるのがその低打率ぶりだ。昨日のラインナップを見ると1番のマリスニック、2番のアルトゥーベが3割以上の打率を残している他は全員が打率.250以下。上位2人以外では5番を打つラスマスの.232が最も高打率で、3番のバルブエナは.200きっかり。4番スプリンガー、6番ガティス、8番カーター、9番ビラーと1割打者が4人も顔を揃えている打線は30球団でもここだけだ。当然チーム打率も低く.225は30球団中最下位。通常これだけ低打率の打者が揃えば、打線はまず繋がらない。

 また例年通り三振が多いのもアストロズの特徴だ。ここまでのチーム全体での三振数312はMLBワースト2位、チーム安打数(256本)を大きく上回る数の三振を喫している。これらの傾向が特に顕著なのが日米野球でも来日した主砲クリス・カーターで打率.153、49三振は共にMLBワースト3位のていたらくだ。これらの数字だけを見ればとても首位を走るチームの打線とは思えない。

 しかし、アストロズ打線は30球団中12位タイの145得点をあげている。低打率と三振を覆すほどの力となっているのがパワーと脚、そして選球眼だ。チーム本塁打数(49本)と盗塁数(36盗塁,成功率80%)はリーグトップ、選んだ四球の数はリーグ4位と打率以外の部門ではそのほとんどでリーグトップクラスの成績を残している。特大の本塁打、華麗なスチール、投手を根負けさせての四球、そして豪快な三振、まさにシングルヒットを打つ以外はなんでもござれの怪打線、ただの低打率打線ではないようだ。

 数字以上の機能はしているものの、この打線だけではチームを押し上げる要因とはなりづらい。『MLB.com』ではその要因として守備・ブルペンの充実とエースの存在を挙げている。

Has general manager Jeff Luhnow’s reconstruction of the franchise paid dividends sooner than expected? Houston’s defense and bullpen are among the best in baseball. Left-hander Dallas Keuchel has emerged as a legitimate No. 1 starter.
ゼネラルマネージャーのジェフ・ルーノーの再建は予想より早く実を結んだだろうか?ヒューストンの守備とブルペンはMLBでも最高の内の1つになっている。左腕のダラス・カイコは正当なローテーションの1番手となった。

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