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日本人はスピードで苦戦? 枠にはめないChallengeで差が出る、走塁技術【元ドジャーススカウト、小島圭市の禅根夢標】

読売ジャイアンツなどでプレーし、その後ロサンゼルス・ドジャースの日本担当スカウトとして当時、黒田博樹投手や齋藤隆投手の入団に携わった小島圭市氏の連載。小島氏は現在、スポーツ環境の向上から青少年の育成に積極的に関わっています。この連載では、普段ジュニア育成についての話題が多いですが、今回は「走塁」がテーマです。日米の考え方の違いが、走塁技術に顕著に表れます。

2015/05/14

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育成年代のうちに、成功体験の積み上げを

 日本人で、世界に通じるスピードスターを産みだそうとしたら、まずは枠にはめないことです。盗塁して、アウトやセーフになるスリルを感じさせる。成功する楽しさ、成功体験をマイナーや若い時、ジュニアでもどんどんやらせるべきだと思います。「お前は足が遅いから走らなくていい」と、俊足ではない子どもにそう指導する方がおられますが、走るなではなく、走ってみろという指導をしていくべきだと思います。

 アウトになってもいいのです。何度やっても、自分には盗塁ができないと思ったら、本人は走らないという選択をするようになるのです。人が決めるのではなく、自分で決めさせればいいのです。

 先ほど挙げたマイヤーズ選手の走塁は、結果論としては、行ってはいけないプレーです。でも、間一髪だったいうことも同時にあるわけです。あの場面は8回のプレーでしたが、あれがもし、9回裏で、1点差を争っているときにあの走塁をしても、アメリカの人たちは、こういうと思います。

「Good Challenge!!」

 物事の考え方の違いだと思います。
 ジュニアから変えてやることで、もっと規格外のスピードを持ったプレイヤーが生まれてくるでしょう。

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小島圭市 (2)

元ロサンゼルス・ドジャース 日本担当スカウト
小島圭市(こじま・けいいち)

1968年7月1日、神奈川県生まれ。東海大高輪台を卒業後の86年、ドラフト外で巨人に入団。 92年にプロ初勝利を挙げるなど、3勝をマークした。その後は故障に泣かされ、94年のオフに 巨人から戦力外通告。巨人在籍中の怪我の影響で1年浪人のあと、96年テキサス・レンジャーズとマイナー契約。1年間、マイナーリーグで活躍した。翌年に日本球界に復帰し中日ドラゴンズでプレー。その後は、台湾の興農ブルズなどで活躍し、現役を引退した。01年日本担当スカウトに就任。石井一久、黒田博樹(ヤンキース)、斎藤隆(楽天)の獲得に尽力。三人が活躍したことから、スカウトとしての腕前を評価された。2013年にスカウトを退職。現在はジュニア育成のため、全国の小・中学生の指導者へ向けた講演会活動や少年野球教室を展開している。http://kojimaallstars.net/

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