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上原浩治の投球に異変?スプリット一辺倒の投球は改善されるか?【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、今シーズンもレッドソックスのクローザーとして活躍している上原浩治についてだ。

2015/04/28

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NPB史上最も制球力のある投手

 ダルビッシュ有や田中将大などに比べると地味な印象があるが、上原浩治はNPB史上に残る記録を作った大投手だ。そしてMLBでも素晴らしい実績を残しつつある。

 上原浩治が、どんな投手だったのか、キャリアSTATSで改めて確認しておこう。
 日米での記録をまとめた。2015年は4月27日時点の記録である。

広尾様0428表1

 上原浩治は1998年ドラフト1位(逆指名)で巨人に入団し、いきなり20勝を挙げて最多勝、沢村賞に輝く。以後巨人のエースとして君臨してきた。
 そうした一般的な数字もさることながら、上原はNPB史上最も制球力のある投手だった。

 すでにこのコラムで紹介したが、三振数を四球数で割ったSO/BBは6.68で1000回以上投げた投手の中ではNPB史上1位。3.0以上なら優秀とされる中、驚異的だ。
 そして1回あたりの走者数(被安打、四死球)を示すWHIPも先発投手の合格ラインとされる1.2を大きく下回っている。
 驚くべきは、MLBに移籍してからSO/BBが軒並み10を超えていること。NPBでも最高の制球力を誇っていたが、MLBでは「ほとんど歩かせない」空前の投手になったのだ。

 上原は今月40歳になった。MLBの救援投手ではロッキーズのラトロイ・ホーキンスに次ぐ高齢だ。しかし、今年もレッドソックスの最後のマウンドを死守している。

 今季の戦績だ。

広尾様0428表2

 左太ももを痛めて故障者リストに入ったため半月ほど出遅れたが、4月14日に復帰すると4試合連続でクローザーの役割を果たし、2勝3セーブを挙げた。
 4月25日は延長10回、右前打を右翼手がダイビングキャッチを試みて失敗し、三塁打にしたのを皮切りにサヨナラ本塁打を打たれ痛恨の1敗を喫したが、4月27日のブルージェイズ戦は三者凡退に抑えて2勝目を挙げた。クローザー上原は健在だと言えよう。
 6試合を投げて、まだ1つも四球を出していない。抜群の制球力は健在だ。

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