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古豪球団カブス トリックプレーの陰でみせた、『ベースボールIQ』の高さとは?

現地時間19日、カブス本拠地リグレー・フィールドで行われたパドレス戦で全米が注目するプレーが飛び出した。

2015/04/23

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『ベースボールIQ』の高さが光る

 シカゴの地元紙シカゴ・トリビューンの記者に対し、本人はこう語っている。

“Obviously it’s not something you draw up. I was more surprised I caught the ball than anything. Then obviously when you go to grab it and it’s not there. … And obviously it all happened in a couple of seconds. I would have liked to have gotten a double play, but I will settle for an out. I never had to do that before, but an out’s an out. I think (Rizzo) understood what was going on. He dropped his glove.
もちろん、計画的に行ったわけではないよ。ボールを掴んだらグローブまでくっついてきたのだから、本当に驚いたよ。それにこれは一瞬のことなんだ。ダブルプレーを取りたかったけど、まず1つのアウトを取ることを選んだよ。こんなことは初めてだけど、アウトはアウトだからね。僕はリゾ(一塁手)がすぐに状況を理解してくれると思っていたよ。彼はすぐに自分のグローブ(ファーストミット)を外してくれたんだ。

 実はこの一連のプレー、レスター本人も語っている様に、一塁手のアンソニー・リゾも見事な判断を下していた。レスターの様子を瞬時に理解し、自分のファーストミットを投げ捨てていたのだ。

 公認野球規則の2.15に『CHACH(捕球)』の項目がある。ここで『捕球する』ということに対し、明確な定義づけがされている。

『野手が、インフライトの打球、投球または送球を、手またはグローブでしっかりと受け止め、かつそれを確実につかむ行為であって、帽子、プロテクター、あるいはユニフォームのポケットまたは他の部分で受け止めた場合は、捕球とはならない』

 とされている。要するに、ボールが挟まったグローブを受け取ったとしても、それを一塁手が脇に抱え込んだり、手を使っていなかったりした場合は、捕球とはみなされないのだ。

 リゾ本人が、この規則を理解していたかどうかはわからない。ただ、今回のプレーで証明されたことは、間違いなくレスターもリゾも、『ベースボールIQ』が高いという点だ。
 実際に、リゾは瞬時に自分のグローブを外して、レスターのボールがはまったグローブを確実に受け止めるようにキャッチしていた。

 こういった瞬時の判断ができる選手というのは数少ない。そしてリゾはエプスタイン球団社長が誰よりも期待している逸材。将来のカブスを背負って立つ男なのだ。

 ちなみに、2012年10月18日、東京ドームで開催された巨人対中日戦での事例がある。打者の大島洋平が投手へのゴロを打ち、これを先発のデニス・ホールトンが難なく捌いたものの、ボールがグローブから抜けない。これを前述のレスターのように、グローブごと一塁手の亀井義行選手へトス。しかし亀井選手は左脇に抱え込むようにして受け取ったため、アウトと認定されなかった。

 ルーキーのブライアント、ラッセル、そして今回のトリックプレーの立役者レスターとリゾ。カブスの時代がやってくるのは、そう遠くないはずである。

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