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2年連続70試合登板を達成。トミー・ジョン手術に失敗したファレル監督が、田澤純一を成功へ導く

トミー・ジョン手術を回避し「PRP」と呼ばれる注射による治療法とリハビリによって復帰を果たした田中将大。その一方、19日のオリオールズ戦で、2年連続70試合登板を果たしたレッドソックス・田沢純一はトミー・ジョン手術を受けた選手の一人だ。その田沢を成功へ導いたのは、現役時代にトミー・ジョン手術を受けたものの、肘が完治せず引退を余儀なくされたファレル監督だった。

2014/09/22

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田澤はトミー・ジョン手術の成功者

 レッドソックスの田澤純一が19日のオリオールズ戦で、2年連続70試合登板の節目を自らの白星・4勝目で飾った。同点の9回に登板し、1イニングをわずか9球で三者凡退。延長10回の勝ち越しにつなげた。
 
 日本選手として初の2年連続70試合登板に「自分ではあまり意識はしない。ただ、監督に使ってもらえたことに感謝しないといけない」とチームへの感謝を忘れなかった。昨年はワールドシリーズなどのポストシーズンも含めれば、登板試合数は84試合にものぼった。米球界屈指のタフネス中継ぎ右腕を生んだ土壌は、米国流の育成方針にあった。
 
 田澤の経歴を語る上で、避けては通れないのが、10年4月に受けたトミー・ジョン手術だ。
 
 ヤンキース・田中の右肘も脅かしつつある、米球界のトレンドとも言える術式。あまりの施術選手の多さに、賛否両論が飛び交っているが、田澤はトミー・ジョン手術の成功者に部類して間違いない。
 
「元ある腱よりも強い腱で、絶対に術前より強くなるはずだ」
「手術をした時は正直、メジャーに帰ってこられるとは思えなかった自分もいた」
 
 田澤は復帰後に、メスを入れた当初抱えていた相反する二つの考えを明かしている。自分の体の別の部位のじん帯を肘に移植するトミー・ジョン手術は、復帰までに1年~1年半と言われている。
 
 その一方で、長く損傷していた部位が再建されることで、施術前よりも球威や球速が増す投手が多いことでも知られる。ゆえに、将来性豊かな20代前半の選手が肘を痛めると、メジャー球団の多くは積極的に手術をさせるのだ。今季中に同手術を受けた現役選手は、メジャーとマイナーも合わせれば60人以上にのぼるが、その大半は20代前半のプロスペクトたちだ。
 
 田澤も手術時の年齢は23歳。球団は、順当なら16年オフにFAとなる田澤に復帰を焦らせる必要もなかった。腕を振れない分、体を鍛え上げ、上半身も、下半身も大きくなった。復帰後は球速も以前より増し、今では95マイル(153km/h)を超す速球を、常時投げられるようになった。

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