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元巨人ドラ1村田透、メジャー昇格を目指して――マイナー4年目、30歳で迎える2015年

2007年の巨人のドラフト1位、村田透。日本球界では実績をあげられなかったが、その後アメリカにわたって、メジャー昇格を目指して日々奮闘している。昨年は3Aでも登板。果たして2015年シーズン、メジャー昇格となるか。

2015/04/17

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阿佐智



30歳、背水の陣

 村田が今シーズン中に、本当のメジャーデビューを果たす可能性は決して低くはない。しかし、今年で30歳。自身、背水の陣であることはわかっている。メイン球場の周囲に広がるサブグラウンドで夢を追うマイナーのキャンプ参加者は200人ほど。年々自分が知っている顔ぶれは減ってきている。

「今年なんかは、名前と顔が一致する選手は50人くらいです。その中で、話をするのは2、30人ですかね」

 村田は、その中で最年長の部類に入るようになってきている。逆に、時折バックアップ(オープン戦の補充要員)としてお呼びがかかるメジャーのベンチには、なじみの顔が並ぶ。
 例年と同じように調整を重ねているが、オープン戦が始まると、毎日のようにリリースされる選手が出てくる。うなだれてロッカールームを去る者の姿を見て気が引き締まる一方、それを気にしている場合ではないと自分に言い聞かせている。

「俺は、そこと(マイナーに残るかどうか)戦うためにきたわけではない」

 彼に連絡をとると、メジャーへの手応えがあるのかないのかまだわからないという返事が返ってきた。MLBのキャンプは、メジャーとマイナーは完全に区別されていて練習も一緒にすることはほとんどない。だから、自分がメジャーで通用するかどうかを見定めることができるのは、たまに召集されるオープン戦のバックアップの時だけだ。これも、呼び出されたからといって、実際に試合に出るかどうかはわからない。初めて呼ばれるような若い選手にとっては、オープン戦とは言え、メジャーの雰囲気を体感できるチャンスだが、すでに過去、何度も呼ばれ、実際に登板も果たした村田にとっては、参加するだけでは意味がない。実際に、メジャーの打者と対戦してこそ得るものもある。

「これから投げることができるチャンスもあると思います。その時にいろいろな手応えみたいなものが見えてくることになると思います」

 キャンプ序盤に語っていた村田だったが、やってきたただ一度きりのチャンスでは、1イニング3安打2失点と芳しい結果を残すことはできなかった。それでも、昨年初めて投げた時よりもはるかに手ごたえを感じたという。

 今年は3Aで開幕を迎えたが、昨年と同じくブルペンスタートとなった。昨年はこの慣れない役割に苦しんだものの、リリーフの肩のつくり方もわかってきた。使い勝手の良さをアピールできれば、長いシーズン、メジャーの投手陣に穴があいたところでの昇格も十分に考えられる。
 NPBで1勝も挙げられずにメジャーのマウンドに立てば、最初の日本人メジャーリーガー、マッシー村上以来の快挙となる。村田には、ぜひとも51年ぶりにその快挙を成し遂げてもらおう。

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