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今季はカーショウに注目! 主力も開幕から全開、例年と違うMLB【元ドジャーススカウト、小島圭市の禅根夢標】

読売ジャイアンツなどでプレーし、その後ロサンゼルス・ドジャースの日本担当スカウトとして当時、黒田博樹投手や齋藤隆投手の入団に携わった小島圭市氏の連載。小島氏は現在、スポーツ環境の向上から青少年の育成に積極的に関わっています。この連載では、普段ジュニア育成についての話題が多いですが、今回は「MLBの今季の注目点」がテーマです。

2015/04/15

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活躍している姿は氷山の一角に過ぎない

 人が注目していないところでの行為・行動などが、カーショウ選手は図抜けているのではないでしょうか。しかも、それは昨日・今日に始まったことではなく、彼がこれまでの人生の中で積み重ねてきたものであると思います。

 つまり、人が人を見ている箇所というのは氷山の一角なのです。人の根底には努力や歴史があって、活躍している姿というのは、ほんの一部分にしか過ぎない。それ以外の部分に人間としての奥の深さが見えるのです。私は、カーショウ投手が投げているボール以上に、そこに魅力を感じています。

 育成の観点でも、彼のような選手を育てることは重要だというのは、以前から考えていました。いわゆる尊敬されるプレイヤーということです。メジャーリーグには、昨季限りで現役を引退したデレク・ジーター氏に代表されるように、人として尊敬され、やるべきことをやっているプレイヤーが多いように感じます。10億円を稼いでいる人が10億円のプレーを見せて仕事をするというのは、野球の中の話であって、お金を稼いでいる責任を感じて、グラウンド外での使い方をきっちりしている。メジャーリーグで偉大と言われている人たちには共通している要素だと思います。

 カーショウ投手に話を戻しますと、彼は、2年連続でサイヤング賞を獲る前年も成績が良かったです。3年連続で防御率が良かったのです。こんなに続くはずがないと私は思っていましたが、先日の開幕試合もいいピッチングをしていました。オープン戦は調子が良くなくて、本人は「メカニックを思い出せない」といっていましたが、キレのいい球を投げています。サイヤング賞などのタイトルを獲得できるかどうかは、相手との兼ね合いにもよりますが、伝説のピッチャーになるというところに来ているのではないでしょうか。この若さで3度サイヤング賞ですから、キャリアで10度ということも……、ややもすると、果たしてしまうのかもしれません。

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