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「中速ギアでは勝てない」田中将大の新スタイルは通用するのか?

日本人として初めて名門球団の開幕投手の座を託された田中将大。しかし6日のブルージェイズ戦は、4回5安打5失点という結果に終わった。この登板内容から何が見えてくるのだろうか。

2015/04/08

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「ちょっとした部分で、また良い方向に変われる」

 田中将大にとっても、ヤンキースにとっても、開幕戦は「162分の1」でしかなかった。そう受け止めるしかない、田中の82球だった。

 日本人として初めて名門球団の開幕投手の座を託された。6日のブルージェイズ戦。だが、華々しいはずの舞台は、4回5安打5失点という結果に。エースが打ち込まれ序盤で大量リードを許し、跳ね返す力は打線にはなかった。

「内容も結果も全然いいものではなかったですが、立ち上がりは良かったと思います。ちょっとした部分で、また良い方向に変われると思いますし、ボール自体は悪いものだとは思ってないです」

 田中は敗戦を淡々と振り返った。公言通りというか、スタイルは大きな変わり身をみせた。ツーシームを軸とした、打たせて取る投球。そのツーシームが甘く入ったところを、ことごとく痛打された。
 炎上した3回。先頭のピラーの左前打。そしてエンカーナシオンに浴びた左越え2ラン。いずれも内角を狙ったツーシームが、甘く真ん中に入り捉えられたものだ。

 根底にあるのは、昨年7月にじん帯を部分断裂した右肘に抱える爆弾。次に痛みを訴えれば、今度こそ長期離脱となる手術が待っている。肘への負担を軽減し、エースとして少ない球数で長いイニングを投げ抜くために、避けられない選択でもあった。
 だが、打者の手元で微妙に動くツーシームは、コースと高さを誤れば打ちごろになりかねない。そもそも球速はフォーシームに比べて落ちる。そんな諸刃の剣の顔も備える。負の側面ばかりが、この日はクローズアップされた。

 首脳陣は細心の注意を払い、キャンプからスロー調整を強いてきた。ラリー・ロスチャイルド投手コーチは「まだ腕の強度を上げている状態。健康でさえいてくれれば、いい投球をしてくれると思っている」とも話した。ギアはまだフルスロットルに至っていない。

 その証拠に、ツーシームは大半が90マイル(145キロ)前後。片手で数えるほどだったフォーシームも、最速は93マイル(150キロ)にとどまった。
 そもそもチームは開幕戦先発に90球というタイトな球数制限さえ設けていた。初めからフルスロットルは求めていなかったわけだ。

【次ページ】ツーシームの課題
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