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イチローの隠れた武器 メジャートップ、併殺打回避による得点貢献度

併殺打を回避することによる得点貢献度でメジャートップの成績を残してきたイチローだが、そのイチローと対照的な選手として知られるアダム・ダンもまた高い数字を残している。

2015/03/25

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イチローの隠れた武器が数値化

 2002~2014年、ここ13年間のランキングでは他の名だたる快速選手たちを抑え、併殺打回避による貢献度(+23点)でイチローがトップに躍り出ている。
 ちなみに同じ13年間のイチローの盗塁(盗塁数431/成功率81.9%)での得点への貢献は+40.9点分。こうしてみるとイチローが、チームに予想以上に大きな貢献をしていたこと、また併殺打を打たない能力がイチローの隠れた武器になっていることがわかるだろう。
 
 また少し話は逸れるが、上記の期間でイチローはスピードスコア(盗塁頻度や生還確率から選手のスピードを計る指標)では62位ながら、ベースランニングによる貢献度でメジャー9位、盗塁による貢献度では同2位の数字を記録。単純なスピードだけではない、その走塁、盗塁技術の高さがデータでも裏付けられている。
 
 さて2002年以降の併殺打回避による貢献のランキング2位には、イチローと同じく俊足で知られる左打者のジョニー・デイモンが順当に入っているが、なんと次に来るのは日本でも三振か本塁打か四球かの丁半博打のような打撃で非常に人気のあるアダム・ダン。記事でも「さらにトップに来るのが誰かあなたは絶対に信じないだろう」と太字で強調されているとおり、非常に驚くべき結果となった。
 
 スピードのある選手が並ぶ上位に、鈍足で知られるダンが入った理由として導き出されたのはその三振の多さ。カルロス・ペーニャやジェイソン・ジアンビーといったお世辞にも足が速いとは言えず、三振も多い選手たちがダンほどでないとはいえ高い数値を出している点、三振率上位20人が全員+の数字を出していることなどがその根拠としてあげられている。
 
While Ichiro and Adam Dunn got there in very different ways, both of them added a little over two wins of value by not hitting into double plays. And I’d bet that this is probably the only category in baseball that Dunn and Ichiro would ever find themselves co-leading.
まったく異なる道を歩んできたイチローとアダム・ダンは、ともに併殺打を打たないことで2勝強の価値を生んだ。これはダンとイチローがともにトップに立つベースボールでただ一つのカテゴリーだ。
 
 俊足巧打の完成型のような選手であるイチローと、低打率かつ三振も多いが本塁打も多いという典型的な大砲であるアダム・ダンは、走攻守あらゆる面で対局と称されることが多い。2人がワーストとトップを占めるランキングこそ珍しくないが、ともに上位に立つことは極めて稀だろう。こうした珍しい記録を見つけるのも野球の楽しみの一つだ。
 
出典:The Thing Adam Dunn Was Surprisingly Great At by Dave Cameron in FANGRAPHS on Mar.23 2015
 
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