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なぜ、このタイミング?田中将大の駆け込み復帰が示す、ヤンキース陣営の狙い

21日(日本時間22日)にニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手が先発復帰をする。チームはプレーオフ進出がほぼ絶望的な状況だが、シーズン終盤に田中が登板するには、理由がある。

2014/09/20

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肘の耐性テストとなる運命の2試合

 そこは田中も重々理解している。復帰日が決まった16日。「しっかりとマウンドで、自分のパフォーマンスが出せるのか、どうか。そこを確認するのが一番。その中でチームを勝利に導けるような投球をできればいい」と話した。リハビリに移る前には、患部へ回復を促す効果があるというPRP(多血小板血しょう)注射を受けた。靱帯を損傷しながら、この注射からのリハビリを果たした選手には楽天・斎藤隆、巨人・マシソンらがいる。投球再開後には、肘に負担のかからない動作を模索し、テークバックがややコンパクトになった新フォームを馴染ませてきた。現実に、長くプロで活躍する投手には、肘のじん帯に何らかの損傷を抱えながら投げ続けているケースが多いとも聞く。
 
 ヤンキースは今季もプレーオフ進出を逃せば、2年連続。これは82~94年(94年は選手会ストライキによる打ち切り)まで13年連続で逃した暗黒期以来20年ぶりの屈辱だ。常勝帝国にとって、来季以降の覇権奪回は至上命題となる。その核となる存在が田中将大だ。21日に復帰して従来に近い投球ができれば、恐らく首脳陣は27日のレッドソックス戦でも起用し、中5日という先発ローテーションへの肘の耐性をテストするだろう。その2つを無事通過できれば、晴れて休養してオフのトレーニングを積み、来年のキャンプ、開幕を迎えることができる。決して消化試合などではない。15年、そして16年の常勝帝国の命運を握る2試合になる。

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