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ダルビッシュが指摘 肘への負担軽減で改良済? 2年目の田中将大を左右する新スプリット

肘の故障から完全復帰なるか――MLB2年目の田中将大の最大のポイントだ。故障の誘因ともいわれた、自身の投球の生命線となるスプリットを不安なく投げ込めるか。ぜひ、この点に注目したい。

2015/02/16

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復帰後の登板で新スプリットの実験か?

 カギとなるのは宝刀スプリットの存在だろう。多くの関係者が、肘への負担が大きいとされるこのウイニングショットを、肘を痛めた要因の一つに挙げる。
 
 田中は昨夏のリハビリ過程で「肘に負担がかかっているということ。効率よく投げられるようにしないといけない」と話し、「同じように投げていたら、同じようになってしまう」と「何か」に改良を加えることを示唆していた。
 
 実験は、昨年9月下旬2試合の復帰登板で行われていた可能性が高い。
 その変化を見逃さなかったのがダルビッシュだった。12月に放映されたテレビ番組内の対談の中で、復帰後に田中のスプリットが変化していたことを指摘。「握りを変えただろ?」と肘への負担軽減を狙った新スプリットの存在を問うた。
 
 田中は「『握り』は変えていませんよ。『握り』は」と少しいたずらっぽく笑って交わした。同番組の指摘によると、打者に向かい真っすぐ沈んでいたスプリットの軌道が、復帰後は右打者の内角へ、シンカー気味に変化していたという。
 
 2人のやり取りから推測しても、田中が何かの実験を行ったことは間違いなさそうだ。握り以外の部分。リリースなのか、テイクバックなのか、挟んだ人さし指と中指の力の入れ具合なのか。
 
 スポーツ専門局ESPNによると、田中は昨年の離脱時点で全投球に対するスプリットの割合が25%。その時点でメジャー全投手中最多の割合で、投げていた477球も同じく最多だったという。メジャーで戦い抜く上で、絶対に欠かせない生命線だ。
 
 肘への負担を少しでも軽くさせる新スプリットは、果たして完成したのか?魔球とも評される宝刀を不安なく投げ込めれば、視界は一気に開けてくる。
 
 不安なくキャンプを送れば、現状の布陣から考えて、4月6日ブルージェイズ戦で開幕投手の大役を任される可能性は高い。
 
 ヤンキースというチーム自体の、今季の下馬評は決して高くない。2年連続でプレーオフ進出を逃し、後がないかつての常勝帝国。名門再建も、自身の復肩も、一身に背負わされる2年目のシーズン。
 今後も長くつきあえる投球フォーム、新スプリットを求めて。キャリアさえ左右しかねない、大事な1年間がまもなく幕を開ける。

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