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殿堂入り候補者の大渋滞を解消するには、薬物疑惑者の早期排除?それとも投票可能人数の拡大?【豊浦彰太郎のMLB on the Web】

米殿堂入りの投票は空前の有力候補者ラッシュだ。加えて、候補者の中には薬物疑惑者も含まれていることが、投票者を悩ませる。殿堂側は被投票資格期間の短縮により、疑惑者の早期排除を狙っているようだ。

2014/12/30

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投票者数を減らすべきでは?

 殿堂入りに値する候補者が本当に10人もいないと考える記者が半数もいるなら致し方ないが、これだけ候補者が殿堂の入り口で渋滞状態にあることを考慮すると、これは異常だ。ローゼンタルは、そのような事態の要因として投票者数が増えていることを挙げている。

The BBWAA needs to pare down its voting body; the number of voters increased from 456 in 1994 to 506 in 2004 to 571 in 2014, and I seriously doubt even half that many are qualified.
BBWAAは投票者数を減らすべきだ。1994年には456人だったが、2014年には571人まで増えている。彼らのうち、投票するに値するだけの見識を備えているのは半分もいないのでは、と真剣に思っている。

 これは、投票権はBBWAAに10年連続で在籍した者ならだれにでも与えられるからだ。彼らの中には、日常的に取材に携わってはいない者も含まれるという。

 そもそも、投票可能人数の12人への拡大は、空前の候補者ラッシュの中で、被投票期間が短縮されると割りを食う候補者が多く出てくることの懸念からのものだ。しかし、必ずしもそうだろうか。

 投票の行方は、心理作用も大きいのではないだろうか。例えば、2009年に最終の15年目で辛うじて殿堂入りしたジム・ライスは、資格保持期間が10年だったら殿堂入りできなかったのか?と聞かれればそうではないと思う。彼の殿堂入りが15年目だったのは、「15」という数字に意味があったわけではなく、「最終年」だったことに理由があったのだ。言い換えれば、残された年数が少なくなると記者達は「そ「そろそろ入れなきゃ」となるのではないか。

 殿堂入り投票には、不可思議な票もある。前回も野茂英雄に6票が入った。野茂は日本の野球史には確実に残る存在だが、MLBで通算123勝でしかない彼に票を投じた記者がいたことは驚きだ。それどころか、通算1272安打&165本塁打のジャック・ジョーンズに貴重な1票を費やした投票者がいたことは、嘆かわしいと言っても良いだろう。今回のルール改定で、ローゼンタルが指摘する「けちくさい行為」とともにこのような無駄な票が排除されるのではないかと期待している。

出典:”10 just isn’t enough : My hall of fame ballot” by Ken Rosenthal @ FOX Sports

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