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後釜獲得で、逆に評価はうなぎ上り。三振が少なく、出塁率の高い青木宣親の魅力

今季、後半戦に輝きを取り戻した青木宣親。各球団の評価も急上昇だ。数字が示す、青木の存在感。ロイヤルズは青木の後釜に1年契約でリオスを獲得したが、それがかえって青木の価値を浮き彫りにさせている。

2014/12/24

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世界一を目指すための強力な補強として、青木は迎え入れられる

 今季は本塁打数を前年の8本から1本へ激減させた。ただこれは本塁打の出にくいカウフマン・スタジアムを本拠地とした影響が大きい。その証拠に、二塁打は20本から22本へ。三塁打は3本から6本へと増やした。長打率で見れば、前年の.370から.360と微減させただけにとどまる。

 今季在籍したロイヤルズは、12月15日に後釜の右翼手としてレンジャーズからFAとなったアレックス・リオスと1年1100万ドル(約13億2000万円)で契約した。ところが、これがすぐさまやり玉にあがった。スポーツ専門局ESPNは今オフのワースト契約に、この補強を選定。通算165本塁打の長打力がウリだが、今季は故障がちで外野手としては114試合の先発出場に終わり、打率.280、4本塁打だった。「この金額は成績に見合わない」と指摘。逆に青木が残した数字と評価が浮き彫りにもなった。

 日本屈指のヒットマンの新天地には、どこがフィットするのか。オリオールズはクルーズ、マーカーキス、ヤングと3人もの外野手がFAとなった。今季はアリーグ優勝決定シリーズにまで進出し、1983年以来の世界一へ補強の手を緩めたくない。中軸はA・ジョーンズ、ピアース、デービスら長打力を備えるため、その前に出塁率の高い青木を据えれば得点力は飛躍的に上がる。本拠地は左翼102.7mに対し、右翼は97.5mと狭く、左打者に有利な球場なのもプラスに働きそうだ。

 レッズの本拠地も両翼、左右中間ともに狭く打者有利。青木はナリーグに在籍した2年間で、同球場でビジターでは最多の3本塁打を放っている。チームはトレードでシモン、レートスと高額が確実な年俸調停を控える先発投手を続けて放出。総年俸を下げており、青木獲得への布石と見る向きもある。

 ワールドシリーズ第7戦で敗れた青木は「最高に悔しくて、最高に楽しかった。またこの場所に立ってプレーしたい」とワールドチャンピオンへの思いを口にした。

 あと一歩で届かなかったリング。その戦いの中で、自らのプレーで評価を高めた。場所はまだわからずとも、世界一への確かな戦力として迎えられることだけは確かだ。

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