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【MLB】イチローとA-ROD、皮肉なまでに好対照だった8月7日。意味合いが全く異なる二人の涙が意味するもの

2016年8月7日、ともにシアトル・マリナーズでメジャーデビューを果たした2人のスーパースターにスポットライトが当たったが、内容はまさに好対照だった。

2016/08/13

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700本塁打クラブまであと4本

 陰と陽。見事なまでに対照的なコントラストが2人のスーパースターを照らした。

 マリナーズでメジャーデビューを飾った両雄。ヤンキースのアレックス・ロドリゲスとマーリンズのイチロー。2016年8月7日は、2人にとって一生忘れられない日曜日となった。

 メジャー通算696本塁打。「700本塁打クラブ」へあと「4発」に迫っていたロドリゲスは、ヤンキースタジアムで現役引退を発表した。今季は打率.204、9本塁打の大不振。低迷したチームはプレーオフ進出を諦め、来季以降をにらみ若手中心の起用へ舵取りしたばかり。契約は来季まで残すが、球団首脳からの「引退勧告」に逆らうことはできなかった。
「みんなに、野球にさよならを言う時が来た。誰にでも訪れる日だ」と会見では涙ながらに語った。

 全米を揺るがしたその電撃会見から、およそ8時間後。クアーズフィールドで、イチローがメジャー通算3000安打を放った。こちらは歴代30人目となる「3000安打クラブ」入り。アジア出身では初の偉業だ。チームメイトや敵地のファンからも手厚く祝福され、ベンチでは隠すようにかけたサングラスの奥から涙を流した。

 同じ涙でも重みや、色合いは全く異なった。

 ともに節目の数字が迫る両雄は、全米野球ファンの注目を集め続けていた。Xデーはいつになるのか。特にロドリゲスの目指した700号は、120年以上の歴史を持つメジャーリーグにおいてバリー・ボンズ(762本)、ハンク・アーロン(755本)、ベーブ・ルース(714本)と過去3人しかいない。すでに「3000安打クラブ」入りは済ませているスラッガーには、ボンズの最多本塁打記録更新さえ期待され、本人も意欲を示していた。

 何度も手を染めた禁止薬物使用の陰が、晴れることは決してない。14年シーズンには、ポストシーズンを含め全試合出場停止処分を受けた。ブランクをモノともせず昨年15年は33本塁打。薬の力で本塁打を量産してきた一方で、この空白の1年さえなければどこまで記録を伸ばせたのか。

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