大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



Home » メジャーリーグ最新情報 » 前田健太 » 【ド軍番米国人記者の眼】前田健太の活躍は予想通り?予想外? 開幕前『スカウティング・レポート』から検証

【ド軍番米国人記者の眼】前田健太の活躍は予想通り?予想外? 開幕前『スカウティング・レポート』から検証

前田健太のメジャーリーグ1年目の活躍をここまで予測できた米国人記者はいただろうか?開幕前の前田のスカウティング・レポートと今の活躍ぶりを見比べてみた。

2016/07/21

text By

photo

Getty Images



中4日に慣れてきたとは数字では証明しがたい

 広島東洋カープから、前田健太がロサンゼルス・ドジャースへ移籍した直後の今年冬には、彼の球種が米国でどの程度通用するのか、確固たる試算ができる人間は皆無だった。我々米国記者ができることと言えば、スカウト陣に質問を重ね、彼らの推測を伺うことしかなかった。なので、我々はオフの間、スカウティング・レポートばかり眺めていた。

 そして、季節も大きく変わった今、そのスカウティング・レポートを振り返ってみたい。ルーキーイヤーも折り返し地点を過ぎ、前田の長所・短所は、米国スカウト陣の予測通りだったのか? それとも、当時の我々には見えなかった何かが存在しているのだろうか?

 その答えは、ともに「イエス」である。

 前田がメジャーリーグで最もアジャストしなければならなかったのは、先発ローテ5人制だった。つい先日、前田本人は「中4日ローテにようやく慣れてきた」とコメントしたばかりだ。しかし彼のスタッツから、そのコメントを裏付ける数字は出していない。

 今シーズン、前田が無失点を遂げた4試合のうち3度は、中日が5日あった時だ(残りの1試合は、レギュラーシーズン初戦だったため統計上は中4日の計算となるが、その前の公式戦では、49球しか投げていない)。実際、前田の防御率は、中5日(2.54)と中4日(3.59)では、大きく差が開いている。また、勝敗も中5日では4勝1敗、中4日では3勝5敗だ。

 関連材料として、前田の速球にも差がみられている。中5日での球速は89~94マイル(143~151キロ)なのに対し、中4日では87~92マイル(140~148キロ)に落ちるのだ。『ESPN.com』は、中4日での登板が前田の球速に影響するだろうと予測していた。先発投手の球速平均は92マイルのメジャーリーグにおいて、これは非常に大きな懸念材料と言える。

 一方で、前田の球速はシーズン序盤よりも上がっている。4月の平均球速は90.2マイル(145キロ)、6月は91.15マイル(147キロ)、7月(登板3試合での平均)は90.86マイル(146キロ)だ。

1 2 3