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【ド軍番米国人記者の眼】前田健太、新人王には少し歳を取り過ぎている? 日本人選手が活躍するたびに再燃する投票問題

ロサンゼルス・ドジャースの前田健太は開幕から先発ローテーションの一角として好成績をおさめている。新人王を狙える位置にいるが、日本で実績をあげた投手に新人王の候補として投票すべきかどうか、米メディアではいつも議論になる。

2016/06/17

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松井秀喜が受賞しなかったのは年齢

 前田の視点は、我々BBWAA会員が、常にジレンマを感じる点だ。
 日本人選手は、毎年メジャーリーグの新人王候補に名前が挙がる。しかし、投票する側としては、彼らのスタッツ以外の要素を検討しなければならない。「すでに母国で経験豊富な日本人選手と、今からキャリアを積もうとしている若手メジャー選手を同じ土俵で比較してもよいのかどうか」をよくよく検討しなければならないのだ。

 そして、この点こそが、毎年我々の頭を悩ませる原因で、かつ、イチローの受賞以来、日本人選手に新人王が出てこなかった理由でもある。

 例えば2003年には、松井秀喜がニューヨーク・ヤンキースに入団したアリーグ新人王候補にのぼった。打率.287、16本塁打、106打点、出塁率は.353だった。さらにそのシーズン、アリーグの左翼手の中で群を抜き、補殺数11を記録していたのだ。

 結局、この年の新人王は、松井ではなく、カンザスシティ・ロイヤルズのアンヘル・ベロアが受賞した。ベロアのスタッツは素晴らしく、打率.287、17本塁打、21盗塁と松井同様の数字を残していた。だが、彼の出塁率(.338)、打率(73)は、松井に比べて随分低く、失策数はアリーグ最多を記録していた。その点が今も気になっている。

 それでもベロアが新人王を獲得した背景に、この年齢の差があった。ドミニカ共和国出身の遊撃手であるベロアは、当時25歳。松井は29歳だった。

 この年齢の差を考慮すべきだったのかは、今でもわからない。

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