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【MLB】イチローとコローン、1973年生まれで投打の最年長。対照的な2人のレジェンドが抱く互いへの敬意

マーリンズのイチローとメッツのバートロ・コローンはともに1973年生まれで野手、投手でそれぞれ現役最年長だ。過去107度の対戦がある両者が相まみえる場面は、今季中にもありそうだ。

2016/06/07

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監督として両選手と戦ったメルビンの視点

 年齢を重ねる過程での2人のプレースタイルのコントラストも興味深い。キャリア19年で通算222勝のコローンは、2005年にサイ・ヤング賞を受賞した頃は剛球型だったが、現在は技巧派へ大きくモデルチェンジしている。それに対し、イチローはデビューの頃から一貫して俊足・好守の安打製造機だ。

“Baseball is a game of intelligence and the fact that he used his mind to transform himself from a power pitcher to more of a finesse pitcher in order to extend his career as long as he has is something I’m really interested in,”
「野球は知性で戦うスポーツだよ。彼は、自分の選手寿命を長らえるためにパワー投手から技巧派へ変身する決意をした。これはすごいことだよね。感心するよ」とはイチローのコローンに関する弁だ。

 コローン自身はヤンキース在籍の2011年に転機があったと述べている。

「捕手のフランシスコ・セルベリ(現パイレーツ)から、打者の心理にもっと注意を払えと忠告を受けたんだ」。

 両人とも監督として指揮した経験を持つアスレチックスのボブ・メルビンのコメントも引用されている。「若い頃のコローンは97マイルの速球で全員を三振に切って取ろうとしていたよ。それがいまやタマ数を節約することを重視した投球を心掛けている」

 イチローはコローンとは異なり、若いころからプレースタイルに変化がない。しかし、役割は変わった。メルビンはイチローの適応能力に敬意を表している。「今や外野はどこでも守っている。ひとつのポジションに専念し入念な準備を怠らなかった選手には大変なことだと思うよ」

 シアトルでの11年半の間、イチローは一番ライトが定位置だった。記事では、その彼が昨季は3つのポジション全てで50イニングス以上を守り、打順も4番以外は全て経験したこと、ここ2年とも代打安打数ではチーム内トップと、限られた機会にも順応し結果を出していることを紹介している。

 イチローのヤンキース時代のコーチでもあった現メッツ打撃コーチのケビン・ロングはイチローをこう表しているという。

「代打というのはとても難しいものなんだ。実績のあるベテランは特に嫌がる傾向にある。自分の輝かしいキャリアの中では地味な役回りだからね。しかし、イチローは違う。それにも全力で取り組んでいる。それが、チームから求められている役割だと理解しているからだろう」

 今回の3連戦では、残念ながら2人の対決は実現しなかった。4日の第2戦でコローンは先発し、5回を自責点1と好投したが、イチローの代打での出番の前に降板していた。しかし、同地区の両球団の対戦はまだ13試合も残っている。この2人の73年生まれの対戦数がさらに増える可能は十分ありそうだ。

出典:“Ichiro Suzuki and Bartolo Colon, the oldest guys in the room, meet again” @ The Wall Street Journal by Brad Lefton in Jun. 3rd 2016

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