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第7戦まで戦い抜いた青木宣親選手に大きな拍手を【小島克典の「通訳はみだし日記」】

横浜ベイスターズ、サンフランシスコ・ジャイアンツ、ニューヨーク・メッツの3球団で通訳として活躍した小島克典氏による書き下ろし連載「通訳はみ出し日記」。連載5回目は、ワールドシリーズ第7戦で惜しくも敗れた青木宣親選手についてだ。

2014/11/03

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忘れもしないベイカー監督の言葉

 2002年のワールドシリーズ開幕前日。チーム最後のミーティングでダスティ・ベイカー監督がこんなゲキをくれた。

「ワールドシリーズは勝たなければいけない戦いだ。勝者は永遠に勝者となる。なぜなら多くの人の記憶に残るからだ。しかし敗者はその逆で、敗れた記憶を自らの胸に刻まなければならない。なぜなら敗れた者のことなど、誰も覚えちゃいないからな」

 現役時代はドジャースの外野手としてワールドシリーズに3度出場し、優勝も敗退も経験してきたダスティの言葉はすごく説得力があって、日本語に訳しながら「あぁ、いい言葉だな」と思った。

 英語を聞き、ほぼ同時に日本語に訳しながら、言葉に出さない他の感情が頭に浮かんだ特別な瞬間だったので、あの時のダスティの話は今も鮮明に覚えている。

 その年のワールドシリーズは、今年と同じく第7戦までもつれた。当時サンフランシスコ・ジャイアンツに在籍した新庄剛志さんはワールドシリーズ第1戦にDHでスタメン出場して、2打席目にヒットを放った。

 すると試合後に野球殿堂の館長が訪ねてきて「日本人初のワールドシリーズ出場、初安打、おめでとうございます!あなたの野球道具を野球殿堂に飾らせてください!」と言ってきた。モノに執着のない新庄さんは快くバットとキャップを差し出し、野球殿堂からライフタイムパス(しかも通訳の僕の分まで)を頂いた。アメリカ人にとってワールドシリーズとは、それほど特別な舞台なのだ。

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