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止まらぬMLBスカウトの解雇。セイバーメトリクス重視のチーム編成が背景に

「マネーボール」をきっかけに従来のスカウティングから野球界はデータ分析を含めたセイバーメトリクスを重視する時代に突入した。そのため長年野球界でスカウトとして務めていた人材が多く行き場を失っている。

2016/01/16

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突如、仕事を失うスカウトたち

 このシーズンオフ、MLBの野球界を震撼させているのは仕事を失い、再就職ができないスカウトの数々だ。
 中には46年間野球界でスカウト、さらには役員クラスとして携わってきた元GMのジョー・マッケルべン氏や人生の大半をスカウト業に費やしてきた51歳のジェフ・レン氏なども含まれる。
 
 今年ほどプロフェショナルベースボール・スカウトファウンデーション(スカウトを支援する財団)では、 職を失い金銭的な支援を依頼されたことはないと、シンディ・パイセル二事務局長は全国紙『USAトゥディ』のインタビューに答えた。10月以降でもすでに20人からの金銭的な支援の依頼を受けたことも付け加えた。
 
「一時は58人のスカウトを雇用していたMLBスカウティング・ビューロー(MLBスカウト局)も今では17人にまで減り、その減少の動きはこれからも続く模様で、スカウト局に残っている人間でさえも次の職を探すように忠告されているようだ」とボブ・ナイティンゲール記者はいう。
 
 ビル・ババシ局長は球界で噂となっているスカウト局の閉鎖は否定したものの、MLBスカウト局は映像分析や医療に関する情報を選手に提供することに方向性を変えていき、さらには海外の選手にも視点を向けていくことになるだろう、と話した。
 
 野球に人生を注いできたスカウトたちが突如仕事を失い、路頭に迷っている姿を多く見受け、それを支援するためにプロフェショナル・ベースボール・スカウト・ファンデーション(財団)を立ち上げたというデニス・ギルバートチェアマンも、「スカウトにとっては最悪の時代になった」と話し、仕事を求めてくるスカウトから電話が1週間に15-20本掛かってくると話した。
 
 そもそもプロフェショナルベースボール・スカウトファウデーションは「マネーボール(オークランド・アスレチックスのビリー・ビーンGMがセイバーメトリクスを用いた野球の編成手法にスポットを当てた本、そして映画)」の影響で各球団がスカウトを解雇し、チーム編成をセイバーメトリクス重視に考え初めた流れへの危機感から発足された財団だった。
 
 その現状に対して、ナイティンゲール記者は皮肉な表現を使って述べた。
 
“Teams are relying more heavily on analytics and sabermetrics than at any time in baseball history, with teams treating veteran pro scouts as if they’re old eight-track car stereos, needless in today’s game. Even McIlvaine, the former GM of the Mets and Padres.”
「チームはこれまでの野球史においてもっともデータ分析とセイバーメトリクスに比重を置き、ベテランのスカウトたちをカーステレオ用8トラック(カートリッジ式の磁気テープ再生装置)のように今では必要のないものとして扱い、それはメッツやパドレスでGMを務めていたマッケルベンも異例ではない」

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