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【豊浦彰太郎のMLB on the Web!】球団への恩返しと先発復帰への夢~タフガイ田澤純一の価値と未来

MLBライター・豊浦彰太郎氏のコラムがスタート。このコラムでは、毎週木曜と日曜に現地メディアがMLBのホットな出来事や日本人選手の状況をどう伝えているかを紹介していきます! 第1回目は田澤純一投手の起用法について、現地メディアからの報道です。

2014/10/26

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Getty Images

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Boston Red Sox v Pittsburgh Pirates

勝負所で起用 分業制が徹底しているアメリカでは珍しい方針

 今季、レッドソックスの田澤純一の獅子奮迅の活躍は特筆ものだった。2年連続で71試合に登板し、防御率2.86を記録した。しかし、表面上の成績だけでなく田澤の価値はその起用法に考慮すると一層際立つ。セイバーメトリクス系サイトのFangraphsはデビッド・ローリア記者の筆でこう評している。

His job isn’t simple. Along with frequently facing high-leverage situations, he doesn’t have one designated inning. Tazawa pitched in the eighth inning 45 times this year, and 16 times in the seventh. He also made appearances in the sixth, the ninth, and in extra frames.
Further impacting Tazawa’s preparation has been his usage relative to the scoreboard. He entered 29 games with the Red Sox trailing. On 28 occasions he entered with a lead.
彼の役目は簡単なものではない。重要な場面で頻繁に起用されるというだけなく、特定の担当イニングがないのだ。今季8回に登板したのが45回で、7回も16度あった。それだけでなく、6回や9回、延長戦に入ってからの起用もあった。さらに驚くべきは、登板する場面での得点差だ。レッドソックスがリードを奪われている場面で29度、リードしている場面で28度登場している。

 分業の概念が徹底し、リリーバーの起用は、「同点もしくはリードしている場面での8回」とか「僅差の終盤での左打者へのワンポイント」など場面が原則として限定されていることが多いMLBでは、田澤のようなケースは比較的珍しい。

 しかし、これは点差やイニングに関係なく重要な場面で起用されているとも言える。野球史家にしてセイバーメトリクスの父であるビル・ジェイムズは、「防ぐべき失点の重みが最も大きいのは同点の場面で、次いで1点リード、1点ビハインド、2点リード、3点リード、2点ビハインド」としている。優秀な救援投手は2点リードしている場面より1点差で負けている場面で投入する方が重要、と主張しているのだ。このことは田澤も理解しているようで、このような起用法にも前向きだ。彼のコメントは通訳を通じ、次のように紹介されている。

“My job doesn’t really depend on whether we’re winning or losing,” “There is the possibility I will get into either situation, so I’m looking at the pitch count and trying to get my blood flow going. I need to be able to step right in there.”
「ボクの仕事は勝っているか負けているかは関係ないんだ。どっちの場面でも登板する可能性がある。だから(その時点でマウンドに上がっている投手の)タマ数をしっかりチェックし心身の準備に努めているんだ。すぐにでも登板できるようにね」

 この起用は肉体面、精神面のどちらによりタフかを聞かれ彼はこう答えている。

“I would say that it’s more taxing mentally, It’s not easy to not know, but preparing with uncertainty is part of being a middle reliever.”
「そりゃ、精神面のほうがシンドイですよ。出番のタイミングがいつかはわからないのは楽じゃない。でも、はっきりしない状況でも準備を怠らないのは中継ぎ投手の宿命みたいなものなんで」

 今やレッドソックスの不動のセットアッパーの田澤だが、2009年にメジャーデビューした際は先発投手だった田澤は先発復帰の夢も諦めてはいないようだ。ローリア記者はこうも記している。

He won’t admit it – at least not publicly to American reporters – but he’d prefer to be a starter. According to a Japanese source, Tazawa will embrace the opportunity if it is ever presented. He broke into the big leagues as a starter and a chance to return to that role could be a selling point when he becomes a free agent in 2017.
少なくともアメリカのレポーター達には公式に認めることはなさそうだが、彼は先発復帰を望んでいるようだ。日本人筋の情報によると、もし(先発の役割を)与えられると彼は喜んで受け入れるとのことだ。彼は元々先発投手としてメジャーデビューを果たしているし、2017年にFAとなった際に(彼の獲得を目指す球団は)先発起用を持ち出すと優位に立てるだろう。

 とは言え、やはり田澤は日本人だ。

“I would be able to build up the endurance to be a starter,” said Tazawa. “But I feel that I owe this team a lot. They stuck with me through the hard times — the injury and [Tommy John surgery in 2010] – so I’ll do whatever they feel I can do best.”
「先発投手として長いイニングを投げるだけのスタミナも養えると思っている。でも、チームには恩義を感じているんだ。故障に苦しんだ時も(2010年に右ひじのトミー・ジョン手術を受けた)ぼくをサポートしてくれた。だから、チームにとってベストなことは何でもやるよ」

記事出典:
Fangraphs “Tazawa’s Role, Perkins’ Bullets, Butler, Buck, Baseball Americana” by David Laurila – October 19th 2014

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shiro





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