ベースボールチャンネル http://www.baseballchannel.jp ja データやコラム、多角的な視点で野球の魅力を発信! Copyright © 2016 kanzen Ltd. All Right Reserved. Fri, 09 Dec 2016 09:52:31 +0900 ベースボールチャンネル(BaseBall Channel) http://www.baseballchannel.jp sports NPB,クリーブランド・インディアンズ,スポーツ,プロ野球,北海道日本ハムファイターズ,村田透 http://www.baseballchannel.jp/npb/25429/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25429/ Fri, 09 Dec 2016 06:50:05 +0900 Fri, 09 Dec 2016 09:52:31 +0900 元インディアンス村田透、6年ぶり日本球界復帰が意味するもの――「不作」と称された世代の再挑戦
Getty Images

過酷なマイナー生活を経てつかんだメジャーデビュー

 再挑戦が始まる。

 元クリーブランド・インディアンスの右腕・村田透が6年ぶりに日本球界へと復帰する。入団することになった北海道日本ハムファイターズが発表した公式の談話では「今シーズン終了後、今後について思いを巡らせていた中、いち早くファイターズからお話があり、高い評価をいただいたのが入団の決意を固める要因になりました。今は非常に気持ちが高ぶり、すぐにでもファイターズのユニフォームに袖を通しプレーしたいという思いで一杯です」ととても彼らしい謙虚な言葉で綴っている。どんな状況に陥ってもあきらめず挑戦を続けてきた彼の帰還を大いに歓迎したい。

 今、思い返すと、村田の挑戦はあの日から始まったといえるのかもしれない。
 あの日とは、2010年10月、当時に所属していた読売ジャイアンツから戦力外通告を受けた翌日のことである。

 戦力外通告を受けた選手の中には気持ちの整理がつかず、自暴自棄になるケースが多く、数日間、姿を見せないというのもしばしばあるそうだ。

 当時の村田も、そんな気持ちに苛まれたが、彼はそこで挫けなかった。
 かつて、あの日のことをこう語っている。

「あの年は8月からはほとんど試合で投げる機会さえもらっていなかったので、戦力外になる予感はありました。でも、親や応援してくれる人たちに活躍した姿を見せたいと思ってやっていたんで、(戦力外になったことは)すごく悔しかったですね。僕は、日頃はあんまり泣かないのですが、あの時は(兄貴に電話で)泣きました。どうでもいいやって気持ちになったんですけど、その時に思ったんですよ。これで、明日、練習に行かなければ、終わるなって。僕の野球人生終わっちゃうなって。そんな気がしたんで、グラウンドに行ったんです」

 翌日の練習に行けば何かあるわけではない。
 けれども、村田は自分との戦いに何とか勝つという挑戦を自分に課したのだった。
 この想いが彼にとって始まりだった。

 その後のトライアウトでは日本の球団からは選手としての声はかからなかったものの、インディアンスからマイナーとしての挑戦を打診される。プレイヤーとして「燃え尽きた」という感覚がなかった村田は、そこで決断したのだった。

 それからの6年、過酷なマイナー生活を送った。

 1Aのなかでもハイエーから始まり着実に歩みを進めたときもあったが、3Aに上がって2Aに戻るなど足踏みしたこともあった。それでも挑戦することを決めた村田が立ち止まることはなかった。マイナーは9月にシーズンが終わるが、彼は帰国もほどほどに、また飛行機に乗った。メジャーに在籍した6年間のうち、5年はその身一つでウインターリーグに乗り込んでいっていたのである。

 マイナーでの生活と同様、通訳はついていない。メジャーの卵たちが、未来を夢見るように、村田もまたオフになっても、成長する機会を得ようと必死だった。昨季、DeNAの筒香嘉智がドミニカのウインターリーグに武者修行に向かったことで日本国内の認知度も多少なりとも広まったが、メジャー傘下に所属する人間からすれば、常に、自身が成長するための場に足を運ぶことは至極自然の流れだ。

日本で戦力外を受けた男が、再び日本へ

 もっとも、一筋縄ではいかないことも多かったが、以前に「言葉は分からなくても何とかなるんですよ」と簡単にいってしまう村田には、生きる力さえ感じたものだ。

 昨季1試合のメジャーデビューを果たしたのは、彼の挑戦する想いの深さがあってのものだろう。

 そんな村田が日本球界に復帰することで、何をもたらすのかは非常に興味深い。

 村田は日本の1軍での登板経験がない。日本で戦力外を通告された選手が、MLB傘下のチームにその身一つで挑戦して、そこでの実績や内容を再び、日本の球団に評価されて入団とするというプロセスは、意義のあることだ。

 もし、彼が先発投手として2ケタ勝利を収めるようなことが起きれば、それは物凄いストーリーの完成といえよう。

 来年で32歳になる村田の同世代は、多くの選手が球界を去っている。
 なかでも驚きは、彼が大学時代に「BIG3」と騒がれた大場翔太(元中日ドラゴンズ)、長谷部康平(元東北楽天ゴールデンイーグルス)、加藤幹典(元東京ヤクルトスワローズ)がすでに戦力外となってしまったことだ。実は、彼らの世代は「不作」と言われており、これに関して村田自身も想いを持っていたのだ。大学時代の取材ノートを読み返すと、こんな言葉だった。
 
「大学の代表合宿に行ったときに、大場(翔太)と会ったんですけど、その時に、俺たちの世代しょぼくない?って話を大場がしていたんですよ。僕らの世代って高校の時から、あまり目玉の選手っていないですよね。大学では大場が中心になると思うんですけど、いつか、“村田世代”って呼ばれるように頑張りたいなと思います」

3日米10年目のシーズン、どんな活躍を見せるか

 村田世代――。
 今となっては、もう手遅れな話である。
 田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)、前田健太(ロサンゼルス・ドジャース)、坂本勇人(巨人)、秋山翔吾(埼玉西武ライオンズ)らの世代、筒香嘉智(横浜DeNAベイスターズ)や今宮健太(福岡ソフトバンクホークス)、菊池雄星(西武)、大瀬良大地(広島東洋カープ)岡大海(日本ハム)、高梨裕稔(日本ハム)らの世代、山田哲人(ヤクルト)、西川遥輝(日本ハム)、駿太(オリックス・バファローズ)、山﨑康晃(DeNA)、中﨑翔太(広島)らの世代が今の野球界を席巻し、今さら村田世代が球界をけん引するということにはならないだろう。

 しかし、村田が日本を離れている間に、多くの同世代球界を去ってしまった今、世代を引っ張る旗頭になるというのも悪くない話ではない。

 これからチームメイトになる宮西尚生や市川友也、ヤクルトの成瀬善久、巨人の西村健太朗、広島の松山竜平と小窪哲也、楽天の聖澤諒、千葉ロッテマリーンズの荻野貴司、清田育宏、内竜也などが同じ世代になる。ベテランの域に差し掛かりつつあるとはいえ、まだ老け込む年齢ではない選手たちと球界を盛り上げてもらいたいというものである。

 村田にとって、今回の復帰はたくさんの意味での再挑戦となるわけである。

 巨人の3年で自身の甘さを知り、その後のアメリカでの6年につなげた。
 そして、アメリカでの6年間があったから、これからの再挑戦の日々が始まるともいえるだろう。

 日米合わせて10年目のシーズンになる2017年、村田はどんな活躍を見せてくれるのか。
 新たな挑戦を楽しみに見て行きたい。

]]>
sports Kenta Maeda,Losangeles Dodgers,Major League,MLB,メジャーリーグ,ロサンゼルス・ドジャース,前田健太 http://www.baseballchannel.jp/mlb/25571/ http://www.baseballchannel.jp/mlb/25571/ Thu, 08 Dec 2016 16:00:00 +0900 Thu, 08 Dec 2016 16:00:00 +0900 【MLB】前田健太WBC出場を辞退か? ド軍監督「どんな決断を下そうとも、私たちは支持する」
Getty Images

過去のWBCでも好投したが……

 今季メジャー1年目をチームトップの16勝を挙げ、ドジャースの地区優勝に貢献した前田健太。契約前のメディカルチェックで肘に不安が見つかりながらも唯一開幕からローテーションを守り抜いた。賞賛に値する大黒柱の働きだった。

 そんな前田に関し、現在注目されているのは来年3月に開幕されるWBCに出場するかどうかだ。

 日本代表の投手陣は、11月の強化試合で不安を見せ、前田が加わるとなれば心強いことこの上ない。

 前大会では初のNPB選手のみで挑み、プエルトリコの前に沈んだ侍JAPAN。打線は強化試合で好調だったものの、これまでの国際大会を考えると本番ではロースコアの展開が予想される。

 そういう状況で確実に勝利を収めるためには、やはり投手陣がカギを握るだろう。中でも、メジャーの打者との対戦経験がある前田(田中、ダルビッシュ、岩隈にも言えることだが)の加入は、いわば優勝への「必須条件」とも言える。特に前田は前回大会でも予選2試合を無失点、敗れた準決勝のプエルトリコ戦でも5回1失点と結果を残し国際大会に強いという点も証明してきた。

前田のどんな決断も支持

 そんな前田のWBC出場の可能性に関して『ESPN』のドウグ・パディラ記者によると、今週月曜日、MLBで行われたウィンターミーティングの際にロバーツ監督は日本メディアから前田のWBC出場に関しての考えを聞かれ、以下のように答えたという。

“I think that … I don’t know,” Roberts said. “I think that Kenta declined.”
「詳しくはわからないけど、ケンタは辞退したんじゃなかったかと思う」

 これを受けて、パディラ記者も「ウィンターミーティングでのロバーツ監督の発言からして、前田はWBC出場を辞退したと思われる」と報じた。

 しかし、ロバーツ監督はドジャースの公式サイトでは「ケンタは辞退したのか? 私は知らないんだ」とも述べ、前田がWBC出場を辞退したのかは未確定だ。

 記事内では、さらにロバーツ監督のコメントを紹介している。

“Whatever decision he makes, we will support,” Roberts said ultimately. “Obviously, when you’re playing for your country it’s important. But obviously him being ready for the season is important for us as well. But as an organization, whatever the player wants, we’re going to support.”
「前田がどんな決断を下そうとも、私たちは支持する」とロバーツ監督は述べている。続けて「選手たちが国のためにプレーするのは間違いなく大事なことだ。しかし、彼が来シーズンの準備を万全にしてくれることも我々にとっては重要だ。いずれにせよ球団として、どんなことであれ選手たちが望むなら我々は支持する」

]]>
sports Koji Uehara,Major League,Miami Marlins,MLB,NewYork Yankees,sports,イチロー,スポーツ,ニューヨーク・ヤンキース,マイアミ・マーリンズ http://www.baseballchannel.jp/mlb/25580/ http://www.baseballchannel.jp/mlb/25580/ Thu, 08 Dec 2016 12:10:00 +0900 Thu, 08 Dec 2016 12:10:00 +0900 【MLB】次の同僚はイチローか田中? 上原にマーリンズとヤンキースが興味か
Getty Images

レッドソックスの退団は確定的

 古巣ボストン・レッドソックスからの退団が確実となり、ボルティモア・オリオールズ、テキサス・レンジャース、ボストン・レッドソックスに続く自身メジャー4球団目となる所属球団を探す上原浩治。来季で41歳を迎える上原だが、マイアミ・マーリンズやニューヨーク・ヤンキースがプランBとして興味を示していることが報じられるなど依然、注目度は高い。

 今オフのFA市場はトップクラスのクローザーが豊富に出揃っている。現地5日に今季47セーブのマーク・メランソンがサンフランシスコ・ジャイアンツと4年6200万ドルで契約合意に至ったことが球団から発表されたものの、まだ元ドジャースのクローザーであるケンリー・ジャンセン、そして世界最速男のアロルディス・チャップマンという2人の大物が残っている。

 今オフにクローザーの獲得を目指すマイアミ・マーリンズのプランAもこの2人だ。『MLB.com』は以下のように報じている。

MLB.com was told the club has interest in the two top closers on the free-agent market — Aroldis Chapman and Kenley Jansen. If they opt to not spend what it takes to land either of those two, Miami also has interest in both Brad Ziegler and Koji Uehara.
マーリンズはFA市場における2人のトップクローザー、アロルディス・チャップマンとケンリー・ジャンセンの獲得に興味を示している。もし彼らが2選手のどちらにも大金を費やさないことを選んだ場合の選択肢としてはブラッド・ジーグラーや上原浩治の名前もあがる。

 圧倒的な実力を誇る両選手だけに獲得には大きな出費を求められる。チャップマンはリリーフ投手では初となる総額1億ドルを超える契約を得る可能性もあると報じられており、ジャンセンは規模こそ少し落ちるものの、ドジャースからQO(クオリファイング・オファー)を受けているため、獲得に際してドラフト指名権を譲渡する必要がある。

 地元紙等では、出費をいとわずに大物クローザー獲得に全力を尽くすという旨が報じられているが、マーリンズは元来チーム作りにお金をかけないことで悪名高い。今季も年俸ランキングでは28位、メジャーワースト3位となっている。その上来季優勝を狙える戦力とは言い難いチーム事情を考えれば、ジャンセンやチャップマンから上原らより安価な選手の獲得に方向転換する可能性は十分にある。

ヤンキースもリリーバーを探している状況

 また現地5日には、ニューヨークの地元紙『NEW YORK POST』が、「マーリンズはヤンキースがクローザーを追う上での重要なドミノになるかもしれない」という記事を掲載した。同記事ではもしマーリンズがジャンセンとの契約に成功すれば、ドジャースがチャップマン獲得に乗り出すためヤンキースがチャップマンを復帰させることは難しくなることを示唆している。

 同紙は、あくまでチームのプランAはチャップマンとしているが、一方で「キャッシュマンGMはグレッグ・ホランドや元ヤンキースのマイク・ダン、それに上原浩治や、ブラッド・ジーグラーらの代理人とも話し合いを続けている」として、同時進行で複数のリリーバーと交渉していることも明かした。

 既にヤンキースには球界屈指のリリーバーの1人に成長したデリン・ベタンセスが在籍しているが、もし上原が加入した場合、クローザーに抜擢される可能性もあるという。

Even though they profess confidence Dellin Betances can handle the closer’s role they would prefer to have the three-time All Star work before the ninth.“We are trying to find more relievers to go with him,” Cashman said. “Whether it’s someone that goes above him or someone behind him.”
ヤンキースはベタンセスがクローザーの役割をこなせることを信じていると明言しているが、彼らはオールスター3度のリリーバーを9回より前のイニングで使うことを好んでいる。キャッシュマンGMは、「ベタンセスと共に並ぶことのできるリリーバーを探している。それは彼の前に投げる投手か後を任せる投手かは問わない」

 ヤンキースには田中将大も在籍。上原が加入すれば来季もまた日本人投手リレーが見られる可能性は高い。アリーグ東地区も上原にとってはメジャー生活8年のうち6.5年を過ごした慣れ親しんだ場所だ。一方で、マーリンズに加入すればイチローとの40代コンビが実現する。若いチームに2人の大ベテランがどんな影響を与えられるのかは非常に興味深い。上原の移籍先はヤンキースかマーリンズかはたまた別の球団か。

出典:Marlins in pursuit of Jansen, Chapman by Joe Frisaro in MLB.com on Dec.6 2016
Marlins may hold crucial domino in Yankees’ closer pursuit by George A. King III in NEW YORK POST on Dec.5 2016

]]>
sports NPB,オリックス・バファローズ,スポーツ,プロ野球,中日ドラゴンズ,北海道日本ハムファイターズ,千葉ロッテマリーンズ,埼玉西武ライオンズ,広島東洋カープ,東京ヤクルトスワローズ http://www.baseballchannel.jp/npb/25561/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25561/ Thu, 08 Dec 2016 11:31:44 +0900 Thu, 08 Dec 2016 11:31:44 +0900 遊撃手としては北條が上? 鳥谷の起用法は、来季阪神の大きな課題【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

実績十分だが、気がかりなここ数年の数字の衰え

 複数メディアの報道によれば、阪神タイガースの金本知憲監督は、来季構想について「(外野の)糸井(嘉男)、福留(孝介)以外は白紙」と考えているようだ。

 他のポジションはベテランも若手も、横一線の競争ということだが、そうなると注目されるのが鳥谷敬だ。

 鳥谷は現在のNPBで最も実績のある遊撃手だ。
 ベストナイン6回、ゴールデングラブにも4回輝いている。

 しかしながら、ここ3年ほど、遊撃手としての能力に疑問符が打たれるようになってきた。それに加え、2016シーズンは打撃もいまひとつだった。
 12球団の遊撃手の成績を比較してみよう。赤字はこの表での最高記録。太字はリーグトップ。OPSは出塁率+長打率、打撃の総合指標。RFは守備機会÷試合数。守備範囲の広さを示す。

2016NPB遊撃手

 遊撃手は二塁手、三塁手に比べて守備機会が多い上に、俊敏性を求められる難易度の高いポジションだ。
 それだけに打撃には多少目をつぶっても、守備の名手を起用することが多いのだが、今のNPBには守備だけでなく、打撃でも貢献度の高い遊撃手がたくさんいる。「遊撃手豊作時代」と言ってもよいだろう。

 またこの顔ぶれを見れば、遊撃手が固定できていない、あるいは遊撃手の成績が悪い球団は、クライマックスシリーズ進出が難しいことも見て取れる。

 そんななかで、鳥谷の成績は他球団に比してはっきりと見劣りする。
 打率、打点など、下位に低迷。リーグ屈指の選球眼は健在だが、その数字を加味しても打撃の総合指標であるOPSが.667とは全く物足りない。遊撃手であっても.700はクリアしたいところだ。

 それに加えて気がかりなのは守備成績だ。118試合に遊撃手として出場している鳥谷は、守備機会=処理した打球の数が、442。1試合あたりの守備機会であるRFは3.75。これは、100試合以上出場した正遊撃手の中では極端に低い数字だ。

 守備率は平均レベルも2016シーズンは、イージーゴロを取り損なうなど、これまでの鳥谷では考えられないような失策も目に付いた。

 金本監督はこのため、8月中盤から北條を正遊撃手に固定し、9月以降は鳥谷を三塁に回した。2人の成績を比較しよう。

試合数は少ないが、攻守にわたり鳥谷を上回る数字を残した北條

 守備成績は遊撃手だけのもの。

阪神2016遊撃手

 北條は今季一軍での出場チャンスをつかんだ若虎だが、打撃成績で鳥谷を上回った。
 しかも守備率でも、RFでも北條が上だ。
 RFは守備機会÷試合数(今回は遊撃手として出場した試合数)だから、守備固めなど途中出場が多い選手のほうが本来は低くなるはずだ。北條が遊撃手としてフルイニング出場した試合は25試合だけ。それでも鳥谷のRFを上回っている。数字のみを見比べれば、遊撃手としての能力も、北條が上回っていると言ってよいだろう。

 数字を見る限りでは、鳥谷を来季、これまでのように正遊撃手として起用するのは厳しい状況だ。
 また守備機会が遊撃手よりも少ない三塁手には、打撃での成果が求められるが、今年の成績では明らかに物足りない。

 鳥谷は今年一軍公式戦への連続フルイニング出場が667試合で途切れた。しかし連続試合出場記録は1752試合まで伸びて継続中だ。衣笠祥雄の2215試合、金本知憲の1766試合に次いで史上3位。

 金本監督にとって、あと14試合で自己の記録に並ぶ鳥谷をどのように起用するかは、難しい判断になるだろう。
 その上に鳥谷は2015年に年俸4億円(推定)で5年契約を結んでいる。球界屈指の高年俸選手を控えで使うわけにもいかない。

 当然、鳥谷が攻守において完全復調を果たし、好成績を挙げれば、すべての問題は解消する。阪神にとって、鳥谷をどう生かしていくかは、来季を臨むうえでも非常に大きな課題となるのは間違いない。

]]>
sports NPB,スポーツ,プロ野球,中日ドラゴンズ,吉見一起,山﨑康晃,広島東洋カープ,東京ヤクルトスワローズ,東北楽天ゴールデンイーグルス,横浜DeNAベイスターズ http://www.baseballchannel.jp/npb/25240/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25240/ Thu, 08 Dec 2016 06:50:20 +0900 Fri, 09 Dec 2016 00:52:00 +0900 楽天ドラ1・藤平尚真、ノムさん以来の19番。セでは1年目から5人が活躍した背番号も、パリーグは?

セでは野村、山﨑、石川が新人王に。高卒では藤浪が2ケタ勝利

 今年のドラフト会議で指名された選手たちの新入団発表会が各球団で行われている。東北楽天ゴールデンイーグルスにドラフト1位指名された藤平尚真(横浜高)は、背番号19のユニフォームで来季プロとしての第一歩を踏み出す。最速152キロの直球が武器の右腕は、1年目から活躍が期待されている。

 楽天の背番号19は創設1年目の05年に川尻哲郎(阪神~近鉄)が着け、その後06年に就任した野村克也監督が4年間背負った番号だ。19番は野村監督が現役時代にも着けていた番号で、一と十の位を足して10になる自身の“ラッキーナンバー”としていた。

「生涯一捕手」を掲げる野村監督の19番だが、現在の球界では主に先発投手が着ける背番号として定着している。ここでは、背番号19を着けている現役選手たちの1年目の成績を各球団別に紹介する。まずはセリーグからだ。

◆セリーグで19番を背負う現役選手の1年目の成績

野村祐輔(広島)
12年 27試合 9勝11敗 防御率1.98
当時の獲得タイトル:新人王

菅野智之(巨人)
13年 27試合 13勝6敗 防御率3.12

山﨑康晃(DeNA)
15年 58試合 2勝4敗37セーブ 防御率1.92
当時の獲得タイトル:新人王

藤浪晋太郎(阪神)
13年 24試合 10勝6敗 防御率2.75

石川雅規(ヤクルト)
02年 29試合 12勝9敗 防御率3.33
当時の獲得タイトル:新人王

吉見一起(中日)
06年 4試合 1勝0敗 防御率2.70

 セリーグを見てみると、1年目から結果を残した選手たちが5人。新人王を獲得したのは広島東洋カープの野村祐輔、横浜DeNAベイスターズの山﨑康晃、東京ヤクルトスワローズの石川雅規の3人だ。山﨑は昨季、ルーキー最多記録となる37セーブを挙げる活躍を見せた。

 石川は1年目に12勝を挙げてから5年連続(02年~06年)で2ケタ勝利を記録。昨季は史上48人目となる通算150勝を達成している。巨人の菅野は1年目に13勝を挙げてから3年連続2ケタ勝利。14年は防御率2.33で最優秀防御率のタイトルを獲得。同年は12勝(5敗)を挙げてリーグ優勝に貢献。MVP、ベストナインにも輝いた。

 藤平と同じく高卒の阪神タイガース・藤浪晋太郎は、1年目の13年に10勝(6敗)を挙げると、14年は11勝(8敗)、15年は14勝(7敗)と3年連続で2ケタ勝利を達成。高卒新人の3年連続2ケタ勝利は、西武時代(99年~01年)の松坂大輔(現ソフトバンク)以来14年ぶりの記録で、球団では67年~69年の江夏豊以来46年ぶり2人目の快挙となった。また、15年には221奪三振を挙げて、最多奪三振のタイトルを獲得している。

 広島25年ぶりのリーグ優勝に貢献した野村は、今季16勝を挙げて初の最多勝と勝率1位、そしてベストナインに輝いた。中日ドラゴンズの吉見一起にしても1年目はわずか1勝に終わったが、11年に最多勝と最優秀防御率の2冠を獲得するなど活躍。19番を背負うセリーグの選手たちは皆、球界を代表する投手として成長していった。

パでは平成生まれ初勝利のロッテ唐川が1年目に5勝

 次にパリーグの選手たちを見てみよう。

◆パリーグで19番を背負う現役選手の1年目の成績
※楽天を除く

増井浩俊(日本ハム)
10年 13試合 3勝4敗 防御率4.35
※1年目の背番号は43番。12年シーズンから19番に変更

森福允彦(ソフトバンク)
07年 7試合 0勝0敗 防御率1.50

唐川侑己(ロッテ)
08年 15試合 5勝4敗 防御率4.85

豊田拓矢(西武)
14年 34試合 2勝2敗 防御率4.54

金子千尋(オリックス)
05年 1軍登板なし

 パリーグでは、千葉ロッテマリーンズの唐川侑己が1年目から5勝4敗という成績を挙げた。07年高校生ドラフト1巡目でロッテに指名された唐川は、北海道日本ハムファイターズの中田翔やヤクルトの由規と並び、07年の「高校BIG3」と呼ばれ、3人の中で最初に結果を残した。

 1年目の08年4月26日のソフトバンク戦(千葉マリン)でプロ初登板を果たし、初勝利。平成生まれのプロ野球選手として初めての勝利を飾ったのは唐川だった。

 現在19番を着けているパリーグの選手で、唐川以外に1年目から目立った成績を残した選手はいない。今季10年ぶりの日本一に貢献した日本ハムの増井浩俊は、入団時の背番号が43番だったため例外。FA権を行使し、来季巨人でプレーすることが決まった福岡ソフトバンクホークスの森福允彦も1年目は7試合の登板で0勝に終わっている。

 通算104勝を挙げているオリックス・バファローズの金子千尋も、1年目は右ひじの故障の影響で1軍登板がなく、1年間をほぼリハビリに当てた。14年に最多勝と最優秀防御率の2冠に輝き、沢村賞まで獲得した右腕も、1軍デビューは2年目の06年。同年は21試合の登板で1勝1敗、防御率3.54という成績に終わっている。

 8シーズン空き番だった楽天の19番を背負い、来季の先発ローテーション入りが期待されている藤平。楽天の先発投手陣は則本昂大、美馬学、塩見貴洋に加え、西武からFAで獲得した岸孝之の4人がほぼ確定だが、5人目以降の先発候補が足りない状況だ。

 元楽天のエースで18番を背負った田中将大(現ヤンキース)を追い越してほしいという願いも込められているという「19」を背に、大きく羽ばたくことができるだろうか。

]]>
sports NPB,オリックス・バファローズ,キャム・ミコライオ,スポーツ,トニ・ブランコ,プロ野球,東北楽天ゴールデンイーグルス http://www.baseballchannel.jp/npb/25550/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25550/ Wed, 07 Dec 2016 16:00:50 +0900 Wed, 07 Dec 2016 16:00:50 +0900 ミコライオ、ゴメスら他球団への移籍は? 今季の自由契約助っ人は実績豊富、掘り出し物多数

日本シリーズフル回転のバースはメジャー復帰視野

 ストーブリーグも終盤戦に差しかかりつつある12月。各球団からは連日FA選手や新助っ人選手の獲得が発表されている。その一方、今季限りで日本球界を去る選手も多い。今月2日にはNPB機構から12球団の次年度の契約保留選手が発表、既にウェーバー不請求となっていた14選手に加え、新たに36人の助っ人選手が自由契約となった。

 日本一を達成した北海道日本ハムファイターズからは、日本シリーズで3勝をあげ優秀選手賞にも輝いたアンソニー・バースが退団。シリーズでは全てリリーフで5試合に登板したバースだが、シーズン中は先発として14試合、救援で23試合の37試合に登板し8勝のうち6勝は先発としてあげたものだった。

 先発リリーフの両方で実績を残したバース、アメリカでは主要メディアから来季の先発投手候補の一人として名前も挙がっており、メジャー復帰の可能性も高い。今シーズン日本ハムでプレーした他の3助っ人、ルイス・メンドーサ、クリス・マーティン、ブランドン・レアードは来季も同チームでプレーする。

 セリーグ覇者の広島東洋カープからはエクトル・ルナ、スティーブ・デラバー、ジェイソン・プライディの3選手が自由契約に。三塁のレギュラーとして期待されたルナは、怪我や外国人枠の関係もあって67試合の出場に終わるも、万全の状態であれば通算打率.309の巧打者は大きな戦力となる。

 昨オフは、中日ドラゴンズから自由契約選手として公示されたのち、12月半ばに広島と契約を交わしたが、今季も手を差し伸べる球団は出てくるだろうか。精鋭ぞろいの外国人選手に出番を阻まれプライディは1軍出場なし。デラバーも2登板に終わったが、2試合で4奪三振とわずかな機会ながら結果を残し、メジャーでの実績も豊富。興味を持つチームがあるかもしれない。

抑えに悩めば、ミコライオの選択肢も

 今シーズンの特徴としては、先述のルナらチーム事情や今季の不振で自由契約となったものの、実績豊富な野手が多いことがあげられる。

 阪神タイガースからは過去3年間で65本塁打、260打点のマウロ・ゴメス、中日からは二遊間を中心に3年間で288試合出場のアンダーソン・エルナンデス、読売ジャイアンツからは14年に鮮烈なデビューを見せたレスリー・アンダーソンらがそれぞれ自由契約となっている。

 投手ではリリーフとして2012~14、16年の4シーズンで214試合に登板したキャム・ミコライオが注目を集める。東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーした今シーズンは45試合に登板し防御率2.38で23ホールドを記録。45.1イニングを投げて四球はわずかに6と自慢の制球力にも衰えは見られず、来季も活躍が期待できる。中日で6勝をあげたジョーダン・ノルベルトやCSファイナルステージにも先発したギジェルモ・モスコーソらも投手層の薄い球団ならチャンスがあるだろう。

2016年度自由契約選手として公示された助っ人選手は以下のとおり。

日本ハム:アンソニー・バース
ソフトバンク:エディソン・バリオス、バーバロ・カニザレス
ロッテ:イ・デウン、ヤマイコ・ナバーロ
西武:フェリペ・ポーリーノ、エスメルリング・バスケス、C.C.リー、アンディ・バンヘッケン
楽天:ジェイク・ブリガム、キャム・ミコライオ、ラダメス・リズ、フェリックス・ペレス、ケニー・レイ、ジョニー・ゴームス
オリックス:パット・ミッシュ、エリック・コーディエ、トニ・ブランコ、マット・クラーク、ブライアン・ボグセビック
広島:スティーブ・デラバー、エクトル・ルナ、ジェイソン・プライディ
巨人:ガブリエル・ガルシア、アーロン・ポレダ、エクトル・メンドーサ、アブナー・アブレイユ、レスリー・アンダーソン、ホセ・アドリス・ガルシア
DeNA:ギジェルモ・モスコーソ、ザック・ペトリック、マイク・ザガースキー、エリアン・エレラ、マイク・ブロードウェイ、ジェイミー・ロマック
阪神:ラファエル・ドリス、マウロ・ゴメス、マット・ヘイグ、ネルソン・ペレス、コーディ・サターホワイト
ヤクルト:ルイス・ペレス、カイル・デイビース、ジェフン、ローガン・オンドルセク
中日:ファン・ハイメ、ドリュー・ネイラー、レイソン・セプティモ、ジョーダン・ノルベルト、アンダーソン・エルナンデス、リカルド・ナニータ

]]>
sports NPB,スポーツ,プロ野球,横浜DeNAベイスターズ,読売ジャイアンツ http://www.baseballchannel.jp/npb/25509/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25509/ Wed, 07 Dec 2016 11:00:22 +0900 Wed, 07 Dec 2016 18:04:44 +0900 巨人移籍を決めた山口、逆風からのスタート。結果で「雑音」を封じこめられるか

移籍にネット上では両ファンから厳しい声

 その「覚悟」に期待したい。横浜DeNAベイスターズからFA(フリーエージェント)権を行使して読売ジャイアンツへの移籍が決まった山口俊投手のことである。

 同じく福岡ソフトバンクホークスからFA権行使で巨人入りを決めた森福允彦投手とともに5日に行われた異例の同席入団会見に出席したが、ジャイアンツにとっては久々の巨大補強とあって早くもネット上はヒートアップ。両投手に対する注目度の高さがうかがい知れる。

 特に山口俊については、G党のみならず古巣のDeNAファンからも相当な関心を集めている。ただし実際のところネット上のコメントを散見する限り、残念ながら厳しい意見のほうが圧倒的に多い。

 DeNAの選手会長でありながらも10月30日に行われたチームの全体ミーティングを欠席。実はFA権行使の書類を提出した11月8日に自身がインスタグラム上で「ミーティング欠席報道の件ですが、連絡漏れで僕には全体ミーティングという情報がはいっていませんでした。これが事実になります」(原文ママ)と釈明したものの、ナゼかメディアは余り取り上げなかったこともあって古巣のミーティング欠席の悪い印象が未だ拭い去れていない影響も微妙に絡んでいるようだ。

FA移籍の大竹が振るわず

 これに付随する形で巨人としては3年ぶりとなるFAでの先発投手補強を不安視する声もある。

 3年前の2013年オフに広島東洋カープからFA補強した大竹寛は最低でも2ケタ勝利を期待されたが、移籍1年目の2014年シーズン成績は9勝(6敗)止まりで防御率も3.98といまひとつ。中日ドラゴンズ戦においては1人で6勝をマークしたことで「竜キラー」となった点は評価できるとはいえ、9月に肩を痛めて戦線離脱へと追い込まれ、規定投球回数に及ばなかったばかりか大事な阪神とのCSファイナルステージでも登板できなかった(チームは敗退)。

 その後も故障に泣かされて1年間をフルに戦えないシーズンが続き、2015年は3勝4敗(防御率3.21)、2016年も6勝6敗(防御率3.55)と未だ低空飛行だ。そのトラウマをG党は引きずっているようだ。

 これらのマイナス要素が山口俊の移籍に暗い影を落としているところはどうしても現実として否めない。

 しかし、こうした「雑音」は当然のごとく本人もすでに把握していることであろう。悩みに悩み抜いた挙句、G移籍を決断したことで気持ちはもう吹っ切れているはずだ。入団会見を前に髪をバッサリと切り落としたのも新天地にかける強い決意の現れ。

 今に見ていろよ、必ず見返してやる――。心の中でそう誓っているに違いない。

尾花コーチの存在もプラス

 巨人へ移籍することによって今後はこれまでのベイスターズ時代と比較にならないほど一挙一動に対してスポットライトが当てられる。入団会見の前から良くも悪くも、これだけワーワーと騒がれるのもある意味ではその洗礼と言っていい。

 しかし、山口俊が来季活躍するためのポテンシャルを秘めている点を忘れてはいけない。今季はキャリアハイの11勝(5敗)とリーグ最多の5完投&3完封をマーク。

 ストッパーとしての経験も豊富で2011年にはリーグ3位の34セーブを挙げている。元幕内力士「谷嵐」だった実父の故・久さんから受け継がれた体幹の強さは折り紙つきだ。

 当時のチームは低迷してしまっていたものの横浜監督時代に山口俊の能力を見極め、その才能開花に一役買った尾花高夫投手コーチが新天地にいることもさらにジャンプアップできる可能性を高めている。

 巨人・山口俊が東京ドームで躍動し、オレンジのメガホンが揺れ動くシーンは果たして見られるのか。2017年のV奪回は、この男のマウンドにかかっている。 

]]>
sports AJ,Major League,MLB,sports,オレステス・デストラーデ,ケーシー・マギー,スポーツ,タフィー・ローズ,デトロイト・タイガース,メジャーリーグ http://www.baseballchannel.jp/npb/25542/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25542/ Wed, 07 Dec 2016 06:50:25 +0900 Wed, 07 Dec 2016 09:45:37 +0900 巨人入団のマギーは再び日本で活躍できるか? 過去の復帰組にカリブの怪人、明暗分かれた2人のローズら
Getty Images

13年楽天日本一の功労者、14年はメジャーでカムバック賞

 V奪回を目指し、着々と戦力補強に走る読売ジャイアンツ。4日には、13年に東北楽天ゴールデンイーグルスで活躍したケーシー・マギー(大リーグ、デトロイト・タイガースからFA)の獲得を正式発表した。

 マギーは、楽天時代の13年に球団創設初のリーグ優勝と日本一に貢献。4番のアンドリュー・ジョーンズの後を打つ「5番・三塁」で打線の中核を担った。マギーの日本球界での主な成績は以下の通りとなっている。

◆マギーの楽天時代の主な打撃成績

13年 144試合 打率.292 28本塁打 93打点

 日本球界には1年しか在籍していないが、全144試合に出場して好成績を残した。また、米国球界に復帰した14年はマイアミ・マーリンズでプレーして打率.287、4本塁打、76打点という成績を残し、安打数もリーグ4位の177本と自己最多を更新。ナリーグのカムバック賞を受賞している。

 15年はサンフランシスコ・ジャイアンツとマーリンズでプレー。2チームで109試合に出場し、打率.198、2本塁打、20打点と低調。しかし、3Aサクラメント(ジャイアンツ傘下)では10試合で打率.357、2本塁打、7打点という成績を残している。

 16年はタイガースで30試合に出場し、打率.228、0本塁打、1打点。しかし、3Aトレド(タイガース傘下)では116試合に出場してリーグ4位の打率.317、6本塁打、50打点という成績を残しているだけに、やはり3Aでは格の違いを見せつけている。来季4年ぶりの日本球界でどんな活躍を見せてくれるのか注目される。

 今回のマギーのように日本球界でプレーしたあと、米国球界などに復帰して再び日本に舞い戻った外国人選手は他にもいる。主な“出戻り助っ人”たちは以下の通りだ。

◆日本球界に出戻りした主な外国人選手
※1シーズン以上、日本を離れた選手のみ

■オレステス・デストラーデ
89~92年西武ライオンズに所属
95年日本球界に復帰し、西武でプレー

■タフィー・ローズ
96~98年近鉄バファローズ、99~03年大阪近鉄に所属
04、05年巨人に所属
07年日本球界に復帰し、09年までオリックスでプレー

■ロベルト・ペタジーニ
99~02年ヤクルトに所属
03、04年巨人に所属
10年日本球界に復帰し、福岡ソフトバンクホークスでプレー

■ブライアン・シコースキー
01~03年千葉ロッテマリーンズに所属
04、05年巨人に所属
07年日本球界に復帰し、東京ヤクルトスワローズでプレー
08、09年千葉ロッテに所属
10、11年埼玉西武に所属

■フェルナンド・セギノール
02年オリックスに所属
04年日本球界に復帰し、07年まで北海道日本ハムファイターズでプレー
08、09年に東北楽天に所属
10年オリックスに所属

■ジェイソン・スタンリッジ
07、08年福岡ソフトバンクに所属
10年日本球界に復帰し、13年まで阪神でプレー
14、15年に福岡ソフトバンクに所属
16年~千葉ロッテでプレー

■ケニー・レイ
13年東北楽天に所属
15年から16年まで楽天でプレー(16年自由契約)

過去にはデストラーデやペタジーニらも復帰

「カリブの怪人」と呼ばれ、90~92年の西武3年連続日本一に貢献したのがオレステス・デストラーデだ。89年の途中から西武に入団し、83試合に出場して32本塁打を放った助っ人は、翌90年に130試合に出場して打率.263、42本塁打、106打点の成績を挙げ、本塁打と打点の2冠を獲得。さらに、この年の巨人との日本シリーズでは2本塁打を放ちMVPも受賞した。

 91年も39本塁打、92打点で2年連続の2冠王。92年は41本塁打を放ち、3年連続本塁打王に輝く。本塁打を打った後の派手なガッツポーズが印象的だった。93年にMLBに復帰を果たすと、マーリンズでプレーしたこの年に打率.255、20本塁打、87打点という成績を残した。しかし、94年は打率.208、5本塁打、15打点と成績が下降した。

 95年からは再び西武へ。日本球界に復帰したものの、46試合の出場で打率.245、6本塁打、23打点とかつての打棒は影を潜め、シーズン途中で退団。同年5月9日のオリックス戦(富山)では8回裏2死走者なしの場面で「5番・DH」から投手としてマウンドに登ったこともあった。結果、三塁打を浴びて2四球で満塁にしてしまい、降板したというエピソードもある。

 96年に近鉄(99年~大阪近鉄)に入団したタフィー・ローズは、99年に打率.301、40本塁打、101打点という成績を残して本塁打と打点の2冠を獲得。01年には当時のシーズン最多本塁打タイ記録となる55本塁打をマークして本塁打王とMVPに輝いた。

 04年は巨人に移籍して45本塁打を放ち本塁打王に。05年の退団後、06年にはレッズとマイナー契約。その後1年間のブランクを経て07年に日本球界に復帰した。オリックスで07、08年と2年連続で40本塁打以上を記録し、健在ぶりをアピール。09年に退団し、NPBでは通算1674試合に出場。打率.286、464本塁打、1269打点という成績を残した。15年からは独立リーグ「ルートインBCリーグ」の富山で選手兼任野手コーチとしてプレーし、人気を博した。

 99~02年までヤクルトでプレーし、01年にはチームの日本一に大きく貢献したロベルト・ペタジーニは、同年に本塁打と打点の2冠に輝き、MVPも受賞している。03年には巨人に移籍して2年間プレーしたが、その後はメジャーへ。ボストン・レッドソックスやシアトル・マリナーズに在籍した。10年にソフトバンク入りを果たし、6年ぶりに日本球界復帰となったが、81試合で打率.261、10本塁打、41打点と振るわなかった。それでもNPBでの通算打率.312、233本塁打と輝かしい実績を残している。

 02年にオリックスに入団したフェルナンド・セギノールは、来日1年目に23本塁打を放ったが解雇。その後、ヤンキース傘下の3Aでプレーし、04年に日本球界に復帰。北海道日本ハムや東北楽天、最後は再びオリックスでプレーした。復帰1年目の04年に44本塁打を放って本塁打王を獲得。07年には日本記録となる通算7度目の左右両打席本塁打を記録したこともある。

 投手では、ロッテや巨人、ヤクルトなどでプレーしたブライアン・シコースキー、ソフトバンクや阪神、現在はロッテでプレーするジェイソン・スタンリッジ、13年に楽天に入団したレイらがいる。レイは同年オフに自由契約となり、台湾に渡りプレー。15年からまた楽天に復帰し、40代の投手としては初の開幕4戦4連勝を達成。しかし、16年にはまたも自由契約となってしまった。

 その他、03年に千葉ロッテに入団し、その後、西武や東北楽天などでプレーしたホセ・フェルナンデスは、米国の他、韓国やメキシカンリーグでもプレー経験がある。NPB通算では1253試合に出場して打率.282、206本塁打、772打点の成績を残した。

 99年に打率.369というハイアベレージで首位打者を獲得するなど、横浜ベイスターズでは打率3割台を8年で7度記録したロバート・ローズは、03年にロッテで復帰するも公式戦に出場すらせずキャンプ中に退団。2年間実戦経験がなく、そのブランクを埋めることができずに終わってしまった。

 かつて長嶋茂雄監督が背負った33番を着けてプレーすることが決まったマギー。同じ一塁と三塁のポジションには村田修一や阿部慎之助らがいる。主軸として活躍が期待される一方で、結果を残せなければバックアップ要員として終わる可能性もある。再び日本で活躍できるかどうか、まずはチーム内での競争に打ち勝つしかない。

]]>
sports 2017年開幕投手,Major League,Masahiro Tanaka,MLB,NewYork Yankees,sports,スポーツ,ニューヨーク・ヤンキース,メジャーリーグ,最有力 http://www.baseballchannel.jp/mlb/25466/ http://www.baseballchannel.jp/mlb/25466/ Tue, 06 Dec 2016 16:00:33 +0900 Tue, 06 Dec 2016 16:00:33 +0900 【MLB】「田中の契約内容が補強プランを複雑化」との指摘。先発獲得急務も、ヤ軍GMにとって頭の痛いオフに
Getty Images

メジャー屈指の左腕が加入しても、来季も田中がエース

 2016年シーズン、自己最高の成績を挙げた田中将大。依然として右ひじに不安を抱えながらも、チーム最多の199イニングを投げ14勝。今やニューヨーク・ヤンキースのエースとして首脳陣からの信頼も厚い。

 しかしながら、田中に続く投手が頼りないのがヤンキースの泣きどころだ。2番手以降の力量は、ガクンと落ちる。2007年のサイ・ヤング賞投手であるCC・サバシアはもはや往年の力はなく、かつて超有望株と囁かれたマイケル・ピネダも明らかに伸び悩んでいる。先発防御率4.44、クオリティースタート数70は、共にリーグ10位と平均以下の数字だ。

 さらにオフに入ると、チーム2位の9勝を挙げたネイサン・イオバルディと来季契約を結ばないことを発表。ヤンキースの2017年のローテーションはますます不透明になってきた。

 そのような状況から、ヤンキースの今オフの課題として、先発投手の補強が挙げられている。キャッシュマンGMも今オフの補強について聞かれるとpitching, pitching, pitching(投手、投手、投手だよ)と答えたように、鼻息は荒い。

『cheatsheet.com』のエリック・スカール記者は、ロサンゼルス・ドジャースからFAとなっている左腕、リッチ・ヒルの獲得を予想。2017年の先発ローテーションを下記の様に報じている。

1番手 田中将大
2番手 CC・サバシア
3番手 リッチ・ヒル
4番手 マイケル・ピネダ
5番手 ブライアン・ミッチェル

 同記者はさらに、トレードが取り沙汰されているメジャー屈指の先発左腕クリス・セール(シカゴ・ホワイトソックス)でさえも、ヤンキースの獲得リストに入っていると予測。

 しかしながら、Even if Chris Sale turns up in the Bronx this offseason, Tanaka will front the rotation on Opening Day (クリス・セールがヤンキースに加わったとしても、開幕投手は田中になるだろう)と報じており、田中のチーム内での存在感の大きさを強調している。

補強プランを複雑にする田中の契約内容

 一方で、今オフにヤンキースが投手陣の補強を行う際、留意しておくべき点があると『call to the pen.com』のグレッグ・ゴールドスティン記者は指摘する。

Masahiro Tanaka is the New York Yankees bonafide ace entering the 2017 season,
but there is a clause in his contract that could complicate matters for the Bronx Bombers this winter.
田中将大は、ヤンキースの真のエースとして2017年シーズンを迎えるが、田中が結んでいる契約条項が、今オフのヤンキース(の補強プラン)を複雑にする可能性がある。

 これはすなわち、田中が持つオプト・アウト条項のことである。
 田中は2017年シーズン終了後、入団時に結んだ7年1億5500万ドル(2014~2020年)のうち、最後の3年6700万ドル(2018~2020年)の契約を、自らが破棄する権利を有している。このオプト・アウトは大型契約を結ぶ際に盛り込まれることが多く、近年のトレンドとも言える契約条項だ。

 同記者がTanaka is not guaranteed to stay in New York long-term even though his contract runs through 2020.(田中との契約は2020年まで続くが、ニューヨークに留まる保証はない)と報じているように、田中が2017年シーズン終了後に、ヤンキースを去る可能性があることも、頭の片隅に入れておかなければならないのだ。

 田中のオプト・アウト行使を留意しつつ、今オフの補強プランを組み立てねばならないヤンキース。とは言え、同記事内でthe starting rotation is the biggest question mark for 2017(2017年の先発ローテーションは大きな疑問符が付く)と記者が懸念しているように、何らかのテコ入れは必要不可欠だ。

 名門球団のGMであるブライアン・キャッシュマンは、頭の痛いオフを過ごすことになりそうだ。

出典:A Projected New York Yankees Rotation for 2017 By:Eric Schaal
call to the pen.com Tanaka’s Opt-Out Looms Over this Offseason By:Greg Goldstein

]]>
sports Major League,MLB,NPB,スポーツ,プロ野球,ポスティングシステム,メジャーリーグ,北海道日本ハムファイターズ,大谷翔平 http://www.baseballchannel.jp/npb/25515/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25515/ Tue, 06 Dec 2016 12:00:04 +0900 Tue, 06 Dec 2016 12:00:04 +0900 日本ハムの大谷翔平の来季ポスティング容認に米メディアも注目。「3億ドルの価値がある」
Getty Images

来年オフ挑戦容認も気がかりなMLBの新労使協定

 12月5日、大谷翔平の契約更改が行われた。
 そして、その席上で北海道日本ハムファイターズは早ければ来季以降終了後にも大谷が希望すれば、ポスティングシステムによるMLB移籍を容認する姿勢を示したのだ。

 今季は投手としては開幕から1カ月なかなか勝てず、7月中旬からマメを潰した影響で2カ月ほど打者に専念したにも関わらず、最終的には10勝4敗、防御率1.86、規定投球回数まで3イニング及ばなかったが、140イニングを投げ、奪三振数は174を記録した。

 打者としてはこちらも規定打席に未達ながら、打率.322、打点67、本塁打22本と圧巻の二刀流ぶりを発揮した。

 さらに注目すべきは昨季に比べて「大舞台」に強くなった点だ。

 昨季は首位福岡ソフトバンクホークスに対して防御率6点台と苦しみ、CSファーストステージでもロッテ相手に3回5失点と大事な試合で結果を残せなかった。
 しかし今季は、7月3日のホークス戦では1番投手として先頭打者ホームラン、投げては8回無失点、9月のホークスとの天王山でも8回1失点で勝利投手。CSファイナルのホークス相手に7回1安打無失点と、大舞台で本来の力を思う存分発揮した。日本シリーズでも第1戦で投手として敗れたものの、第3戦ではサヨナラ安打を放つなどしてチームの日本一に貢献した。
 先日行われた侍ジャパン強化試合でも推定飛距離140メートル弾、さらに天井に消えていく超特大の二塁打を放つなどして「打者」としても世界に衝撃を与えた。

 そんな大谷のポスティング容認を受けて、米スポーツサイト『SBnation』のエリック・ステファン記者は「大谷は2018年にMLBでプレーしているかもしれない」としたうえで、大谷の契約に関し、次のような疑問を持っている。

“The only question is just how much Otani can earn under baseball’s new collective bargaining agreement. Under terms of the new agreement, there is an annual cap on spending on international amateurs, of no more than $5.75 million per team in total. To be exempt from amateur status under the new CBA, players must be at least 25 with six years of professional experience, up from 23 years old and five years in the old system”
大谷に関し唯一の気がかりは、新たに合意に達した新労使協定の下でいくら稼げるかという点だ。新労使協定の下では国外の選手と契約する際、それらの選手たちの総年俸が575万ドル(約6億5500万円)を超えてはならない。旧協定では23歳以上か、プロ経験5年以上の選手が対象だったが、改定後はプロ経験が6年以上か、25歳以上となる。

 大谷は来季23歳、つまり再来年となると特例などを認められない限り大型の契約が難しいという現状だ(編集部注:しかし、日米間ではこのルールは適用外になると見られている)。

3億ドルの価値を持つスーパースター

 新労使協定のルールが日米間で適用されるかどうかを今後注視する必要がある。同時に今後の日米間のポスティングシステムどうなっていくのかも非常に気になる。

 いずれにせよ、大谷本人のメジャーへの意志は固いと言われ、MLB側も少しでも早くきて欲しいという意思表示は発信し続けている。

 ステファン記者はさらに、ある球団のスカウトのコメントを引用し、次のような可能性を言及するとともに記事を締めている。

“I actually think the guy might get a $300 million deal,” a scout said of Otani to Joel Sherman of the New York Post in November.
Now it’s just a matter of waiting to see if Otani is indeed posted, and if MLB teams are allowed to bid freely on him.”
とあるスカウトは、大谷についてニューヨークポストのジョール・シャーマン記者に「大谷には3億ドル(342億円)以上の価値がある」と述べたという。
 結局今できることは、実際に大谷はポスティングされるのか、そして(新労使協定のルール下に入るのならば)MLBは彼に特例を適用するのかどうかを見守るだけだ。

]]>
sports Major League,MLB,NPB,スポーツ,プロ野球,メジャーリーグ,二刀流,北海道日本ハムファイターズ,大谷翔平,投打のベストナイン http://www.baseballchannel.jp/npb/25511/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25511/ Tue, 06 Dec 2016 11:00:08 +0900 Tue, 06 Dec 2016 12:16:46 +0900 異例、1年前に大谷翔平のメジャー移籍容認を公表した日本ハム3つの狙い。NPBへのプレッシャーにも
Getty Images

異例の1年前容認発表

 時は来た。ついに北海道日本ハムファイターズ・大谷翔平が海を渡る。大谷は5日、札幌市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、その席上で早ければ17年シーズン終了後にポスティングシステムでのメジャー挑戦を球団から容認されたことを明かした。

「自分の意思を尊重してくれる、という話をしていただいた。球団の方から話をしてもらって、僕なりの気持ちも話させていただきました」

 よほど大きな故障か不振に陥らない限り、来オフの挑戦は決定的となった。1年前のこの時期に、同システムでのメジャー挑戦を公表するのは異例のこと。もちろんそこには日本ハムサイドに大きく3つの狙いが見てとれる。

 まず1つ目に大谷への誠意として、1年前に告知することでメジャーリーグ30球団が受け入れるための準備を整えることができる。
 スカウティングの目は変わってくるだろう。二刀流という前例のないスタイルに対する考え方は、球団によって異なる。二刀流容認なのか、投手、あるいは野手専任なのか。現在のポスティングシステムは、日本ハムが設定する上限2000万ドル(約23億円)の譲渡金を払う意思があれば全球団が大谷と交渉できる。以前に比べFA交渉により近いスタイル。

 入団後の起用法も、大谷獲得には影響する可能性が高い。
 30球団は起用法など独自の受け入れ案を練る時間を与えられ、より希望に合致するチームを移籍先に選ぶことができる。

ポスティングシステム改正か、NPBへの意思表示にも

 2つ目に、その譲渡金についても、日本ハム側にすれば上限を撤廃するなど、もっと欲しいというのが本音だろう。
 かつて西武・松坂は約5100万ドル(当時約60億円)、ダルビッシュは史上最高額の5170万ドル(当時約40億円)の譲渡金(当時は入札金)が所属球団に入った。大谷の選手としての価値は、当時の前者2人より上だろう。2000万ドルでは安いわけだ。

 田中将大がヤンキースに移籍した13年12月に改訂された現在のポスティングシステムは、今年5月に新たに1年間延長された。契約終了の10月31日の180日前までに、日米どちらかから申し出がなければ、毎年自動延長されることになっている。

 来オフに待つ大谷移籍狂騒曲に備え、現システムの改正を申し出るのか、否か。最終的な判断は日本プロ野球機構(NPB)が下すわけだが、来オフの挑戦を早々と宣言することで、NPBにもプレッシャーをかけられる。日本ハムの本気度を切実に訴えたわけだ。

 3つ目にファンも日本での勇姿はしばらく見られなくなるわけで、来季の応援には熱が入るだろう。見納めとなれば、来季の観客動員には好影響。メジャーでも二刀流を続けるかどうかは不透明で、もしかしたら打者・大谷の打席は最後になるかもしれない。

 花巻東高3年時、ドラフト会議前には「メジャー1本」と進路希望を明言し、NPB球団からの指名はお断りと態度を表明した。「二刀流」起用を軸に強行指名した日本ハム入りし、二本の刀を世界屈指の名刀に磨き上げてきた。5年間の修行を経て、いよいよ憧れの夢舞台に大谷が上がる。

]]>
sports NPB,スポーツ,プロ野球,先発,山口俊,抑え,横浜DeNAベイスターズ,転向 http://www.baseballchannel.jp/npb/25500/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25500/ Tue, 06 Dec 2016 06:50:23 +0900 Tue, 06 Dec 2016 06:50:23 +0900 巨人移籍の山口俊、プロ野球生活11年の紆余曲折。番長が「やっとわかったか」と叱りつづけてきた理由

クローザーから先発転向、終わっていたかもしれない野球人生

 山口俊がFA権を行使し、読売ジャイアンツへの入団が決定した。

 さまざまな情報が駆けめぐり、古巣となった横浜DeNAベイスターズのファンからは批判的な意見が多々見られたが、シンプルに考えれば山口は、プロ野球選手として得た権利を行使したに過ぎない。

 DeNAと何度か交渉を重ねかなり悩んだというが、客観的に見るかぎり最終的には自分を一番高く評価してくれた球団に行くことを決めたように思える。本人も「野球人として、山口俊としての評価を最優先に取らせていただいた。悔いはないので、しっかり前を向いてがんばりたい」と、コメントを残している。

 いろいろと憶測の範囲を出ない見切り発車の情報が錯綜したが、真相はいずれ山口の口から語られることになるだろう。
 
 ベイスターズに在籍した11年間は紆余曲折の野球道であった。

 2005年の高校生ドラフトにおいて1巡目で指名され入団すると、2006年には先発として初勝利。2009年にクローザーへ転向し、2012年には史上最年少で100セーブを記録した。

 だが2013年になると救援失敗を繰り返すようになり、ファンから厳しいブーイングを浴びることになる。そして2014年になるとセットアッパーでも結果を出すことができず、背水の陣で入団当初以来の先発への転向を余儀なくされた。

 決して望まれての先発転向ではなかった。当時の監督だった中畑清氏によれば、後ろを任せるわけにはいかないゆえ、やむを得ない配置転換だったという。有名な話ではあるが結果が出ず厳しいブーイングを食らい続けていたこの時期、山口は円形脱毛症を作るほど追い込まれていた。

先発へ再度配置転換で活路

 当時のことを山口は以下のように振り返る。

「自分の中に『理想の抑え像』みたいなものがあって、それを追い続けてしまい自分を見失ってしまったんです。先発への転向を言われたときは無我夢中でした。もし結果が出なければ野球人生が終わらないにしろ、何かしらの状況になっていたと思うんです。だから本当に転機というか、自分の中では生まれ変わったようなタイミングでしたね」
 
 もしかしたら終わっていたかもしれないプロ野球人生――しかし山口は先発投手として適性を見せることで復活。この年は17試合に先発し8勝5敗、防御率2.90に加え月間MVPを2回獲得し、見事期待に応える活躍をした。
 
 そして今シーズンはアレックス・ラミレス監督からエースに指名され、11勝5敗、防御率2.86という先発としてキャリアハイとなる好成績を挙げる。ベイスターズにとって11年ぶりとなるAクラス入りの原動力にはなったのは間違いないが、開幕戦、オールスター明け、ポストシーズンといった大事な時期にケガにより戦線を離れており、その点においては本人としては忸怩たる思いがあるだろう。
 
 特筆すべきは勝利や防御率よりもリーグ最多の5完投、3完封である。19試合で138.2イニング。完投能力の高さは現代野球においてリリーフ陣の疲弊を減らすことに直結し、シーズンを通して見た場合、大きなアドバンテージとなる。

 事実、ラミレス監督は山口のそういったタフネスさを高く買っていた。確かに2015年のシーズンは3勝6敗と毎年のように安定した力を発揮しているわけではないが、山口の退団はリーグ優勝を狙うDeNAにとって単純に痛手であることは間違ない。

使いきれていないポテンシャル

 巨人からしてみても、言葉は悪いが仮に山口が額面通りの活躍ができなかったとしても、今シーズン同様上位争いをするであろうDeNAからエース級の戦力を間引くことができただけでも価値あることなのではないだろうか。

 現在においても使い切れているとは思えない、そのポテンシャル。思わぬタイミングで四球を連発して、自爆してしまう危うさ。関係者やファンの期待値が高いからこそ、ダメだったときの反動が大きく、反感を買ってしまうこともある。

 何度かインタビューをさせてもらったことがあったが話せば朴訥で実直。一生懸命、質問には答えてくれる。繊細さを持ち合わせているわりには言葉選びがあまり得意な選手ではないので誤解を受けることも多々あるが、心根の優しさは伝わってきた。だからこそ今回の選択は、いろいろと思うところがある。

 2年半ほど前、今シーズンで現役を退いた三浦大輔に訊いた山口の話が、今でも妙に印象に残っている。

「僕がベイスターズの選手の中で一番怒ってきたのが山口なんです。先発や抑えをやっていく過程でしかって、へこんだりしていたんですけど、去年(2014年)の春先にファームに落ちてきたときボロボロで『やっとわかったか』って話をしたんです。それまで何回怒っても、ちょっと調子が良くなるとフワッとしてしまうところがあった。けどファームに落ちてきたときはどん底で、だいぶ心を入れ替え後半活躍することができました。元々それぐらいポテンシャルは他の選手と違うんです」

 古巣に向けては「今年はラミレス監督、投手コーチの方が信頼して使ってもらい結果が出たと思うので、感謝しかない。自分自身が結果を出すことが恩返しになると思います。読売さんの力になれるようにやっていくだけです」と、すでに冷静に切り替えたコメントを残している。

 伸び伸びとプレーし、エースとして君臨できたであろうDeNAをあとにして、プロ野球界で最もプレッシャーがかかる巨人という球団で、果たして山口は輝くことはできるのか――賽は投げられた。

]]>
sports NPB,スポーツ,プロ野球,九鬼隆平,堀内汰門,張本優大,拓也,斐紹,栗原陵矢,樋越優一 http://www.baseballchannel.jp/npb/22904/ http://www.baseballchannel.jp/npb/22904/ Mon, 05 Dec 2016 18:00:47 +0900 Tue, 06 Dec 2016 13:49:11 +0900 ベテランか、若鷹か? 細川抜け、一層激しさを増すホークス来季の正捕手争い

開幕スタメンも13試合出場に終わった斐紹

 ベテランの髙谷裕亮、鶴岡慎也に加え、若鷹が7名。拓也、斐紹、張本優大、栗原陵矢、谷川原健太、育成の堀内汰門、樋越優一。来季へ向け、し烈な正捕手争いが繰り広げられている。

 秋季キャンプで行われた12分間走では、捕手全員が3000メートルを超え、体力と気持ちをアピール。清水将海バッテリーコーチは、「このキャンプで、体力的にも技術的にも全員成長した」という。しかし、大事なのはこれをいかに実戦につなげていくのか。「全員にチャンスはある!キャンプでやってきたことをオフで落とさずにどれだけやってこれるか。鶴岡、高谷を追い越すつもりでやらないと。経験ではかなわないんだから」

 開幕スタメンマスクを被り、期待された斐紹は、今季13試合(スタメン10試合)の出場にとどまった。「今シーズンは、チームとしても、自分としても悔しかった」と、秋季キャンプでは、投げ方打ち方を改めて1から取り組んできた。「リード面は、オフも映像を見て勉強していく。あと、キャッチャーのところで代打を送らなくていいようにバッティングを磨きます」

 さらに、キャンプ中、ブルペンで松本裕樹の球を受けながら、球が走っていないと「おい松本~!!」、良い球が来ると「来てるぞ~!!」などと威勢のいい声掛け。クールな松本にも笑みがこぼれた。

「キャッチャーとして、歳上でも下でもピッチャーとコミュニケーションをとることは意識している」
 強い気持ちと共に、心機一転、正捕手の座を勝ち取りにいく。

一軍で貴重な経験を積んだ拓也

 そして、育成出身で、斐紹と同期入団。6年目の拓也は、今季自己最多13試合に出場した。スタメン出場はないものの、一軍ベンチから多くの戦列を見届けた。大事な延長戦で途中出場し、3回無失点の好リードを魅せた試合もあった。充実のシーズンを過ごしつつも、「一軍でやってきて感じたこともたくさんある。でも、出ないと意味がないから」と現状に満足はしない。「いくらやっても、時間が足りない」リード、配球、キャッチング、スローイング……すべての面でパワーアップすることを目標に、ひたすら練習し続けている。

 今年7月末に、育成3年目で支配下を勝ち取った張本優大は、大きな声で練習を盛り上げる。「ムードメーカーと言われるキャラでいようと意識しています。キャッチャーは元気も必要なポジションなので」と意気込む。清水コーチも、「ピッチャーはマウンドで孤独なので、声を掛けてサポートすることは大事。大きな声一つで、良いアピールにもなっているし、チャンスにつながる」とうなずいた。

 今キャンプは全てのレベルアップを目標に取り組んできた。「費やせる時間も多く、やりまくることで、体に染み込ませられるようになってきた」と納得のキャンプを過ごした。また、新コーチ陣からのアドバイスもいい刺激になった。飛距離アップを目標にしてきた打撃面では、立花義家新打撃コーチの「右肩と左肩が入れ替わるくらい回せ」とスイング時に体を最大限に使うよう助言され、それがマッチしてきたという。「捕球からスローイングまで、今までは一つのステップでやってきたが、状況に応じた様々なステップを教えてもらった」とキャッチャー面で、達川光男新ヘッドコーチらの指導も受け、新たな引き出しができたようだ。

「春のキャンプA組スタートが目標。(一軍を経験した)拓也、斐紹、そして栗原も出てきて横一線だと思う。オフも反復練習をしっかりやっていきたい」と来季へ向けて緩める気はない。

1、2年目の若鷹も虎視眈々と正捕手を狙う

 この秋季キャンプで、練習量も多く、新しく学ぶこともあり、既に成果を実感している2年目の栗原陵矢。12分間走では捕手ダントツトップの3300mで体力もアピール。「先輩たちと一緒にやっているが、負けられない。何をするにも自分が少しでも多くやるようにしています。自分が一番下なので。空いた一枠を死ぬ気で奪いに行くしかない」

 今年のドラフトで、ホークスは高校生ナンバー1捕手と評される九鬼隆平を指名し、入団が決まった。九鬼は秀岳館高校を甲子園春夏共にベスト4へと導き、更には高校日本代表で正捕手兼4番を務め、アジア選手権優勝に貢献した。
 注目の新人が入ってくるが、2014年U18アジア選手権で、高校日本代表の正捕手兼主将を務めた先輩、栗原も負ける気はない。「プロで2年も先輩になるんだからそこを意識しちゃだめ」来季に期待がかかる栗原は、現在、台湾で行われているアジアウィンターベースボールリーグへ派遣されている。大きな経験を積み、更なるアピールを。

 育成2年目の堀内汰門は、清水コーチにも「昨秋からいろんな面で変わったな」と評されるなど、大きく成長を遂げた1年となった。何より、このオフ、5年連続開幕投手を務めたベテランの攝津正から自主トレの誘いを受けた。「緊張はしますけど、一軍のピッチャーの球を受けられるのでたくさん学んできたいと思います」ファンフェスティバルでヤフオクドームの大観声に感銘を受けた堀内は、「ここでプレーしたいと改めて思った」と一軍の舞台に立つことへの想いを噛みしめた。「育成だけど、ずっと頑張っていれば誰か見てくれる人はいるから。やるしかない」まず、支配下を勝ち取るところからにはなるが、「いつでも試合を意識して、いつでもいけるように準備します」とこのチャンスを絶対に無駄にはしない。

 ルーキーの谷川原健太は初の秋季キャンプで多くのことを学んだ。キャンプでは、達川コーチにキャッチングの大切さを説かれ、キャンプから筑後に戻ってきて練習量も増えたという。「みんなを抜かすつもりで、チャンスをつかみます」1年目を終えて課題もしっかり見えてきた。

 同じくルーキーで育成の樋越優一は、登録は捕手のままだが、出場機会を増やすため、キャンプから内野練習を始めた。「ずっとキャッチャーでやってきたから、本当はキャッチャーをやりたい。でも、プロで長く生きていきたいし、自分は来年育成2年目。少しでも試合に出てアピールしないと」大卒育成ということもあり、冷静に自身と向き合った。ポジションが変わろうと、ムードメーカー的元気印で、アピールを続ける。

 それぞれの想いが交錯し、正捕手争いは激しさを増す。若手の台頭次第では、ベテラン髙谷、鶴岡のポジションの保証もない。今オフ、それぞれがどう成長してくるのか。来春のキャンプを楽しみに待つ。

]]>
sports Major League,Masahiro Tanaka,MLB,sports,スポーツ,ニューヨーク・ヤンキース,メジャーリーグ,田中将大 http://www.baseballchannel.jp/mlb/25496/ http://www.baseballchannel.jp/mlb/25496/ Mon, 05 Dec 2016 16:00:26 +0900 Mon, 05 Dec 2016 16:30:23 +0900 【MLB】ヤンキース・田中将大登板時に一番援護した打者。新正捕手との相性も良好?
Getty Images

ヤンキース先発陣の中では打線の援護があった

 2016年のニューヨーク・ヤンキース打線は、1試合平均4.20得点を挙げた。そのうち、田中将大が登板した31試合は平均4.87得点だった。

 これはリーグで10番目に多く、シアトル・マリナーズ岩隈久志の登板試合にマリナーズ打線が記録した平均5.06得点(7位)には及ばないものの、田中のチームメイトであるマイケル・ピネダの平均4.06得点(29位)とCC.サバシアの平均3.73得点(35位/ワースト5位)を大きく上回った。

 田中が投げた試合で、計20打席以上に立った打者は16人いた。このなかから、アレックス・ロドリゲスとマーク・テシェーラは引退し、カルロス・ベルトランとブライアン・マッキャンはトレードで放出された。ベルトランは8月にレンジャーズ、マッキャンは11月にアストロズへ移った。

MLB2016田中登板時

 来シーズンに田中が受ける援護を考えた時、ロドリゲスとテシェーラの不在による得点の減少は、あまり心配しなくてもよさそうだ。どちらも田中の登板試合に限らず、シーズン全体の成績も芳しくなかった。

 一方、マッキャンが抜けた穴はかなり大きく見える。マッキャンは田中が投げた試合で7本塁打を打っていて、これはどの打者よりも多かった。

 ただ、代わって正捕手となるゲリー・サンチェスも負けていない。サンチェスは田中の登板試合で、打数はマッキャンの半分以下ながら、半分以上の4本塁打を放った。さらに、シーズン全体では、こちらも打数はマッキャンの半分以下で、本塁打は同数の20本を記録した。新人王は逃したが、このパワーは来シーズンも期待していいだろう。

来季も田中への援護は変わらず?

 さらに田中がマッキャンとバッテリーを組んだ時の防御率は4.17だが、オースティン・ローマインの時は2.16、サンチェスの時は1.94だった。3捕手のなかで、サンチェスが田中の球を受けた46回1/3は最も少なく、断定はできないものの、相性は悪くないようだ。

 他の打者を見ると、田中の登板試合でスターリン・カストロとジャコビー・エルズベリーが記録した打率は、どちらもシーズン全体を8分近く上回った(サンチェスはもっと上だが、これは打数が少ないせいもある)。2人とも、2016年については頼もしい限りだったが、これほど差があると、来シーズンも同じだけ打てるのかには疑問が残る。

 ディーディー・グレゴリアスは、田中が投げた試合でマッキャンに次ぐ6本塁打を放ち、最多の16打点を挙げた。本塁打の30.0%が田中の登板試合というのは多く、来シーズンは減る可能性が高いが、打率はシーズン全体より2分8厘低く、通算の.260よりも下なので、上昇してもおかしくない。これらの上下により、来シーズンの田中の登板試合における打点は、多少減ったとしても、激減はせずに済むと見る。

 まだ、来シーズンのヤンキース打線は確定していない。新たにマット・ホリデイを加えた一方で、マッキャンに続き、ブレット・ガードナーやチェイス・ヘッドリーの放出もあり得る。田中や他の投手たちを十分に援護できる打線となるのだろうか。

 ちなみに、田中は2014年と2015年も、ヤンキースでは援護に恵まれていたほうだ。2014年のヤンキース打線は田中の登板試合で平均4.20得点を挙げたが、シーズン全体では平均3.91得点にとどまった。2015年は田中が投げた試合の平均5.71得点に対し、全体は平均4.72得点だった。

]]>
sports 12球団合同トライアウト,NPB,オリックス・バファローズ,スポーツ,中日ドラゴンズ,北海道日本ハムファイターズ,千葉ロッテマリーンズ,埼玉西武ライオンズ,広島東洋カープ,東京ヤクルトスワローズ http://www.baseballchannel.jp/npb/25435/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25435/ Mon, 05 Dec 2016 11:00:41 +0900 Mon, 05 Dec 2016 11:00:41 +0900 生き残りを懸けたトライアウトは『イベント』にあらず。華やかさ不要、今一度開催意義の見直しを

出会い一つ、タイミング一つ

 何とかならぬものか。

 アマチュア時代に取材した選手たちの“最後の意地”をみながら、じれったさが残った。
 11月12日に甲子園球場で開催されたプロ野球12球団トライアウトでのことである。

 参加者は65名。読売ジャイアンツと横浜DeNAベイスターズに所属した久保裕也や、福岡ソフトバンクホークスや東京ヤクルトスワローズで活躍した新垣渚など名のある選手もいれば、3年以内にクビを切られた選手も多数おり、複雑な気持ちにかられた。

 それぞれに事情もあっただろう。ケガに泣いた選手、投球フォームを矯正されて、アマチュア時代ほどのストレートが投げられなくなったケースなど様々である。

 プロ5年目で戦力外となった西川健太郎(中日ドラゴンズ)はそのうちの1人だ。
 今シーズン途中からサイドスローに転向していたのをこのトライアウトではオーバースローに戻して参加していた。

「サイドスローにすれば、もっといい結果になったかもしれないですが、とにかく後悔だけはしたくなかった。オーバースローで悔いを残さないようにと思って投げました」と語る姿からは葛藤といったものを感じさせた。同じ中日の同期・川崎貴弘は、高校時代からほとんど成長した姿をみせることが出来ず低いパフォーマンスで投球を終えた。

 果たして、日本の育成はどうなっているか。
 そんな批判めいた気持ちもこみあげてくるが、これが人生というものだ。出会い一つ、タイミング一つで成長の機会を失ってしまう。トライアウトはそうした葛藤の中にある選手たちの集まりなのだ。肝心なのはここからどのような道を歩むかだろう。

プレーに熱を感じることができなかった

 それにしても、トライアウト当日に甲子園に訪れた約12000人の観衆の多さには違和感を覚えた。甲子園名物の焼き鳥を頬張り、あるいはビールを片手に、通常の野球観戦さながらに声援を送っている。
 特に、甲子園に本拠を置く阪神タイガースに籍を置いた選手たちへの声援は尋常ではなく、「頑張れ」「頑張れ」と背中を押す声が飛び交い、生き残りを懸けた戦場の場にしては、華やかでありすぎた印象だった。

 バックネット裏には日本球団の編成部スカウトをはじめ、海の向こうメジャ―リーグや台湾球界のスカウトまで訪れていたが、まるで、楽しいイベントごとのような空気感だった。

 繰り広げられるプレーも淡白だった。
 投手のストレートが145キロを超えたのが、ソフトバンクの巽真悟とあと数人だったし、インコースを強気についていったのはオリックス・バファローズの佐藤峻一と千葉ロッテマリーンズの伊藤義弘ぐらいだった。打者も長打がオリックスの堤裕貴の1本のみ。これが今年の参加選手たちの力量という見方もできるが、プレーに熱を感じることがなかったのは否めない。

 もっとも愕然としたのは、出場選手の多くが凡打のあと全力疾走を怠っていた点だ。
 広島東洋カープの中東直己、堤はまだ真面目に走ったほうだったが、他の選手は凡打であることがわかると手を抜いてしまった。メンタル的に「ファイトしない」というだけではなく、全力疾走しなければその選手の力量は見えてこない。ひた向きな姿勢を見せることはかっこ悪いことではないのだ。

 全力疾走だけではない。
 シートノックから捕手のスローイングを気にかけてみていたが、ストライク返球がほとんどなかった。ストップウォッチでタイムを測っても、2秒を切るかどうかの境目くらいで、送球がきっちりいかない。捕手なら、守備力をアピールすべきはずだが、彼らからはその姿勢を感じることはなかった。野手との兼任で捕手も務めた中東、ロッテの青松慶侑はアピールを怠らなかったが、全体的には非常に残念なシーンだった。

例年以上にトライアウト合格組は少

 もうひとつ残念だったのが、打席を終えた選手たちが次々とベンチ裏に引き上げてしまったことだ。投手はそのポジション上、仕方のないことかもしれないが、打席を終えた選手たちがグラウンドから次々に姿を消し、終盤に差し掛かると、バッテリー以外に一人しかポジションが付いていないということまで起きていたのだ。

 失策するシーンがあると球場からは大きなため息が漏れることがあり、マイナス面を見せたくないという気持ちが作用したのかもしれない。しかし、力がないからこの舞台にいるのもまた事実で、大事なのはまだ改善がみえるレベルなのかどうかではないか。
 プレーする選手のプラス面がどこまであり、課題はどこにあるのか。それさえ乗り越えられれば、変わっていくのではないか。それを見せることに、トライアウトの本当の意義があるのではないか。

 今回のトライアウトに参加した選手の中で、その後に契約を勝ち取ったのは現在のところ、東北楽天ゴールデンイーグルスの榎本葵と阪神の柴田講平だけだという。
 皮肉にも榎本は、先述したポジションが1人になっても、グラウンドに立ち続けた選手だった。センターのポジションからショートフライを追いに行くなどの姿勢が、インパクトを残したのだろう。

 そして、柴田は、投手の最後に登場したのが同じ阪神のトラヴィスだったということで、センターのポジションについていた。ともに戦った元チームメイトの奮闘を支えようという姿勢は、野球人として大事な要素だったといえる。

 昨今のテレビ特番などの影響もあってたくさんの人や関係者から注目されるのは喜ばしいことだし、トライアウトがなかった頃に比べれば、救われた選手も多く生まれているのはまぎれもない事実だ。

 しかし、今はその方向性がひとつのイベントに収まってしまっているように思えて仕方がない。
 アマチュア時代には輝いた選手たちが、プロの世界に何の足跡を残すこともできずに球界を去っていくのは本当に寂しいことだ。
 
 花が咲く可能性のある芽に、少しでも“陽”が当てられるように。
 選手を含め、すべての野球関係者が、トライアウトの意義を今一度考え直さなければいけないのではないだろうか。

]]>
sports NPB,オリックス・バファローズ,スポーツ,データから見る,パシフィックリーグ,プロ野球,北海道日本ハムファイターズ,千葉ロッテマリーンズ,埼玉西武ライオンズ,東北楽天ゴールデンイーグルス http://www.baseballchannel.jp/npb/25472/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25472/ Mon, 05 Dec 2016 06:50:17 +0900 Tue, 06 Dec 2016 19:20:11 +0900 日本版・仮想シルバースラッガー賞を予想。パはやはり大谷翔平の投手、DHでのダブル受賞【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
Getty Images

一塁手の選出は悩みどころ

 MLBでは、1957年にポジションごとに最も守備の良い選手を選出する「ゴールドグラブ賞」が制定された。そして、1980年にはポジションごとに最も打撃の良い選手を選出する「シルバースラッガー賞」も制定された。
 しかしNPBのように、攻守の総合評価である「ベストナイン」という形での表彰はない(シルバースラッガー賞は投手も選出されるが、その選考基準は打撃成績だ)。

 もし日本にもシルバースラッガー賞があったとすれば、誰が選ばれるだろうか?
 シミュレーションをしてみよう。

 各球団のそのポジションでの最多出場選手、規定試合数以上出場した選手の打撃成績。打撃は他のポジションで出場した成績も含む。データの太字はリーグ最多。赤字はそのポジションでの1位。
 データにはその守備位置での出場試合数=守備も入れた。どんなに打撃成績が良くても、その守備位置での出場試合数が少なければシルバースラッガーにふさわしいとは言えないからだ。守備のえんじ色は守備成績での規定試合数以上。MLBでは指名打者制を敷いているアリーグは投手の代わりにDHを選出するが、今回は投手も含めて選出してみた。
Gは今季のゴールデングラブ賞。Bは、ベストナイン。
 安打数順に並べた。

 今回はパリーグだ。まずは内野手から見てみよう。

内野2016

 一塁手は激戦区だ。北海道日本ハムファイターズの中田翔は優勝チームの主軸であり、打点王も獲得した一方、打率が低い。
 福岡ソフトバンクホークス内川聖一、埼玉西武ライオンズのエルネスト・メヒアはともに100打点を超えている。メヒアは本塁打、OPSでも1位。
 悩ましいところだが、打率、安打トップの内川とした。

 二塁手は西武の浅村栄斗が主要指標でトップ。文句なしだろう。
 三塁手は日本ハムのブランドン・レアードとソフトバンク松田宣浩の争いだが、本塁打王レアードで間違いないと思われる。

 遊撃手は守備の評価が高いソフトバンク今宮健太が、10本塁打もしているが、総合的には千葉ロッテマリーンズの鈴木大地と見た。

外野手部門で柳田を選出する理由

 次に外野手と捕手、DHの各部門はどうだろうか。
 まず外野手からだ。首位打者のロッテ・角中勝也は当確、残り2枠を打率順位1ケタに入った6選手が争う図式だ。その中で、盗塁王、打率4位のオリックス・バファローズ糸井嘉男は抜けると考える。
 残る1枠は誰を選出するか。つなぐ打者として優勝に貢献した日本ハム西川遥輝は打率2位、ソフトバンクの柳田悠岐はトリプルスリーを逸し打率5位に終わった。普通に考えれば西川だろうが、柳田は今季、リーグトップの100四球、出塁率.446を記録しており、OPSもリーグ1位だった。貢献度を考えて、最後の1人は柳田とした。

外野手パ2016

捕手は規定打席到達者はゼロ

 捕手において規定打席に達した選手はいない。打撃成績も横並びに近いが、その中では最も多くの安打を打ったロッテ・田村龍弘に当確を打ちたい。

捕手パ2016

DHも投手も大谷がダブル受賞

 DHと投手だ。投手は安打を打った選手すべてを並べてみた。この数字は本来、他のポジションでの打撃成績も含まれるが、大谷翔平の投手での打撃成績は、投手としての登板時のみのものを出す。

DHと投手

 DHはロッテのアルフレド・デスパイネと東北楽天ゴールデンイーグルスのゼラス・ウィーラーが規定打席に達している。しかし、打撃の質でいえば日本ハムの大谷翔平が圧倒的だ。
 パリーグの投手で安打を放った投手は11人しかいない。大谷を除き、交流戦での記録だ。
 大谷は投手として出場時に限っても8安打、1本塁打。打点は、ブランドン・ディクソンが5打点と上回っているが、総合的に大谷が勝っている。

日本ハムとロッテが最多の3人

 仮想シルバースラッガー賞の布陣は以下の通りだ。

パ2016布陣

 日本ハムとロッテが最多の3人、ソフトバンクが2人、西武、オリックスが各1人。打撃項目のみで選手を選出するとなれば、こういう布陣になるのではないか。

]]>
sports NPB,アンダーアーマー,アンダーアーマーベースボールハウス,スポーツ,ドーム,トヨタ自動車,プロ野球,的場寛一,阪神タイガース http://www.baseballchannel.jp/npb/25330/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25330/ Sun, 04 Dec 2016 16:00:50 +0900 Sun, 04 Dec 2016 16:00:50 +0900 的場寛一、ドラフト1位の肖像#4――「ぼくは出過ぎた杭になれなかった。実力がなかった」
田崎健太

社会人野球で好成績

 2005年10月、的場寛一は阪神タイガースから戦力外通告を受けた。翌2006年、トヨタ自動車に入社、硬式野球部でプレーすることになった。

 トヨタ自動車硬式野球部は、1947年創部の歴史ある社会人チームである。元東京ヤクルトスワローズ監督の古田敦也、的場にとっては阪神時代の同僚に当たる安藤優也などを輩出していたが、強豪社会人チームがひしめく東海地区の中では、くすぶった存在であった。

 そのトヨタ自動車は的場の加入以降、2007年、08年、10年の日本選手権で優勝。2009年の都市対抗野球では準優勝という好成績を残している。2010年の日本選手権では的場は打撃賞、大会優秀選手にも選ばれている。

 社会人選手に囲まれ、改めて自分がいたプロ野球との違いを的場は思い知った。

「プロに行けそうな人間とそうでない人間はだいたい分かる。すごいぼんやりした表現なんですけれど、センスが違うんです。例えば、ピッチャーのバント処理。教えなくてもささっとボールを拾って、野手のように身体が使えるのがセンスのいい選手。野手でも、ボールを獲った後、軽くふわっと、綺麗な回転で投げられるのと、そうでない人間がいる。相手が獲りやすいボールを投げる子はセンスがある。ボール扱いのセンスと言うたらいいんですかね」

 内野手の前にボールが転がってくるとする。ボールをグローブで捕球、利き腕で握る。プロの内野手は、握った瞬間にボールの縫い目を感じることが出来るという。

「もちろん余裕があるときは投げやすいように握り直します。ただ、すぐに投げないといけないときもありますよね。この縫い目でそのまま投げたらスライダーみたいな回転になる。ファーストが獲りにくいというときは、敢えてシュート回転で投げたりする」

 転がったボールを拾って、わしづかみのような形で送球しなければならないこともある。そうした際は、腕の振りで回転を調節する。

「野球の試合運びはゆっくりですけれど、水面下では素早い判断が要求されるんです。判断のために、色んな情報を頭に入れておかないといけない。ランナーがどこにいるのか、あるいは打者の足の速さ。一瞬、一瞬のプレー、ちょっとしたプレーで試合の流れが変わることがある。だから細かなプレーをおろそかにしてはならない」

 そんな風に考えられるようになったのは、自由契約になったぐらいのときでした、と的場は自嘲気味に言った。

胸に響いた、下柳剛からの一言

「(入団したときの)野村(克也)監督はそういうことを言っていたんかなと思うこともありますよ。肩を脱臼してクビになったけど、元気やったら客観的に野球を見られるプレーヤーになっていたでしょうし、また違う野球を楽しめたんかなと思うことがありますよ」

 かつての自分にアドバイスできるとすれば、どんな言葉を掛けるかと訊ねてみた。

「目先の結果に一喜一憂するなということですかね。バッターは打っても所詮3割。7割は駄目なわけです。悪いときでも諦めず粘ること。100点か0点じゃなくて、悪いときでも50点を取れるようにする。するといい時には100点が120点になる」

 的場が戦力外通告を受けるきっかけになったのは、2005年3月に自分のふがいなさに苛立ち、グローブを叩きつけて肩を脱臼したからだ。その後、鳴尾浜のグラウンドでリハビリしていたとき、居合わせた下柳剛からこう言われたという。

――もうちょっとプロになれよ。

「下柳さんの言葉が凄く響きましたね。あの人は一線で何十年もやってきている。一喜一憂するのはプロじゃない。一喜一憂しているから、グラブを投げつけてしまうんです。それに気がつくのが少し遅かった。ただ、トヨタ自動車に入ってからは、その経験が生きた。アマチュアの選手って一喜一憂するんです。ぼくは目の前の結果よりも波を作らないことを意識していました」

「ドラフト1位という、いい経験をさせてもらった」

 2012年、的場は社会人選手として現役を引退。一般社員としてトヨタ自動車の運動部の運営に携わることになった。その後、2014年7月から「アンダーアーマー」を扱う「ドーム」に転職している。

 きっかけは阪神タイガースの後輩、喜田剛だった。喜田は阪神、広島、オリックス、ベイスターズと移籍した後、ドームに入社していたのだ。

「ぼくが丁度、山ほど仕事を抱えて、うわーっ、しんどいなと思っていたときでした。喜田はアンダーアーマーベースボールハウスというところで子どもに野球を教えていた。それで様子を見に行くと、ああ楽しそうなやと。やっぱり野球にお世話になってきたので、なんか還元できたらええんちゃうかとずっと思っていたんですよね。加えて、トヨタ自動車はもう完成された会社。ドームというこれから伸びていく企業にも興味があった。それで入社試験を受けました」

 神奈川県川崎市にある、アンダーアーマーベースボールハウスの店長を経て、現在は直営店を管轄する「エリアマネージャー」として働いている。

「エリアマネージャーというのは簡単に言えば店長のサポート役。困ったことがあれば手をさしのべる。直営店は都内だと原宿、そして川崎、札幌、心斎橋、福岡、名古屋にあります。週の半分ぐらいは出張で店舗回りしています」

 大阪の心斎橋店でイベントの手伝いをしていたとき、客から元阪神タイガースの的場だと気がつかれたことがある。

「まさかここで会えると思わなかったと言われて。靴のイベントだったんです。ぼくもこれ履いていていいですよと薦めたら、的場さんが言うならば買うわって言ってくださったんです。その瞬間、嬉しかったなぁ」

 そう言うと、ぱっと輝くような笑顔になった。

 最後にこう尋ねてみた。

 阪神タイガースのような人気球団に逆指名1位で入ったことを後悔していないか。もしプレッシャーの緩い他の球団に入っていれば、選手として成功していたと考えことはないか――

 的場はぼくの問いに首を強く振った。

「それはたら、れば、でしょ。ドラフト1位という、いい経験をさせてもらったと思っています。精神的には動じなくなった。出る杭は打たれるけど、出過ぎた杭は打たれないって言うじゃないですか。それはホンマやと思います。プロ野球というのは、出過ぎないとアカン世界なんです。でもぼくは出過ぎた杭になれなかった。実力がなかったんです」

 阪神タイガースのドラフト1位だったから、こうして取材してもらえるじゃないですか。的場はそう微笑んだ。

]]>
sports NPB,スポーツ,侍JAPAN,北海道日本ハムファイターズ,大谷翔平 http://www.baseballchannel.jp/npb/25464/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25464/ Sun, 04 Dec 2016 11:00:46 +0900 Sun, 04 Dec 2016 11:00:46 +0900 大谷翔平はMLB新労使協定の敗者? 選手獲得ルール適用外か、日米両機構から正式アナウンスを
Getty Images

新協定での変更点

 思わぬ形で大谷翔平騒動が勃発した。メジャーリーグ機構と選手会が11月30日に、新たな労使協定に合意した。その概要が徐々に明らかになり始めると、まず米メディアが反応した。

 CBSスポーツ「なぜ、日本の天才・大谷翔平のメジャーリーグ挑戦を妨げるのか」
 ヤフースポーツ「新ルールにより、大谷のメジャー移籍は2019年のオフまで待たなければならないだろう」
 USAトゥデー「今回の新労使協定の敗者は大谷だ。勝者は日本球界、より長く彼を日本にとどまらせることができるからだ」

 来オフのメジャー挑戦が日米メディアで有力視されている大谷の挑戦が、19年オフまで先延ばしにされると、一斉に報じたのだ。

 米メディアが指摘したのは、海外アマチュア選手獲得時の「インターナショナル・ボーナスプール」と呼ばれる適用範囲の変更。海外アマ獲得時には、球団が契約金限度額を規定されている。新ルールではこの金額が475万ドル~575万ドル(約5億4000万~6億6000万円)。

 ただ海外プロ選手でも、旧協定では23歳未満か、プロ経験4年未満の選手は、例外としてこの「インターナショナル・ボーナスプール」に適用されていた。この条件が、新協定では25歳未満か、プロ経験6年未満と引き上げられたのだ。

 米メディアはここに反応した。現在22歳の大谷が、25歳となるのは19年7月5日。そのシーズンを終えるまでは、最大300億円とも噂される契約総額が、6億程度に抑えられるため、挑戦を待たざるを得ない、というのが彼らの主張だった。

 この時点では「6年未満」という部分は明らかになっていなかった。この条文は現地2日の新協定正式発表後に浮上してきた。なのでプロ4年目を終えた大谷は、年数だけで見れば2018年オフにインターナショナル・ボーナスプールの範囲外になることとなる。

NPBとMLBは日米間選手契約に関する協定を締結

 ところが3日、今度は日本のスポーツメディアがそろって「大谷はインターナショナル・ボーナスプールの適用外」と報じた。ほぼ多くのスポーツ紙が日本野球機構(NPB)関係者をソースとし、NPB所属選手は「日米間選手契約に関する協定」が結ばれており、適用されないという見解を並べた。

 果たして、どちらが真実なのか?

 一つ間違いないのは、このインターナショナル・ボーナスプールは、中南米の選手を対象につくられたものということだ。ドミニカ共和国、ベネズエラなどから10代後半でメジャーに青田買いされる金の卵について、金満球団の一人勝ちにならないよう設定された。

 近年ではキューバ出身の亡命選手が急増したため、海外アマ選手ではないはずの彼らにも、契約金高騰を抑えるため「23歳未満、キャリア4年未満のプロ選手も含める」という条件も追加された。11月にブルージェイズと7年総額2200万ドル(約25億円)で契約したルルデス・グリエルは、この条件の適用外となるために、10月の23歳の誕生日を迎えるまでメジャー球団との契約を待たなければならなかった。そしてトロントとの契約があと1カ月遅れていたら、今回の新協定で条件が「25歳未満、キャリア6年未満」と拡大されたため、メジャー入りがさらに2年後になっていたかもしれない。

 従来、日本球界を向いていなかったはずのインターナショナル・ボーナスプールが、果たして大谷に適用されるのだろうか。マイナー契約など低額の契約はインターナショナル・ボーナスプールの総額に加えられないため、日本選手の契約がそこに加算されたことは過去にない。

米メディアは若干の軌道修正

 ヤフースポーツはその後になり、「新労使協定の真相」とまとめたリポートの中で大谷についても言及。「大谷のような選手には、ルールに手が加えられるかもしれない、と関係者が語った。市場に出れば2億ドル(約228億円)以上の価値がつく。無駄にメジャーデビューを待つ必要はない」と短い原稿で触れた。微妙に軌道修正をはかってきた格好だ。

 米メディアの一報を受け「後出しじゃんけん」に近い形だけに、今回のケースでは日本メディアの主張のほうが信憑性はある。

 一体、いつ大谷は海を渡るのか。答えはすぐには分かりそうもないが、新協定の影響だけでも日米機構から正式なアナウンスがほしい。少なくともファンはそれを待っている。

]]>
sports MLB,スポーツ,ヒューストン・アストロズ,メジャーリーグ,青木宣親 http://www.baseballchannel.jp/mlb/25485/ http://www.baseballchannel.jp/mlb/25485/ Sun, 04 Dec 2016 06:50:31 +0900 Sun, 04 Dec 2016 06:50:31 +0900 【MLB】青木宣親の出場試合数は25歳の若手右打者次第? 米メディア「第4の外野手の立場変わらず」
Getty Images

年俸よりも新しい所属先決定を優先

 シアトル・マリナーズから、ウェーバー公示を経てヒューストン・アストロズへ移籍した青木宣親が、年俸550万ドル((約5億6700万円)で、ようやく正式に1年契約を結んだ。
 ノンテンダーとなり、再びFAとなる可能性もあったが、来季、35歳となるシーズンを、MLB5球団目となるアストロズでプレーすることとなった。

 地元紙『Houston Chronicle』では、青木の契約を以下のように報じている。

“The salary is below market value for Aoki, who was projected by MLB Trade Rumors to earn a $6.8-million deal through the arbitration process. He had been a non-tender candidate, which would have made him a free agent, so the benefit for Aoki is job security at the same salary he made last season when with the Seattle Mariners.”
「年俸が市場価格より安かった青木は、実際『MLB Trade Rumors』の見込みとして、年棒調停の手続きを経れば、680万ドル(約7.7億円)の契約を獲得することができたとされる。ノンテンダーの候補者であったが、再びFAになるよりも今季、シアトル・マリナーズと結んだような契約で、同じ年俸で雇用保障を得るほうが、彼にとって得である」

 調停を経れば今季より高い年棒を手にする可能性もあったが、今年と同じ550万ドルで契約を結ぶことになった。再びFAになって新しい所属先を探すよりも、いち早く声を掛けたアストロズでのプレーを優先した形だ。
 年棒調停権を持つ選手のデッドラインが12月2日とされていたため、ギリギリでの契約締結となった。アストロズにとっては、調停を経なかったことで「お買い得」な契約になった。
 

アストロズにはいなかった巧打者タイプ

 アストロズは、青木のコンタクト率、出塁率の高さ、三振率の低さ、打率が安定している点を評価し、獲得を決めた。

 今季のアストロズは、MLB全体でワースト4位の三振数を記録しており、青木のように選球眼に優れ、三振の少ない左打者は、チームの弱点を補うために効果的であると、加入のメリットを挙げている。

記事では、こう青木を評している。
“Aoki, who will play all of next season at age 35, is considered a below-average defender but a slightly above league average hitter. He has batted between .283 and .288 in each of his five major league seasons but is not a power threat; singles account for 76 percent of his hits. “
「青木は来年シーズンを35歳で迎えることになる。彼は平均以下の守備力ではあるが、リーグ平均を多少上回るバッターである。彼は.283~.288の打率をMLB5年間のシーズンで残してきた。しかし、パワーについては期待できない。彼はヒットのうち76%が単打となっている」

 典型的な単打を並べるアベレージヒッターであり、長打は期待できないと評されている。しかし、今季チームにいなかった選球眼の良い巧打者として、自らの役割を果たしたいところだ。

 なお青木は、ジョージ・スプリンガー、ジョシュ・レディック、ジェイク・マリスニックに次ぐ4番目の外野手として25人のロースター枠に入ると見られている。
 スプリンガーとレディックでセンターとライトを争うため、青木は右投手限定の場合、レフトで出場する可能性が高いと予測されている。

 そのレフトには守備力に定評のあるマリスニックが候補の一人となる。
 左投手が登板している場合はもちろん、守備固めとしての出場も見込まれている。さらに、25歳とまだ若く、チームが出場機会を多く与える可能性がある。

 したがって、チーム状況や対戦投手の利き腕に応じて青木の出場機会は限定的なものとなりそうだ。
 一方で、マリスニックは打率が2割前半と低いため、彼の状態によっては、打撃の良いベテランの青木が多くの試合に出場することもあり得るだろう。

 青木やレディックの獲得で、弱点である左打者の補強に成功したアストロズ。ホセ・アルトゥーベやジョージ・スプリンガーら破壊力抜群の右打者たちと共に隙のない打線を構築し、チームの勝利に貢献することは出来るのだろうか。

<出典>
Astros avoid arbitration with Nori Aoki, agree to one-year deal by Jake Kaplanin chron.com on Nov.30

]]>
sports NPB,スポーツ,プロ野球,無事之名馬,的場寛一,阪神タイガース http://www.baseballchannel.jp/npb/25321/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25321/ Sat, 03 Dec 2016 16:00:17 +0900 Sat, 03 Dec 2016 16:00:17 +0900 的場寛一、ドラフト1位の肖像#3――「2005年、怪我の本当の理由。僕はこれでプロ野球人生を終えた」
田崎健太

03年に外野手へポジション変更

 99年ドラフト会議で、逆指名1位で阪神タイガースに入った的場寛一は、プロ入りして怪我に悩まされた。

 2000年と2001年に2度、左膝を手術。こうしたゆったりとした時間があったことで、入団前後のスポーツ新聞の記事による〝誤解〟を解くことが出来た。

「キャンプ中から、こいつ、思っていたんとちがうなと少しづつ相手をしてもらえるようになった。1年目のオフ、坪井(智哉)さんも一緒に手術していたので、色々とお話させてもらったり、めっちゃお世話になりました。」

 的場はプロ野球の世界は「ぎらぎらしたチーターやライオンとかがいるジャングルの中で生活するようなもんです」と表現する。

 監督を務めていた野村克也の観察眼に感嘆したことがある。

「1年目か2年目、甲子園での広島戦のベンチに入っていたんです。ノーアウト一塁、バッター木村拓也。木村拓也さんのサインを見る仕草を見て、野村監督は〝いつもの見方と違うぞ、1回(ボールを)外せ〟って指示出したんです。そうしたらやはりエンドランで、セカンドランナーを刺したんです。木村さんはバッターボックスに入った後、不安になってもう一度サードコーチを見た。それを野村監督は見逃さなかった。鳥肌が立ちましたね」

 2002年、監督が野村から星野仙一に替わった。翌2003年、伊良部秀輝、金本知憲などが加わった。このシーズンから的場は遊撃手から外野手へとポジションを変更している。

 金本の加入が阪神の野手に強い影響を与えたと的場は考えている。

「金本さんとは(恐れ多くて)直接話はできませんでしたけど、若い選手は先輩の背中を見る。無事之名馬はホンマですよ。下手くそでも丈夫やったら練習できるから、上手くなる。怪我というのは解釈の問題です。骨が折れた、ヒビが入った。医者に診せると安静にしろと言われ、試合に出られない。すると自分のポジションを獲られてしまう。でもちょっと痛いけど、(プレー)できることもある。折れていようが、少々曲がっていようが出来たらそれでええんです。痛みに鈍感な人なら多少ヒビが入ってるぐらいは気がつかないでしょ。ぼくがそう考えるようになったのはだいぶ後のことでした」

 2003年シーズン、阪神は18年ぶりのセリーグ優勝を成し遂げた。翌2004年、監督が岡田彰布となった。

開幕前に大きな期待を寄せられるも……

 指揮官交替は若手選手にとって大きなチャンスでもある。2月21日の紅白戦では3安打を打ち、レギュラー候補の一人とて数えられるようになった。

 しかし――。

 2004年2月29日のオープン戦で的場は右肩捻挫、一軍から離脱。
 岡田は報道陣から的場の怪我に、こう答えている。

〈「結構かかりそうや。抜けてすぐ(肩は)入ったらしい。悔しかったんやろな。ロッカーに帰って(脱いだ)ユニフォームを右手でたたきつけとったと島野さん(管理部長)が言うとった。普通は投げられんぞ。だから大丈夫やろうと思ったんやけど…。(中略)」
「ケガするヤツは調子がいいときにする。チャンスにケガをするな」〉(2004年3月14日付「デイリースポーツ」)

 怪我が癒えたものの、この2004年シーズンの試合出場は2試合に留まっている。

2005年、怪我の理由

 そして、翌2005年3月9日、東北楽天ゴールデンイーグルスとのオープン戦――。的場は九番レフトとして先発出場している。

「あの年はキャンプから好調で、岡田監督も〝(外野は)寛一で行こう〟と言ってくれていたんです。あの日、チャンスでタコったんです。ぼくみたいな選手は毎日オープン戦でヒットとか打って活躍せな、一軍に残れないと思っていたんです。2005年は優勝を狙えるチームでしたから」

 この日、的場は3打数0安打、一つの三振という成績だった。

「ぼく、こう見えて短気なんです。自分に対してむかついて、グラブをバーンって投げたら肩が外れた。肩を脱臼してしまって、それでアウト。ぼくの野球人生は終わりました」

 翌日の記事ではグローブを投げて肩を脱臼したことは伏せられていた。

〈阪神・的場寛一外野手(27)の開幕一軍入りが絶望的となった。9日の楽天戦の9回、レフト線の打球を処理し、二塁へ送球した際に右肩を痛めた。試合後、宝塚市内の病院で検査の結果「右肩関節唇損傷」の診断を受けた。(中略)平田ヘッドコーチも「開幕一軍に入る勢いだっただけに残念」と無念の表情。キャンプから好調で、貴重な右の外野手として開幕一軍をほぼ手中に収めていたが、昨年に続くオープン戦途中でのリタイアとなった〉(2005年3月11日付「デイリースポーツ」)
 
 このシーズンの阪神は、プロ入り2年目の鳥谷敬を二番遊撃手に固定。一番の赤星憲広から始まる、鳥谷、アンディ・シーツ、金本、今岡誠という打線は破壊力があった。それを藤川球児、ジェフ・ウィリアムス、久保田智之の〝JFK〟が締めた。

 2005年9月29日、阪神は甲子園での読売ジャイアンツ戦でセリーグ優勝を決めている。
 的場はその試合を自宅のテレビで見ていた。

「阪神の優勝が近づき、家族は見て見ぬ振りをしてました。でも、この試合は見ておこうと思って、テレビをつけてました。自分の知っている選手ばかりではあるんですけれど、なんか違うチームを見ているような感じでした」

 そして10月5日、戦力外通告を受けた。実働3シーズン、49打数7安打という成績だった。

]]>
sports NPB,スポーツ,プロ野球,広島東洋カープ,鈴木誠也 http://www.baseballchannel.jp/npb/25482/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25482/ Sat, 03 Dec 2016 12:10:46 +0900 Sat, 03 Dec 2016 12:10:46 +0900 鈴木誠也、流行語大賞「神ってる」を生んだ2試合連続サヨナラ弾。過去にもあった“神ってる”劇場

鈴木誠也、4年目の大ブレイク。6月に3試合連続決勝弾

 広島東洋カープ25年ぶり優勝の立役者となった鈴木誠也が、「2016ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞を受賞した。緒方孝市監督が鈴木の活躍を表現した「神ってる」が選ばれ、球界からは昨年の「トリプルスリー」に次ぐ達成となった。

 今季、6月17日と18日のオリックスとの交流戦(マツダ)で鈴木が2試合連続のサヨナラ弾(84年の長嶋清幸以来32年ぶり2人目)を放ち、試合後に緒方監督が「神ってる」と話したのが始まりだった。

 鈴木は同19日の同じカードでも決勝のソロ本塁打をマークし、3試合連続の決勝弾。球団では96年の江藤智以来となる20年ぶりの快挙となった。また、この試合の勝利で、広島はリーグ40勝一番乗りを果たすことになる。

 鈴木は4年目の今季に大ブレイク。4年間の主な成績は以下の通りとなっている。

◆鈴木誠也プロ4年間の成績

13年 11試合 打率.083 0本塁打 1打点
14年 36試合 打率.344 1本塁打 7打点
15年 97試合 打率.275 5本塁打 25打点
16年 129試合 打率.335 29本塁打 95打点

 4年目で初めて規定打席に到達し、セリーグ2位の打率.335を叩き出した。プロ3年目まで6本塁打だった男が4年目で29本塁打を放ち、あと1本で大台の30本に届くまでの活躍を見せた。また打点も100打点に近い95打点を挙げ、大きく飛躍を遂げた1年となった。

「来年も『神ってる』という言葉に負けない活躍ができるよう、これからも精進したいと思います」と語った鈴木。シーズンを通して堂々たる成績を残しただけに、決して“神懸かり的”な活躍だけではなかったことを来季証明してみせる。

89、00、01年…リーグ優勝へ向けた“神ってる”3試合

 今季リーグ優勝に大きく貢献した鈴木。『優勝』という2文字を目指すなかで、過去にも奇跡的な展開で優勝を決めた、あるいは優勝をグッと引き寄せたといえるゲームがあった。ここでは、過去の“神ってた”試合をいくつか紹介したい。

 89年のパリーグは、近鉄、西武、オリックスの三つ巴によるV争いが繰り広げられていた。同年10月12日、西武球場で行われた西武ライオンズ対近鉄バファローズのダブルヘッダーは、西武が近鉄に連勝すれば、オリックスの結果次第で優勝が決まる大一番。そこに立ちはだかったのが、近鉄のラルフ・ブライアントだ。

 ブライアントはダブルヘッダー第1試合の4回表、0対4とリードを許していた場面で、郭泰源から右翼席へ46号ソロを放つ。これが奇跡の始まりだ。

 6回表、1対5と再び4点差をつけられていた無死満塁の場面で、またも郭から47号同点満塁弾を右翼席へかっ飛ばす。さらに、5対5の同点で迎えた8回表、今度は2番手・渡辺久信から右翼ポール際への48号ソロ。マウンド上でがっくり膝をつく渡辺とは対照的に、両腕を挙げて歓喜するブライアント。この3発で近鉄が6対5と勝利する。

 続く第2試合。第1打席に敬遠されて迎えたブライアントの第2打席。高山郁夫から中堅左へ49号ソロを放つ。ブライアントが見せた2試合をまたいでの4打数連続本塁打で、近鉄が14対4で連勝。これで勢いに乗った近鉄は、14日のダイエー戦(藤井寺)で9年ぶり3回目のリーグ優勝を決めた。前年の88年、あと一歩で優勝を逃した近鉄が雪辱を果たした。

 00年、巨人が20世紀最後のリーグ優勝を決めた試合も劇的だった。
 同年9月24日、東京ドームで行われた中日戦、0対4で迎えた9回裏だ。この年、広島からFAで移籍してきた江藤智が中日の守護神・ギャラードから同点の満塁弾を左中間席へ放り込む。

 さらに続く二岡智宏が、右翼席へ4年ぶりのリーグ優勝を決めるソロ本塁打を放つという、奇跡の逆転劇。巨人が9回4点差を逆転した例は、1リーグ時代の46年のパシフィック戦以来54年ぶりのことで、逆転サヨナラでリーグ優勝を決めたのは初の快挙だった。

 その翌年、パリーグ21世紀最初のリーグ優勝の瞬間も奇跡的だった。
 01年、梨田昌孝監督率いる大阪近鉄バファローズは、同年9月26日のオリックス戦(大阪ドーム)の9回裏、2対5と3点差を追いかける無死満塁の場面で北川博敏が代打で登場。北川は、この年ルーキーで抑えを任せられた大久保勝信から「代打逆転サヨナラ満塁優勝決定本塁打」を放つ。優勝決定試合では史上初の幕切れとなった。

 3試合とも、まさに“野球の神様”がもたらした「神ってる」試合であったといっていい。しかし、奇跡を呼び起こした背景には、選手自身のたゆまぬ努力があったからに他ならない。

 リーグ優勝は達成できたが、日本シリーズでは敗れた広島。
 レギュラーシーズンでは神懸かり的な活躍を見せた鈴木も、日本シリーズでは打率.222、0本塁打と悔しい結果に終わった。来季、鈴木が“神ってる”と言われなくなったその先に、広島33年ぶりの日本一が見えているのかもしれない。

]]>
sports Major League,MLB,sports,シアトル・マリナーズ,スポーツ,ダルビッシュ有,ニューヨーク・ヤンキース,ボストン・レッドソックス,マイアミ・マーリンズ,ロサンゼルス・ドジャース http://www.baseballchannel.jp/mlb/25414/ http://www.baseballchannel.jp/mlb/25414/ Sat, 03 Dec 2016 11:00:48 +0900 Sat, 03 Dec 2016 11:00:48 +0900 【MLB】6年目で5球団目、ゴジラを超えた青木宣親。アリーグ西地区V争いは日本人選手在籍球団三つ巴の様相
Getty Images

期限ぎりぎりでの合意

 ヒューストン・アストロズが青木宣親との来季契約に合意したと11月30日に発表した。地元メディアによると年俸は今季と同じ550万ドル(約6億3000万円)。メジャーリーグは12月2日に来季契約をオファーするかどうかの期限を迎える。青木はそこまでに交渉が不調に終わった場合、ノンテンダーFAとして退団する可能性が高いと報じられていた。期限ぎりぎりでの滑り込み合意となった。

 メジャー6年目を迎える来季は、早くもこれで5球団目となる。12、13年をミルウォーキー・ブリュワーズで過ごし、14年はカンザスシティ・ロイヤルズ、15年はサンフランシスコ・ジャイアンツ、16年はシアトル・マリナーズ。そして17年はアストロズ。ここ4年間は毎年所属チームが変わっている。「ジャーニーマン」と呼ばれる、NPBにはあまり見られないMLB独特の立ち位置だ。

 青木のメジャー5球団所属は、実は日本人野手では史上最多となる。昨年の時点で、4球団に所属した松井秀喜(ニューヨーク・ヤンキース、ロサンゼルス・エンゼルス、オークランド・アスレチックス、タンパベイ・レイズ)に並んでいた。ゴジラを超え、新たな歴史の扉を開いたことにもなる。

 所属球団の多さを紐解くと、投手の方が圧倒的にジャーニーマンが多い。日本人メジャーリーガー最多に立つのは、パイオニア的存在の野茂英雄。ロサンゼルス・ドジャースを皮切りに、ニューヨークメッツ、ブリュワーズ、デトロイト・タイガース、ボストン・レッドソックス、デビルレイズ、そして引退を迎えたカンザスシティ・ロイヤルズと7球団でプレーした。

 野茂に続くのは5球団の青木と、並んで大家友和(レッドソックス、モントリオール・エクスポズ=後にワシントン・ナショナルズ、ブリュワーズ、トロント・ブルージェイズ、クリーブランド・インディアンス)と、斎藤隆(ドジャース、レッドソックス、アトランタ・ブレーブス、ブリュワーズ、アリゾナ・ダイヤモンドバックス)の計3人。この上位4人が共通して所属したのがブリュワーズ。日本のファンにはなじみの薄い球団かもしれないが、意外な日本人選手好きが感じ取れる。

GMも青木の能力を高く評価

 野茂と斎藤はすでに現役引退したが、大家はナックルボーラーとして今も現役だ。今年は独立リーグの福島でプレーした。来年3月に41歳となる右腕だが、米スポーツサイトのファン・サイデッドでは先月「トモ・オオカがメジャー復帰を目指している」と特集を組んだ。

「11月2日にはアリゾナ州でオリオールズ、ロイヤルズ、レイズ、ダイヤモンドバックスのスカウトを前に、投球を披露した」と同サイトは近況を伝えた。もしかしたら、メジャー所属6球団目が名乗り出るかもしれない。

 日本では生え抜き選手が重宝される傾向が強いが、それだけ多くの球団を渡り歩けるのも必要とされる能力があり、個性があるからこそ。

 アストロズのジェフ・ルノーGMも「うちにはいないタイプの選手だ。確実に打線の幅を広げてくれる」と青木が持つ高い出塁率と、低い三振率を絶賛する。移籍にも慣れたもので、新天地に溶け込むのにそう時間を必要ともしないだろう。

 アリーグ西地区は連覇したダルビッシュのレンジャーズ。躍進著しい岩隈のマリナーズ。そして2年ぶりプレーオフ進出へ巻き返しをはかる若いアストロズと、日本人メジャーリーガー所属のチームが3強の様相となった。どのチームが制するのか、ペナントの行方も含めて目の離せない地区となった。

]]>
sports Major League,Masahiro Tanaka,MLB,NewYork Yankees,sports,スポーツ,ニューヨーク・ヤンキース,メジャーリーグ,田中将大 http://www.baseballchannel.jp/mlb/25468/ http://www.baseballchannel.jp/mlb/25468/ Sat, 03 Dec 2016 06:50:53 +0900 Sat, 03 Dec 2016 06:50:53 +0900 「田中将大はもうWBCを堪能したはず」侍JAPAN有力候補も、地元メディアは故障のリスク考え、招集を望まぬ声
Getty Images

日本人投手でも最高クラスの選手の1人

 現地アメリカでは注目度が低いと言われるWBCだが、ファンにとってアメリカ代表はともかく自球団から出場する選手は気になるものだ。

 ヤンキース系のニュースを扱う『RIVER AVE BLUE』も「17年のWBCでプレーする可能性があるのはベタンセスだけではない」と題して、ヤンキースからWBC出場可能性のある選手を特集。田中将大も取り上げられている。

 前回大会ではメジャーリーガーを1人も招集せずNPB所属選手だけでWBCに臨んだ日本代表だが、その前の2大会はいずれもメジャーリーガーが参加。
 第1回大会ではイチローと大塚晶則、第2回大会ではイチロー、松坂大輔、城島健司、岩村明憲、福留孝介がメンバー入りした。

If Japan does want current MLB players, Tanaka figures to be near the top of their list. He’s one of the best pitchers in baseball and on the very short list of the best Japanese-born pitchers on the planet.
もし日本代表が今回メジャーリーガーを招集するとすれば、田中はその筆頭となるだろう。彼は球界でも最高の投手の1人であり、日本生まれの投手の中で最終候補となりうる存在だ。

 2013年には24勝0敗という奇跡的な記録を残し、楽天の日本一に貢献した田中。メジャー3年目となる今シーズンは、自己最多となる199.2イニングを投げ抜き、チームトップの14勝、リーグ3位の防御率3.07を記録した。

 勝利数は16勝の岩隈久志と前田健太に及ばなかったものの、イニング数と防御率は今季の日本人メジャーリーガーではトップだ。記事でも述べられている通り、メジャーリーガーを含む現役日本人投手の中で最高のスターターの1人であることは疑いようがない。

 ブライアン・キャッシュマンGMも田中が参加の意思を見せた場合は、出場を止めないことをシーズン終了後に明言しており、本人に参加の意思があれば有力候補の1人となることは間違いない。

WBC期間中に故障したテシェイラの前例も

 一方で記事では「WBCの間に怪我を負うことを考えれば、ファンは神経質にならざるをえない」とし、田中が候補に挙がることをあまり快くは見ていない。

Maybe that was enough for Tanaka? Maybe he’s had his fill of the WBC ? Japan won the 2009, so he has a championship ? and would rather focus on the Yankees in Spring Training and putting himself in the best position to use his opt-out the team in the best position to win? Gosh, I hope so.
(田中は2009年と13年の2度WBCに出ているが、)たぶん田中にとってはそれで十分ではないだろうか。日本が2009年のWBCに勝利し、田中もその優勝メンバーの一員となった。それだけでもうWBCを堪能しただろう。田中はヤンキースのスプリングトレーニングと、チームの世界一(、そして最高の成績を残して絶好のタイミングでオプトアウトすること)に集中するはずだ。私はそう願っている。

 マーク・テシェイラという前例もあるだけにヤンキースファンの気持ちももっともだ。テシェイラは13年にWBCアメリカ代表に選出されるも、大会前の練習試合で手首を故障。シーズン後もDL入りを繰り返し、結局その年はわずか15試合の出場に終わっている。

 ヤンキースからは既にベタンセスの出場が決定。記事では田中の他に、遊撃のディディ・グレゴリアスや、鮮烈なデビューを飾ったゲーリー・サンチェス、コロンビアからの出場が期待されるティート・ポロ(1A+)らの名前が挙げられている。

 自チームのエースがWBCで活躍するのは気になるが、怪我のリスクも考えれば、できることなら出て欲しくない。これがアメリカの野球ファンの本音ではないだろうか。

出典:Dellin Betances isn’t the only Yankee who could play in the 2017 WBC by Mike Axisa in RIVER AVE BLUE on Nov.29 2016

]]>
sports NPB,オリックス・バファローズ,スポーツ,ドラフト1位,プロ野球,入団会見,山岡泰輔 http://www.baseballchannel.jp/npb/25416/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25416/ Fri, 02 Dec 2016 16:00:40 +0900 Fri, 02 Dec 2016 16:00:40 +0900 「“13番といえば山岡”といわれる番号に」。オリックス、ドラフト1位の山岡泰輔と仮契約【会見全文】
どら増田

特に体が小さい子に夢を与えてあげたい

■代表質問

――仮契約を終えて今の気持ちは?

やっとスタート地点に立てたというか、ここからが勝負だなと思っています。

――福良監督は即戦力として期待している。

すごく高い評価をいただいて、1年目からチームを変えられるようなピッチングをしていきたいと思っています。

――自分の持ち味は?またプロになってどんなピッチャーになりたいですか?

自分自身、体が小さいので、体を大きく使って、バッターに攻め込んでいくスタイルをプロでも続けていきたいと思っています。僕が投げるから見に行きたいと思われるピッチャーになりたいです。

――13番という背番号について。

僕自身、はじめての番号なので、“13番といえば山岡”と言われるような番号にしたいと思います。

――プロに入って対戦したいバッター、投げ合ってみたいピッチャーはいますか?

一流のバッターが多いので、ソフトバンクの柳田(悠岐)選手、(日本ハムの)大谷(翔平)選手とは対戦したいなという気持ちはあります。

――大谷選手はバッターとして?ピッチャーとして?

 どっちも(笑)

――キャンプに向けてこれから取り組みたいことはありますか?

シーズン開幕までにしっかり準備をして、最高のスタートが切れるように練習していきたいと思います。

――1年目の目標とプロとしての目標は?

少しでもチームが勝てるように、一戦一戦貪欲に投げていきたいです。プロとしての目標は、山岡選手に憧れて野球をはじめる子どもたちが増えてくれたらいいなと思っています。特に体が小さい子に夢を与えてあげたいというのは、自分自身ずっと思ってきたことなんで、続けてやっていきたいと思います。

「体の使い方や柔軟性が生命線だと思っている」

■囲み質問

――憧れられる選手になりたいということですが、山岡選手が憧れた選手はいますか。

僕自身、誰かに憧れたというのはないんですけど、野球を観に球場に行ったときに、プロ野球選手ってカッコイイなって夢を与えてもらいました。自分が与える立場になったので、少しでも僕が投げるからとか、僕みたいな選手になりたいと思ってもらえるような投球ができたらと思います。

――夢を与えるようになりたいと言っていましたが、そう思ったきっかけは?

球場に行ったときに自分が思ったというのもありますし、野球教室とかで、山岡選手みたいになりたいって子どもたちの声を聞いて野球やってて良かったなと思ったので、少しでも多くの子どもたちに思ってもらえたらいいですね。

――行っていた球場というのは広島ですか?凄いなと思った選手は?

広島市民球場です。特にどの選手というのはないんですけど、僕自身、まだ野球に興味を持ってないときに、親の影響で行ったときに、ポーッと観ていたら凄いなと思ったくらいですね。(それはいつ頃?)小学校低学年だと思います。

――背番号は選べたと思うが、13を選んだ理由は?

他球団も含めて13番は誰というのがないと思ったので、自分が確立したいと思ったのが理由ですね。僕自身、背が小さいので、丸の数字は大きくなっちゃうので(笑)角っとした番号が欲しいなって。

――小さな体格をカバーするために取り組んだことは?

自分の場合、体の使い方や柔軟性が生命線だと思っているので、そこは気をつけて取り組んできました。(特に柔らかい部分は?)柔らか過ぎるのも良くないと思っているので、全体的に他人よりはという感じで、特にどこが柔らかいというのはないですね。柔軟性を保つために、毎日、全身の柔軟はやっています。時間は30分くらいですね。毎日やれば時間が短くても柔らかくなるので。(いつ頃から?)小学校からですかね。

――誰かのアドバイスがあった?

母がバドミントンをしていて、柔軟をしているのを見てマネをしたんですよ。最初はマネをしていただけなんですけど、中学校に入っていくにつれて、体が柔らかいほうがいいという話も聞くようになったので、それから大事なんだなって思って続けるようにしてます。

――バドミントンをお母さんがやられていたというのは、どんなレベルで?

今もやっているんですけど、仕事をやりつつアマチュアのクラブチームでやってます。中学生のときからやっていたみたいで、中国大会とか地方大会に出たり、今でも全国大会に出たりしてます。

――山岡選手といえばスライダーの印象が強いですが、プロでもそこをどんどん投げていきたいですか?

その気持ちもありますけど、スライダーだけじゃ…という気持ちも半面あるんで、どうスライダーを生かすかということを考えながらいきたいなと思います。社会人になってこの3年間で、スライダーだけじゃ通用しないというのが課題として見えたので、そこを直しながら、どうすればスライダーが生きてくるのかというのを考えながら、ピッチングを組み立てたり、他のボールを上手く使ったりしています。

――合同自主トレまで時間はありますが、取り組むことや過ごし方をどう考えていますか?

特別これを変えようというのは、あまり思ってないので、少しでもシーズンや開幕に100%持ってこれるような体作りをして、しょっぱなからバンといけるようにしたいと思っています。

――最初の目標は開幕ローテですか?

 そうですね。そこを評価していただいたというか、期待されている部分でもあると思うので、そこは入れるようにしていきたいです。

――スライダーが(レンジャーズの)ダルビッシュ選手に評価されたことがあったが、プレッシャーを感じていましたか?

 プレッシャーは感じたことないです。見てもらったというのは、凄くありがたいことですし、興味を持ってもらったというのも自分にとってはプラスになりますけど、それが原因でプレッシャーになったことはなかったです。良いプレッシャーというか、(ダルビッシュに)言われたからにはやらなきゃいけないというのもあるので、良い方向に変えようと思いました。

――今度はプロで投げているときに評価してもらいたいですか?

そうですね(笑)

――巨人の田口(麗斗)選手とは連絡を取っていますか?

たまにですね。たまたまテレビに出ていたりしてたら、連絡するくらいです。

――オリックスでは若月(健矢)選手など、ジャパンで一緒に闘った同級生がいますが、連絡は取っていますか?

連絡は取っています。「おめでとう」と言われましたし「よろしく」とも言われましたね。(バッテリーを組む可能性が高いが?)そうなればいいですね!

――高校時代から若月選手、社会人では近藤(大亮)選手と、ジャパンで一緒だった選手と一緒に試合ができるということに関してはいかがですか?

 もともと一緒に野球をやっていた人と、同じチームで試合ができるのは、凄くうれしいです。負けないようにやっていかなきゃいけないという気持ちが自分にとって良い方向に行くんじゃないかなと思います。

――先にプロ入りをされたが悔しさはありましたか?

 そんなに悔しさというのはなかったです。ただ単に応援していました。活躍してくれることが自分にとっても、頑張ろうっていうように思えるので、悔しいと思ったことはないです。

]]>
sports NPB,ジャニーズ系,スポーツ,プロ野球,上原浩治,新人選手,甲子園球場,的場寛一,自主トレ,野村克也 http://www.baseballchannel.jp/npb/25158/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25158/ Fri, 02 Dec 2016 12:10:28 +0900 Fri, 02 Dec 2016 12:10:28 +0900 的場寛一、ドラフト1位の肖像#2――プロ入りして気づくメディアの恐ろしさ「今から考えると少し鬱病」
田崎健太

「的場 上原撃てる」で1面!?

 99年阪神タイガースドラフト1位の的場寛一が、メディアの恐ろしさを知ったのは、入団会見直後のことだった。
 
 12月15日、ドラフトで指名された8選手が甲子園球場と合宿所を見学している。
 
「新聞記者の人から〝甲子園どうですか?〟って聞かれたので〝もう素敵ですね〟と。また別の記者が〝こんなところで左中間真っ二つのツーベースとか打ったらいいですよね〟と話しかけてきたんです。そりゃそうですよねと相づちを打った」
 すると――。
 
 翌日の『デイリースポーツ』紙の一面には甲子園球場に立つ的場の写真に〈いきなりイメージわいた 的場 上原撃てる〉という見出しが踊っている。
 
〈「一番、ショート・的場」。場内アナウンスを受け、緊張の甲子園初打席に立つ。マウンド上には、宿敵・巨人の上原が…。20勝投手の初球は真っすぐ。的場の打球は、快音を響かせた。弾丸ライナーで、あっという間に左中間フェンスに達していた。
「左中間を真っ二つ。悠々の二塁打でしたよ」
 的場は、スコアボードを眺めながらニッコリ笑った。宿敵を打ち砕いた〝甲子園初打席初安打〟。約二秒間のイメージだったが、的場はプロとして生きていく姿を、しっかりと頭に描いていた〉(99年12月16日付)
 
 的場とIBAFワールドカップ日本代表で同僚だった上原浩治は、前年に読売ジャイアンツに入り、20勝4敗という好成績を残していた。
 的場は記者に上原と対戦して二塁打を打ちたいなどと話していない。全く違う内容の記事となっていたことに呆れていた。

突然の広報からの連絡

 さらに――。
 正月、尼崎の実家に滞在していた的場の電話が鳴った。相手は阪神の広報担当者だった。
 
「元旦か2日だったと思います。大学が休みだったんで、ゆっくりしていたわけですよ。そうしたら〝的場君、1月4日空いている?〟と。自主トレ風景を撮影したいので、形式的に甲子園で練習して欲しいっていうんです」
 
 いやいやいや、と的場は一度は断った。しかし、広報の説得で〝自主トレ〟をすることになった。
 
「ぼく、そのとき布団の中にいたんですよ。全然身体、動かしてなかったです。えらいこっちゃと、ボーイズ(リーグ時代)の友だちに連絡して、〝ちょっと手伝ってくれへんか〟と」
 
 翌日の『デイリースポーツ』紙の記事はこうだ。
 
〈真冬とは思えないポカポカ陽気の中で「我が庭」となる甲子園球場の感触を存分に味わった。ランニング、キャッチボール、ペッパーと軽くこなし、約1時間で「甲子園独占自主トレ」をフィニッシュ。「人がいなかったから寂しかったですよ」というジョークも目は笑っていなかった。野村監督が今季に勝負をかけるように、的場もこのプロ1年目に自身の未来を見据えていた〉(2000年1月5日付)
 
 ドラフト1位、期待の新人選手が自ら志願し甲子園で自主トレを始めたという調子である。
 的場はこう振り返る。
 
「内野には入れなかったんですよ。ファールゾーンと外野芝生は使ってもいいよと言われて。でも、友だちと二人でやれることなんか、知れてますよね。キャッチボール、ペッパー、トスバッティング、バッティングはできない。もうええの?っていう雰囲気で終わりました」
 
 スポーツ新聞側から何らかの形で的場の記事を作りたいという要請があったか、あるいは、広報が気を利かせたか――。どちらにせよ、選手のため、ではなかった。

春季キャンプで気が付いた距離感

 2月、春のキャンプが始まると的場は自分に対する先輩選手たちの対応がよそよそしいことに気がついた。
 
「ファン感謝デーのとき、ぼくについての質問があったらしいんですけれど、〝大卒と言っても所詮アマチュアやから1年目は苦労すると思う〟っていうコメントばっかりなんです。俺、なんか悪いことしたかなぁと思ってました」
 
 端正な顔立ちをした的場は、監督の野村克也から「ジャニーズ系」と称されていた。地元尼崎出身、見栄えのいい的場は、関西のメディアにとっては恰好の取材対象になっていた。
 
「関西と九州って温度差があるんです。関西のスポーツ紙にはぼくの記事が一杯出ていたらしいんですけど、(大学生活を過ごしている)九州では出ない。甲子園で志願の自主トレしたりとか、生意気な奴が入って来たと思われていたんです。先輩たちに挨拶したら、どうも風当たりが強い。そこで気がついたんです」
 
 以降、的場は報道陣と距離を置くようになった。
 
「何かを質問されても、そうですねと同意しない。一旦否定して、自分の言葉で言い直さないといけないことを学びました」
 
 また、プロの練習の厳しさは想像以上だった。
 
「当時、暗黒時代の阪神だったじゃないですか? なめていたところがありました。大学ではショートのポジションに五、六人いますから、なかなか練習は回ってこない。プロは一対一」
 
 キャンプ初日から周囲の選手との違いをまざまざと見せつけられた。
 
「プロの選手は派手さはないんですけれど、確実にボールを獲る。アマチュアはイレギュラーしたボールはなんとか獲れたとしても、送球がずれる。プロはちょっとイレギュラーしても何気なく捕球して、普通に投げる。難しいことを当たり前のように出来るのがプロ」
 
 的場は「大学時代、さぼっていたつけが回ってきました」と苦笑いする。
 
「バッティング練習のときに脇腹を肉離れしました。やっぱりオーバーワークで飛ばしすぎたんでしょうね。平田(勝男)コーチは身体に異変があれば言ってこいよと気を遣ってもらいました。しかし、なかなか新人で痛いと言い出すことはできない。また、当時は新人はマッサージを受けることが出来なかった。身体に疲労が溜まるので、自分でマッサージ屋さんを探して通ってました」
 
 プロ1年目の2000年シーズン、4月11日の読売ジャイアンツ戦で一軍デビューを飾った。5月24日の中日ドラゴンズ戦では初ヒットを記録している。
 
 ドラフト1位入団選手として追いかけられるプレッシャーは、的場を精神的に追い込んでいた。
 
「自分が喋ったことと違うことを書かれると、傷つくんですよ。今から考えると少し鬱病みたいになっていましたね。寮に住んでいたんですけれど、みんなと顔を合わせたくないから、朝早くとか夜遅くとか、人がいないときに風呂に入ったりとか。誰とも会いたくなかった。(球場や練習場でも)まずマスコミがいるかどうか見る。そしておらへんなと思ったら、ばーっと帰る。すごい感じの悪い選手やったと思いますよ、当時」

]]>
sports NPB,スポーツ,プロ野球,中井大介,中川皓太,吉川大幾,山口俊,森福允彦,横浜DeNAベイスターズ,福岡ソフトバンクホークス http://www.baseballchannel.jp/npb/25049/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25049/ Fri, 02 Dec 2016 11:00:58 +0900 Fri, 02 Dec 2016 11:56:32 +0900 巨人、山口俊のFA移籍でプロテクト28名予想。人的補償で注目選手は?【死亡遊戯コラム】

人的補償発生の可能性は高い?

2016年度の流行語大賞は「神ってる」に決定。

12月に突入すると同時にプロ野球ストーブリーグも大きな動きを見せた。
1日、FA宣言していた山口俊(DeNA)と森福允彦(ソフトバンク)がともに読売ジャイアンツ入りを表明。
このうち、旧所属先球団の日本人選手年俸上位Bランクと見られる山口には人的補償が発生するケースも想定される。
仮に横浜DeNAベイスターズが金銭補償のみを選択したら、巨人から支払われるのは山口俊の旧年俸8000万円の0.6倍にあたる4800万円。これが人的補償ありの場合は0.4倍で金銭補償額は3200万円(金額は推定)。
その差額、わずか1600万円ということを考えると、DeNAが人的補償+金銭を選択する可能性は高いのではないだろうか。
早速、巨人の支配下選手名簿から外国人選手と今秋ドラフト獲得選手を除外した28名のプロテクトリストを予想してみよう。(森福は入団合意しているが支配下登録はされていないため外した)

投手

1.菅野智之(27)2.澤村拓一(28)3.田口麗斗(21)4.内海哲也(34)5.杉内俊哉(36)6.大竹寛(33)7.吉川光夫(28)8.高木勇人(27)9.山口鉄也(33)10.田原誠次(27)11.宮国椋丞(24)12.戸根千明(24)13.桜井俊貴(23)14.今村信貴(22)15.平良拳太郎(21)

捕手
16.阿部慎之助(37)17.小林誠司(27)

内野手
18.村田修一(36)19.坂本勇人(28)20.片岡治大(33)21.山本泰寛(23)22.岡本和真(20)

外野手

23.長野久義(32)24.亀井善行(34)25.立岡宗一郎(26)26.橋本到(26)27.重信慎之介(23)28.石川慎吾(23)

※カッコ内の年齢は2016年の満年齢

どうしてもファンは自軍の若手選手を守ってほしいと願うが、基本的にFA補強というのは現有戦力を上げるためだ。その補強のためにあえて現有戦力を落とすリスクを犯すというのは考えにくい。
よって、「1軍実績のある選手」「来季戦力として考えられる選手」を中心にプロテクトをした。
今回はこのリストから漏れた注目選手をリストアップしてみよう。

有望選手が多数

【西村健太朗/投手/31歳/13年目】
今季 27試 0勝0敗 防御率3.21 
通算 425試 38勝32敗81S 防御率3.09

12年に32セーブ(防御率1.14)、13年には球団記録の42セーブ(防御率1.13)で最多セーブのタイトルを獲得した元守護神。
この2年間で計140試合と投げまくった代償は大きく、翌14年から成績を落とし、15年は先発調整するも怪我に泣かされ、昨年9月には右肘のクリーニング手術を行った。
今季は27試合で勝敗やセーブはつかず、不完全燃焼の1年に。
まだ31歳で通算425試合登板とリリーバーとしての経験値は申し分なく、2011年シーズンには先発16試合で計93.2回を投げ、7勝5敗、防御率1.92と先発実績もある。
タイプ的にも山口俊の抜けた穴をカバーするには適任ではないだろうか。
ネックとなるのは今季1億3000万円の高額年俸。西村は今オフまだ未更改だが(編集部注:2日に7800万円で更改)、DeNA日本人選手で現在年俸1億円を超えるプレーヤーは、3億円で一発サインした筒香嘉智と36歳久保康友の2名のみ。
西村は今季限りで2年契約が終了し、恐らくダウン提示になるだろうが、12月中に行われるであろう契約更改の行方にも注目だ。

【小山雄輝/投手/28歳/6年目】
今季 9試 0勝1敗 防御率4.85 
通算 55試 8勝8敗1S 防御率2.87

【江柄子裕樹/投手/30歳/5年目】
今季 2試 0勝1敗 防御率7.27 
通算 32試 1勝5敗 防御率3.51

小山は14年に1軍16試合で先発して6勝2敗、防御率2.41の好成績を残した大型右腕だ。
今季終盤から150キロの直球とフォークボールを生かすため、2軍ではクローザーとして起用され、防御率1点台を記録。
江柄子はイースタンで9勝2敗、防御率2.15という好成績で最優秀防御率と最高勝率(.818)の二冠を獲得した。
いわばここ数年の「巨人2軍のエース級」とも言えるアラサー右腕の2人だが、年齢的にも残された時間は少ない。
大化けする可能性を秘めた投手なだけに、DeNAが即戦力を求めるなら獲得も充分に考えられる。

【中川皓太/投手/22歳/1年目】
1軍 2試 0勝0敗 防御率13.50
2軍 14試 6勝1敗 防御率2.49

【長谷川潤/投手/25歳/1年目】
1軍 3試 0勝1敗 防御率8.53
2軍 25試 7勝5敗 防御率2.77

1年目を終えたばかりの両者だが、ともに2軍では主戦投手級の働きを見せた(そして1軍でプロの洗礼を浴びた)。
どちらかと言えば、プロテクトリストは「未来」は守るものではなく、「今」を守るものだ。
じゃなければ、過去に2年目の一岡竜司(現広島)や1年目の奥村展征(現ヤクルト)が外れることはなかっただろう。
仮にDeNAも将来性重視の戦略で来るならば、この中川や長谷川、そして190センチ右腕の15年ドラフト3位与那原大剛の獲得に走る可能性もゼロではない。

【吉川大幾/内野手/24歳/6年目】
今季 50試合 打率.176 0本塁打 1打点 1盗塁
通算 131試合 打率.200 0本塁打 6打点 5盗塁

【辻東倫/内野手/22歳/4年目】
今季 15試合 打率.176 0本塁打 0打点
通算 17試合 打率.162 0本塁打 0打点

吉川大幾は巨人移籍後2シーズンで97試合に出場した内野ユーティリティープレイヤー。
その高い内野守備力には定評があり、年齢もまだ24歳だ。
辻東倫は左打ち内野手。今季イースタンでは46試合(142打席)の出場ながら打率.320を記録した。
しかし、巨人は16年ドラフト1位でアマ球界No.1内野手の吉川尚輝(中京学院大)を指名。
さらに昨季打率.304の立岡宗一郎や15年ドラフト2位重信慎之介も本職の外野に加え、秋季キャンプで二塁挑戦。
吉川大と辻の立場も1年前とは大きく変わった。
DeNAはヤクルトを自由契約となった田中浩康を獲得し、ドラフト7位でも遊撃守備に定評のある狩野行寿(平成国際大)を指名。
彼らとともに内野の底上げ要員として考えると、まだ20代前半と若い吉川大や辻は魅力的な選手だ。

【中井大介/内野手/27歳/9年目】
今季 43試合 打率.196 0本塁打 4打点 0盗塁
通算 185試合 打率.254 5本塁打 33打点 6盗塁

【藤村大介/内野手/27歳/9年目】
今季 5試合 打率.000 0本塁打 0打点 0盗塁
通算 294試合 打率.226 0本塁打 27打点 49盗塁

最後は3年前なら間違いなくプロテクトされたであろうこのコンビ。
89年組の彼らも早いもので来季プロ10年目を迎える。
ここ数年は鳴かず飛ばずで、お互い背番号も降格する来季は選手生命を懸けた1年になるだろう。
ドラ1ルーキー吉川尚輝に背番号0を譲った藤村は、11年に28盗塁でタイトルを獲得したが、この時巨人4番を打っていたのが現DeNA監督ラミレスである。
そして、ラミレスは巨人時代に中井の素質を高く買っており、09年春季キャンプでは当時19歳の中井にマンツーマンの熱血指導を行い話題となった。
果たして、ラミレス監督が自ら元同僚の再生に乗り出すのか?
巨人とDeNA、両球団間のプロテクトリストを巡る攻防戦は始まったばかりだ。

]]>
sports NPB,ウエイトトレーニング,スポーツ,ノーヒットノーラン,プロ野球,体幹トレーニング,剛腕,加藤拓也,広島東洋カープ,柔軟性 http://www.baseballchannel.jp/npb/25171/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25171/ Fri, 02 Dec 2016 06:50:40 +0900 Fri, 02 Dec 2016 06:50:40 +0900 カープドラ1加藤拓也、個性あふれる剛腕投手――全力投球にこだわる理由

自分自身の体をフル活用

 厚い胸板と鍛え抜かれた下半身でマウンドに立つ。
 足を高く上げる投球フォームはテークバックも極めて小さい。この個性から放たれる153キロの速球は圧倒的な迫力を持つ。しかし、加藤拓也には「剛腕」という二文字で語りつくせない魅力がある。

 175㎝の身長は野球界では決して大きい部類ではない。だが、加藤はウエイトトレーニングに体幹トレーニング、さらには柔軟性をも追求し、強く・しなやかな体を作ってきた。そして、この体をフルに活用することを考えたのである。

「大学1年の秋が終わって、直球をより速く、より強く、よりキレのあるものにするため体全体を大きく使おうと思いました。自分の体は大きくはないので、全てを使わないといい球は投げられないだろうと考えたのです」

 その方向性から、足を高く上げて上体の筋肉もフル活用する投球フォームが生まれたのである。
 もうひとつの彼の武器は打者に向かっていく姿勢である。気持ちを前面に出してバッターに向かっていく姿はカープのスカウトたちの評価を高めるには十分なものであった。

「相手に向かっていく姿勢、闘志を出していく姿勢です。相手を抑えるためにベストを尽くすことに集中するうちに、こういうスタイルになりました」

 元来がパワーあふれる力投型である。連投も苦にしない。ペース配分という言葉も無縁である。「僕がそういうピッチングをしても、魅力はないでしょう」。あくまで加藤は全力投球にこだわりを見せる。

球場に見に来てもらえる選手に

 そのための準備は怠らない。体幹トレーニングのメニューは丁寧に時間をかけて行い、キャッチボールも一球一球を確認するように投げている。体のケアにも余念がない。

「怪我をしないことはとても大事だと思っています。故障をしてしまうとチャンスももらえませんから」
 加藤は、全力のマウンドを続けるための準備にも、全力なのである。

 慶応大1年から140キロ台後半の速球で注目を集めてきた。落差の大きいフォークで三振も奪えるピッチングは破壊力抜群である。この9月には、東京六大学野球で史上24人目のノーヒットノーランも達成した。

 25年ぶりリーグ優勝に沸く広島にやってきたのは、個性的な剛腕投手だった。ただ、この男には、豪快さと繊細さを併せ持つ強みがある。

「僕自身、プロ野球を見てきていろんなタイプのピッチャーがいるから面白いと思っていました。万人受けするかどうかはわかりませんが、僕を見に球場に来てもらえるような選手になりたいです」

 優勝パレードに祝賀行事、広島の興奮はまだまださめない。まもなく、この町に、個性あふれる剛腕投手がやってくる。先発かリリーフか、もちろんカープのチーム内競争を戦うことにはなるが、球春に強烈な印象を残してくれることは間違いなさそうである。

]]>
sports Major League,Max Scherzer,MLB,sports,WBC,スポーツ,マックス・シャーザー,メジャーリーグ,ワールドベースボールクラシック,ワシントン・ナショナルズ http://www.baseballchannel.jp/mlb/17878/ http://www.baseballchannel.jp/mlb/17878/ Thu, 01 Dec 2016 16:10:24 +0900 Thu, 01 Dec 2016 16:10:24 +0900 【WBC】日本のライバルは強敵ぞろい、大物メジャーリーガーが次々参戦表明。アメリカはサイヤング賞投手と二冠王ら
Getty Images

日本のライバルに強敵ぞろい

 来年3月に開催がせまったワールドベースボールクラシック(WBC)。
 2月の最終メンバーの発表を前に、既に各国からは多くのメジャーリーガーが参加を表明している。

 以下は参加を報じられた主なメジャーリーガー。()内は11月30日時点での所属チーム。

●アメリカ
マックス・シャーザー(ナショナルズ)、クリス・アーチャー(レイズ)、ジョナサン・ルクロイ(レンジャーズ)、ノーラン・アレナード(ロッキーズ)、アダム・ジョーンズ(オリオールズ)

●ドミニカ
デリン・ベタンセス(ヤンキース)、ロビンソン・カノー(マリナーズ)、マニー・マチャド(オリオールズ)、スターリング・マーテ(パイレーツ)

●プエルトリコ
エドウィン・ディアズ(マリナーズ)、ヤディア・モリーナ(カージナルス)、ハビア・バエズ(カブス)、フランシスコ・リンドーア(インディアンズ)

●ベネズエラ
フェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)、カルロス・カラスコ(インディアンズ)、ミゲール・カブレラ(タイガース)、カルロス・ゴンザレス(ロッキーズ)

●韓国
李大浩(元マリナーズ)、姜正浩(パイレーツ)、金賢洙(オリオールズ)、秋信守(レンジャーズ)

●イタリア
フランシスコ・セルベリ(パイレーツ)、クリス・コラベロ(ブルージェイズ)

●オランダ
ジョナサン・スコープ(オリオールズ)

●コロンビア
ホゼ・キンターナ(ホワイトソックス)

 アメリカからは、ナリーグのサイヤング賞投手であるシャーザーの参加が既に発表されている。野手ではプエルトリコとの2択からアメリカ代表としての出場を決めたアレナードが軸。2年連続で本塁打と打点の2冠を獲得した打撃に加えて、デビューから4年連続GGの三塁守備と、攻守両面でメジャートップクラスの実力を誇る。

 他にも球界屈指の捕手であるルクロイや、6年連続25本以上のジョーンズも参加が決まっており、各ポジションとも核になる選手がいるのは大きい。マイク・トラウトやブライス・ハーパー、ノア・シンダーガードら残念ながら不参加が報じられている選手も多いが、陣容の豪華さでは決して他国に引けを取らないだろう。

 前回覇者のドミニカからは上記4人のスター選手に加えて、ブルージェイズの主砲エドウィン・エンカーナシオンやレンジャーズのエイドリアン・ベルトレもメンバー入りが濃厚。超豪華メンバーで2連覇を狙う。

 前回準優勝のプエルトリコは大黒柱であるモリーナの4大会連続出場が決定。強肩とインサイドワークはもちろん、卓越したリーダーシップはその存在だけでチーム力を大きく高める。二遊間には共にチームをWSに導いた若いバエズとリンドーアが入る予定で、前回日本を破ったチームより手ごわくなる可能性も充分。

日本が強化試合で戦った両国もさらにレベルアップ

 決勝トーナメントに残れなかった前回のリベンジを狙うベネズエラと韓国からも多くのスター選手が参加を表明。エースのヘルナンデスと過去3大会連続出場のカブレラが揃った場合のベネズエラは他国の脅威となりそうだ。韓国からは11月上旬に野手4選手の出場が発表されたものの、カージナルスで76登板の呉昇桓ら投手勢は欠場が濃厚。

 先月日本と強化試合を戦ったオランダには、今季25本のスコープの参戦が決定。ドジャースの守護神ケンリー・ジャンセンや、メジャー最高の守備を誇るアンドレトン・シモンズも参加が濃厚と報じられている。
 同じく強化試合を行ったメキシコも選手登録のなかったエイドリアン・ゴンザレスに加え、ヤシエル・プイグやロベルト・オスーナも参戦の可能性が高く、強化試合より一回りも二回りも強化されたチームで本選に臨んでくるだろう。

 前回初の1次ラウンド突破を果たしたイタリアからもパイレーツの正捕手セルベリや、昨年OPS.886のコラベロが参戦決定。カブスの主砲リゾーが入れば侮れないチームとなりそうだ。大会初出場のコロンビアからは4年連続200イニングのキンターナが初戦のアメリカ戦に先発することが発表されている。大国アメリカを破って大金星を取れるだろうか。

 各国とも予備登録の50人は12月頭、最終メンバーの28人は2月上旬に発表される予定となっている。

]]>
sports NPB,スポーツ,プロ野球,ボーイズリーグ,伊良部秀輝,兵庫尼崎,希望入団枠制度,的場寛一,選手OB http://www.baseballchannel.jp/npb/25156/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25156/ Thu, 01 Dec 2016 11:00:05 +0900 Thu, 01 Dec 2016 11:00:05 +0900 的場寛一、ドラフト1位の肖像#1――忘れられない、阪神入団を決めた時の父の一言
田崎健太

成長の歯車が噛み合った瞬間

「どこでバチッと歯車が合うかは分からない。人の成長はちょっとした一言や、出会いで変わってしまうんです」

的場寛一は自分に言い聞かせるような口調で言った。

的場は77年、兵庫県尼崎市で生まれた。小学生からボーイズリーグの『兵庫尼崎』で野球を始めている。ボーイズリーグは小、中学生を対象とした硬式野球リーグである。その後、愛知県の弥富高校、九州共立大学に進んだ。
そして、1999年のドラフト会議で阪神タイガース1位で入団。

「小学生のときは、そこそこ(野球が)出来ていたから、(将来は)プロ行けるんちゃうかなって思っていました。でも中学校に行くと、周りは大きいのばっかり。中学校の途中から大きくなっておいついた感じですかね。高校は普通の選手でした。ぼくが伸びたのは大学ですね。練習メニューは自主性に任せていて、短所を直すというより長所を伸ばすというチームだったんですよ」

成長の〝歯車〟が噛み合ったのは、大学2年生のときだった。兵庫尼崎の先輩からこう言われたという。

――お前、将来どうしたいんや? 正直な気持ち言うてみ。恥ずかしがらんでええねん。

プロ野球選手になりたいと答えた的場に、その先輩は「その目標に向かって、逆算してみろ、プロ野球選手になるためには、どうすればいいのか考えろ」と言った。

「(プロから指名されるには)大学時代に首位打者とかのタイトルを獲って、全日本に選ばれる。それにはどんな練習をしたらええのか。そんなことをノートに書いていって、(課題を)クリアして行ったんです」

98年、大学3年のとき福岡六大学野球の春のリーグ戦で首位打者、そしてIBAFワールドカップ日本代表に選出された。このときのチームメイトには、二岡智宏、上原浩治らがいる。特に記憶に残っているのは、1学年下の阿部慎之助だった。

「昔から、こいつは(モノが)ちゃうなっていうのはありましたよ。性格も明るいし、プロ向きやと思ってみてました」

的場もまた、俊足巧打の遊撃手として99年度ドラフトの目玉選手の一人として名前が挙がるようになった。

中日が最も良い条件を提示するも……

93年から「希望入団枠制度」が導入されていた。大学生と社会人選手は、1球団二人に限って、希望球団を宣言することが出来るというものだった。抽選を通すことなく、有望選手を確実に獲得できる制度である。

いわゆる「逆指名」だ。

的場には4球団から誘いがあった。中でも熱心だったのが中日ドラゴンズだったという。

「大学3年生のときに、プロアマ交流という制度で中日に派遣されたんです。当時の監督だった星野(仙一)監督が〝あいつ、ええやないか、取りに行け〟とおっしゃったという話を聞きました。すごく嬉しかった」

もっとも良い条件を提示したのも中日だった。しかし、的場は阪神タイガースを選んだ。

「やっぱり、ちっちゃい頃から掛布さんのパジャマを着て生活していたわけですよ。一度はあのユニフォームに袖を通してみたい。(高校生のとき)甲子園にもぼくは出ていないんです。あの球場をホームグラウンドにしているのは阪神でしょ」

そんな球団から熱心に誘われたら断れないでしょと、的場はにっこりと笑った。

matoba2

「阪神に1位って言われるまでは中日2位で行くつもりだったんです。中日の1位は投手を指名する方針。2位でも条件的にはしっかり出しますと言われていたんです。自分の性格的にも1位で脚光を浴びるよりも、2位でこそっと入ったほうがいいかなとも思っていました。マラソンとかでも、ゴールぎりぎりですっと前に行くというタイプだったんですよ。阪神が1位で来るとは思わなかったから」

阪神に決めたと聞いた、父親の康司はぽつりと呟いた。

「ファンの熱心さ、それだけが心配やなぁ」

的場はこの言葉を後から思い出すことになる――。

厳しい父の教え

父親の康司は、的場にとって最初の指導者だった。

康司は80年頃から、スポーツ用品店の経営の傍ら、ボーイズリーグの『兵庫尼崎』のコーチを務めていた。兵庫尼崎は康司の父が創立したチームだった。

的場は3、4才の頃、兵庫尼崎の選手たちが週末、家に泊まりに来たことを覚えている。

的場家は二部屋の小さなマンションに住んでいた。多いときには、その小さな家に十数人の少年が家にやってきた。子どもたちが入れないからと、的場の母は実家に帰らされたこともあったという。

「みんな夜中までゲームして、眠くなってら寝るみたいな感じでした。夜中に車に乗ってみんなで釣りに行ったりもしていましたね。少年野球のコーチと選手はこんなもんかと思っていたけど、今考えたら子どもを育てる環境としては最悪でしたよね」

兵庫尼崎では、大会前に全員が髪の毛を短く刈るという暗黙の決めごとがあった。

ところが主力投手が髪の毛を伸ばしているという話が康司の耳に入った。そこである夜、的場家に寝ていた投手の手足を他の選手が押さえつけて、康司がバリカンで髪の毛を無理矢理刈った。

「羽交い締めにしていたのを覚えていますわ。丸坊主になった頭をぼくがハゲ、ハゲってパチパチ叩いていました」

その投手の名前は伊良部秀輝という。
千葉ロッテマリーンズ、ニューヨーク・ヤンキース、阪神タイガースでプレーした右腕投手である。

「その後、ぼくが小学校5、6年生のとき、伊良部さんがロッテに(ドラフト1位で)入った。チームには〈伊良部秀輝寄贈〉って書かれたバッティングマシンがありました。ぼくらにとっては伊良部さんは(漫才コンビの)ダウンタウンと匹敵する尼崎の誇りですよね」

伊良部の後、兵庫尼崎は何人ものプロ野球選手を輩出している。

早くからずば抜けた能力を示していた伊良部たちを見ていた康司は、息子に冷淡だったという。

「お前なんか(プロに)なれへん、みたいに育てられました。父親から技術とか教えて貰ったことはないです。ほったらかしですよ。だから、ちっちゃい頃からずっと焼きもちを焼いてました。他の選手を家に連れてきて、どっかに遊びに行くけど、ぼくは全然構ってくれない。だから逆に何糞って感じで、できたのかもしれません」

]]>
sports NPB,Spencer Patton,スペンサー・パットン,スポーツ,プロ野球,ワールドチャンピオン・リング,横浜DeNAベイスターズ http://www.baseballchannel.jp/npb/25248/ http://www.baseballchannel.jp/npb/25248/ Thu, 01 Dec 2016 06:50:10 +0900 Thu, 01 Dec 2016 06:50:10 +0900 DeNAが獲得、世界一カブス在籍のパットンは外野も守れる?「新しく学ぶことは常にある。日本が楽しみ」
Getty Images

武器はスライダー

11月23日、横浜DeNAベイスターズはスペンサー・パットンの獲得を発表した。それに先立って報じたスポーツ紙が「世界一カブス」と見出しに記したとおり、パットンは2016年にカブスで投げた。

ポストシーズンのロースターには入れなかったが、パットンはレギュラーシーズン中にAAAから5度昇格し、16登板で21回1/3を投げ、1勝1敗1ホールド、防御率5.48を記録した。一方、AAAでは35登板して36回を投げ、1勝0敗11セーブ、防御率0.75の成績を残した。セーブ失敗は1度しかなかった。

メジャーとAAAの防御率には極端な差がある。ただ、奪三振率に関しては、AAAの14.75ほどではないとはいえ、メジャーでも9.28と悪くなかった。ロイヤルズとレンジャーズに在籍した前年までを含めると、マイナー通算(2011~16年)の奪三振率は12.51、メジャー通算(2014~16年)は9.55だ。

パットンは速球とスライダーを主体とし、チェンジアップを時折交える。『ファングラフス』に掲載されているPITCHf/xのデータによると、2016年のメジャーでの投球割合は、フォーシームが57.2%、ツーシームが7.4%、スライダーが29.7%、チェンジアップが5.6%だった。

フォーシームの平均球速は92.3マイルで、最速でも94.6マイルとそれほど速くない。パットンの最大の武器はスライダーだ。打者がスイングした時のコンタクト率は、フォーシーム、ツーシーム、チェンジアップの各77%以上に対し、スライダーは10%以上も低い66.7%だった。言い換えれば、スライダーは空振り率33.3%を記録した。

ナリーグで救援20イニング以上を投げ、スライダーが投球の25%以上を占めた投手は64人いた。そのなかで、パットンのスライダー空振り率は、真ん中より少し上の30~32位(同率3人)に位置する。突出してはいないものの、スライダーはメジャーで通用するレベルと言えよう。

パットンがメジャーに定着できなかった理由の一つは、制球難だ。2016年にボールと判定されたスライダーは34.5%だったが、他の球種はどれも40%を超えた。その結果、与四球率は5.91に達した。2者続けて歩かせたことも2度あり、うち1度は押し出しで失点した。

AAAの与四球率3.75もそれほど良くはないが、これ以下にとどめられれば、日本で好成績を残すことは可能だろう。来シーズンは29歳の働き盛りだ。監督と英語で話せることも、プラス材料に挙げられる。パットンはツイッターに「新しく学ぶことは常にある。日本でプレーするだけでなく、成長するため、この機会を楽しみにしている。もうすぐ行くからヨコハマ!」と書いている。

今シーズンは投手→外野手→投手も経験

また、パットンは6月28日の延長14回裏に、投手に加えて外野手も務めた。先頭打者を討ち取ると、左腕のトラビス・ウッドにマウンドを譲ってレフトに回り、ウッドが左打者をアウトにした後、再び入れ替わって3者凡退を完成させた。

パットンが守るレフトに打球は飛ばず、外野守備を披露することはなかったが、身体能力は高そうだ。高校時代はバスケットボールもしていて、イリノイ州のサードチームに選ばれた。

日本でも、マウンドと外野を行き来させてもいいかもしれない。1999~2000年の阪神タイガースでは、野村克也監督がよく似た起用し、葛西稔と遠山奬志に投手と野手を務めさせた。この時に2人が守ったのは一塁だったが、野村監督はその前にヤクルトスワローズでもこの策を用いており、高津臣吾が外野を守ったこともあった。

もう一つ、気になるのはワールドチャンピオン・リングだ。パットンも優勝リングをもらえるはずだが、通常、授与式は翌年のホーム開幕シリーズで行われる。パットンは出席できない。

パットンのために、横浜スタジアムで試合前に授与式を催してはどうだろうか。プレゼンターには、スケジュールが空いていそうな最適の人物がいる。カブスでパットンの球を受け、オフに引退したデビッド・ロスだ。授与式だけでなく、始球式でロスが投げ、カブス時代とは逆にパットンが球を受ければ、さらに盛り上がるに違いない。

]]>