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プロで大成しにくい天賦のホームランバッター。通算73本塁打、智弁学園・岡本和真は輝きを放てるか?

2014年度新人選手選択会議(プロ野球ドラフト会議)は10月23日(木)に行われる。高校生投手では、安楽(済美)、髙橋光成(前橋育英)などの上位指名が予想されるが、野手での注目は、智弁学園の岡本和真だろう。

2014/10/09

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自分の失敗を受け入れ、認める度量がある

 そしてもうひとつ、岡本のよさを感じたことがある。この会話の際に、センバツで佐野日大の田嶋大樹に2三振したことも聞いてみた。
 
 岡本が三振した場面は4回表無死三塁(無死二塁から4球目に盗塁で無死三塁に)と6回表1死三塁。いずれも、ベンチは最低でも外野フライを求める状況で、ゴロではなくフライを打ってほしい場面だ。
 
 ところが、岡本はこの2打席のうちでワンバウンドになるスライダーを4度も空振りしている。このときに打つべき球はフライを打ちやすい高めの球。低めの球は完全に捨てなければいけない。
 
 結果が三振だったのがよくなかったのではなく、打つべき球ではない球に手を出してしまったことがよくなかった。それを岡本に振ると、苦笑いしながらこう答えた。
「あれはよくなかったですね。力みました」
 
〝知らないおっさん〟にダメ出しをされれば、ふてくされてもおかしくない。
 だが、岡本は自分の失敗を受け入れ、認める度量があった。
 欠点やよくないことから目をそらす、逃げる選手は成長しない。それがないのが岡本に可能性を感じる理由だ。
 
 プロで課題になるのは、間違いなく現状ではファーストしかできない守備面。
 だが、自分の弱さを受け入れられる岡本ならば、しっかりと取り組むだろう。
 
 ちなみに、高校時代にファーストのみで甲子園に出場した選手でプロで大成した選手はPL学園・清原和博(元オリックス)、浦和学院・鈴木健(元ヤクルト、プロでは主にサード)、帝京・中村晃(ソフトバンク、プロでは外野手)ら数少ない(岡本はセンバツでは背番号5。初戦はサードでスタメンも唯一の守備機会だった初回に失策。4回からファーストへ。以降はすべてファーストでの出場)。
 
 特別に足が武器でもない岡本にとって、守備を補って余りある打撃ができるかどうか。
 
 外国人や実績のあるベテランと重なるポジションでも使ってみたいと思わせることができるか。
 決してハードルは低くないが、岡本にはそれをクリアする資質がある。
 獲得する球団も「育てるべき逸材」として短絡的な思考ではなく、義務と責任として使い続けてもらいたい。
 
 待望久しい和製ホームランアーチストへ――。
 
 入団する球団だけでなく、日本球界が岡本の成長を待っている。

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