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7者連続三振で、日米プロ球団熱視線も「まだまだ」 田中正義(創価大)の未来

ユニバーシアード日本代表壮行試合で創価大・田中がプロ相手に7者連続三振を奪ったことは記憶に新しい。来年のドラフト注目株として注目を浴びるが、本人や周囲も「まだまだ」と慢心は一切ない。

2015/07/22

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高木遊



「外野で走っているあの子を見てください。馬のように跳んでいるような走り方をしているでしょ。来年すごい投手になりますから」

 今から2年前の2013年秋、石川柊太(現ソフトバンンク投手)の取材で創価大グラウンドを訪れていた筆者に、投手コーチの佐藤康弘が囁いた。それが田中正義だった。

 佐藤は創価大を卒業後、プリンスホテルに入社し、バルセロナ五輪に出場した経歴も持つ。現役引退後は母校のコーチとして、これまで小川泰弘(ヤクルト)ら複数の好投手をプロや社会人球界に送り出してきた。その佐藤が、これだけの称賛をするのは珍しい。ましてやこの時の田中は公式戦未登板。高校時代も外野手をしていたという。「田中正義」の名前をノートにメモし、その後は石川の取材を続けた。

大学2年春に鮮烈デビュー

 田中は創価高の出身。1年夏にいきなりエースナンバーの「1」を背負い西東京大会でベスト16に入るも、秋に右肩の関節唇を痛め、以降は投手を断念した。

 だが3年夏に同期のエースが故障を抱えていたこともあり、投手に復帰する。「フォームも忘れていたぐらいなので、うれしさより大丈夫かな?という気持ちでした」と田中は振り返るが、2試合4イニングに登板し、まずまずの投球を見せた。

 そして高校最後の夏を終えて参加した創価大の練習会で田中は投手再転向を首脳陣に直訴した。すると佐藤はすぐに田中のフォームの欠点に気づいた。

「筋力がなかったですし、腕をたためずにうまくトップの位置を作ることができていませんでした。それでいて腕が振れてしまうので、これは怪我するなと」(佐藤)

 そこで大学1年の間は体づくりと故障しないフォーム作りに力を注いだ。

 そして大学2年の春、田中はついにベールを脱ぐ。
 東京新大学リーグ開幕戦の共栄大戦で、4安打11奪三振完封で公式戦デビュー果たすと、全国大会デビューとなった全日本大学野球選手権1回戦の佛教大戦では、東京ドームのマウンドで初回から150キロ台の速球(最速154キロ)を連発し、無四球完封勝利を挙げる。
 続く2回戦でも東都大学リーグ6連覇中だった亜細亜大を相手に5回途中からマウンドに上がると、4回2/3を投げ、2安打8奪三振1失点と好投するなどチームの4強進出に貢献した。

 この大活躍で知名度は一気に全国区となり、2年春の時点ながら「今年(2013年)のドラフトでも1位指名だよ」とスカウトが口を揃える程の衝撃を与えた。

 夏には大学日本代表にも初選出。第27回ハーレムベースボールウィーク(オランダ)では計17回を投げて自責点ゼロと好投し、「日本とは同じように調整ができない環境でも、自分の投球がある程度うまくできました」と国際舞台でも大きな手応えを掴んだ。

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