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寺島はヤクルトで大成するか? 高校BIG4は即戦力にあらず、各球団に問われる「育成力」【2016年ドラフト総括・高校生編】

2016年度ドラフト会議も終了。高校生・大学生・社会人の3カテゴリー別に指名された選手を振り返りながら、総括をしたい。高校生編だ。

2016/10/25

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DeNAが指名した細川は、筒香2世候補

 BIG4以外で最も評価を受けたのは、日本ハムから1位指名を受けた堀瑞輝(広島新庄)だ。田中正義、佐々木千隼と抽選の末で外し、さらに他球団との関係性で指名順位が早まった影響もあるだろう。先発ローテーションを中心に回るようなタイプではなく、宮西尚生(日本ハム)や森福允彦(ソフトバンク)をイメージしての指名ではないか。

 おそらく、日本ハムもその心づもりで獲得しているはずだ。

 ソフトバンクに2位指名を受けた古谷優人(江陵)にとっても、いい球団に指名された。ストレートのMAXが154キロもある選手とはいえ、変化球はまだ発展途上の段階だ。今すぐに彼がデビューするというのはなかなか容易なことではない。ソフトバンクの環境ですくすくと育っていくはずだ。

 千葉ロッテ、DeNA、巨人も高校生を効果的に指名した。

 千葉ロッテは3位で地元の島孝明(東海大市原望洋)を指名した。彼の力量では早々のデビューも期待できるが、ロッテはいかんせん、右投手が飽和状態だ。1、2年目にデビューする必要性がない。じっくりとファームで研鑽の日々を積み、将来的には千葉県野球史上に残る投手に育成したいところだ。

 DeNAは3巡目から立て続けに高校生を指名した。松尾大河(秀岳館)、京山将弥(近江)細川成也(明秀日立)である。特に興味深いのは細川の存在だ。というのも、今のDeNAにとっての懸案事項は和製大砲だからである。

 現在の主砲・筒香嘉智の5年以内のメジャー挑戦を視野に入れると、今のうちから大砲作りは急務だ。そんなチーム事情に、細川がっちりとはまるというわけである。高田GMも「来年にすぐ1軍という選手じゃない。時間は掛かるけど、大砲にしたいと期待している」と語っている。

 巨人は即戦力として期待のできる選手を上位指名で重視した一方、下位で高田萌生(創志学園)、大江竜聖(二松学舎大附)を指名した。高田はストレートの最速が152キロを誇り、高速スライダー、カーブを投げる。甲子園で優勝した今井が今年の夏に評価を上げた投手ならば、逆に、甲子園で評価を落としたのが高田であり、予選で敗退した大江の二人だった。

 持っているポテンシャルに問題はなく、ただ、この夏に結果が出なかっただけだ。ややもするとBIG4を超えうる可能性がある存在だ。もし、高田や大江が4年後に、今井らBIG4を凌駕することがあれば、高田らの担当スカウトの眼力が評価されるはずだ。その可能性を持つ二人である。

 野手では西武が4位で指名した鈴木将平(静岡)はよくこの順位で獲れた。渡辺久信SDもドラフト会議の囲み取材で同じことを語っていたが、走・攻・守の三拍子がそろい、かなり期待できる。最多安打記録保持者の秋山翔吾と同じチームでプレーすることでのプラス要素は必ずあるはずだ。

 オリックス3位指名の山本由伸(都城)、山﨑颯一郎(敦賀気比)、阪神3位の才木浩人(須磨翔風)、4位の濱地真澄(福岡大大濠)、日本ハム5位の高山優希(大阪桐蔭)は素材系で、磨けば光る逸材だ。彼らをどう育成するかも注目だ。

 中日・3位指名の石垣雅海(酒田南)は中・長距離砲かつ守れる。さらに、中日は地元の星・藤嶋健人(東邦)を5位で指名、本人が志望する投手として育成するという球団の方針は実に心にくい。

 球団の事情によって大きく変わる高校生の育成方針。
 例えば昨年はソフトバンクが高橋純平を引き当てたが、じっくりと育成している。一方、中日の1位指名だった小笠原慎之助が早々にデビューしている。この方針の差が数年後にどう現れるのか。

 どの球団に入ったかは運命としか言いようがないが、各球団の「育成力」も問われる時代になってきている。

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