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全国制覇以来の甲子園、前橋育英が挑む二度目の夏。「当たり前のことを積み重ねて負けないチームに」

2013年、高橋光成擁する前橋育英(群馬県)は、初出場初優勝という快挙を成し遂げた。それから3年――スタイルを変えることなく、再び甲子園に前橋育英が戻ってきた。

2016/08/04

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怪我人続出、険しかった甲子園への道

 3年ぶりの甲子園。初出場初優勝という快挙を成し遂げたあの夏以来、再び前橋育英が夏の甲子園に戻ってくる。

 春季大会も制し、関東大会も制覇。第1シードとして夏も堂々の群馬県制覇を成し遂げたのだが、相変わらず特別なことは何もない、と荒井直樹監督は笑う。

「ウチはずーっと一緒ですよ。地道な練習を、ひたすらしつこくやる。特別も、オリジナルも何もない。できることを、一生懸命やる。ほんと、それだけです」

 荒井監督の座右の銘である「凡事徹底」。誰にでもできる当たり前のことを、誰にもできないくらいに一生懸命徹する。それこそがまさに、前橋育英野球部の目指す姿でもある。

 野球の技術だけでなく、連戦を戦い抜く体力、筋力を養うためにトレーニングも重視しているが、選手のほとんどが群馬県の選手で、超高校級と称されるような選手は1人もいない。練習内容も至ってシンプルで、打撃は「相手があって成り立つもの」という荒井監督は、守備や走塁に重きを置き、基礎練習に時間を費やす。前述の通り、「地道な練習をひたすらしつこく」行うのが前橋育英のスタイルで、キャプテンを務める小川龍成選手も「他の強豪校に比べても、練習は本当に普通。オリジナル、と言えるとしたら(左右にスイングしてトスバッティングを行う)両面打ちぐらいです」と言うほどだ。

 野球も生活面も凡事徹底を貫き、コツコツと努力を重ねてつかんだ二度目の甲子園出場だが、実は簡単な道のりではなかった。

 エースの佐藤優人を中心に守備力を誇り、荒井監督も「3年前に似た非常にいい雰囲気があるチーム」というように、武器を備えてはいたが、関東大会直前の練習試合で四番を打っていた三ツ井朋大がフェンスに激突して左手首を骨折。大会が開幕してからも今度は主将の小川が準々決勝で左足疲労骨折、2人の主軸を欠きながら関東大会は制するも、3試合連続ホームランなど飛躍的な成長を見せた飯島大夢が直後の練習試合で右手中指を骨折。「これほど続くか、というぐらいケガ人が多かった」と荒井監督も言うように、万全な状態とは程遠い。

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