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「社長との約束を果たせた」都市対抗V、トヨタ自動車を支えたベテラン捕手・二葉【横尾弘一のプロにつながる社会人野球】

第87回都市対抗野球大会決勝は7月26日の18時から東京ドームで行われ、豊田市・トヨタ自動車が4-0で日立市・日立製作所を下し、18回目の出場で悲願の初優勝を成し遂げた。

2016/07/29

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グランドスラム



色々な欲が出てきた

 木下のプロ入りが濃厚となってきた昨年10月13日、日本選手権、さらに翌年へ向けて意欲的にプレーしていた二葉はしかし、オープン戦前の練習中に左前十字靭帯を傷めてしまう。はじめは部分断裂だと言われたが、精密検査の結果は完全断裂。捕手というポジションや年齢を考えれば、現役続行は無理だと思えた。それでも、「おまえの力が必要だ」と言われて11月4日に手術。苦しいリハビリに励むのと同時に、データ係としてライバルチームの試合に出かけるなど、どんなことでもチームに貢献しようと動いた。

 7月4日、1イニング限定で8カ月ぶりにマスクを被った二葉のパフォーマンスを見て、桑原大輔監督は東京ドームでのベンチ入り25名の最後のひとりを二葉に決める。

二葉祐貴

「今年はプロから細山田武史を採用し、新日鐵住金東海REXの竹村祐太朗君も補強した。第三捕手に出番がまわってくるのは、延長や劣勢で捕手に代打を送る展開。だからこそ経験を買いたいと、監督から言われました。本当にありがたいと思いましたね」

 結果的に、二葉が東京ドームのグラウンドに立つことはなかった。だが、切り札を使わずに済んだからこそ、悲願の黒獅子旗に近づくことができたと言うべきだろう。二葉はこう結ぶ。

「日本選手権と比べてという意味ではありませんが、やはり都市対抗の優勝はひと味もふた味も違う。これで“夏に勝てない”と言われることもなくなりますし、常勝チームへの第一歩を踏み出すことができたと思います。僕自身も、これからの野球人生で指導者への関心など色々な欲が出てきました(笑)。そして何より、豊田社長との約束を果たせたのがうれしい」

 名実ともに社会人野球をリードしていく存在となったトヨタ自動車が、これからどういう歩みを見せてくれるのか楽しみだ。もちろん、欲張りな二葉の野球人生も追いかけたい。

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