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プロ注目の横浜・藤平が挑む高校最後の夏。努力で進化、「自分に一番足りないのは結果」【2016年夏 甲子園を目指す各地区逸材ファイル1 】

今季のドラフト1位候補の一人と目される横浜高の藤平尚真。夏の県大会の初戦も17日と決まり、高校最後の夏は結果で自分の力を証明したいと意気込む。

2016/06/12

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フォークを武器に

 そこで、この春から本格的に取り組んでいるのがフォークの習得だ。もともと持ち球としてあったが、スライダーほどの信頼度を置いてはいなかった。

 春の大会前にはこんな話をしていた。

「ストレートとスライダーは、ピッチングマシンで対策されやすいボール。夏に向けてフォークを磨いていきたい。130キロ中盤のスピードが出るようになるのが、理想です」

 しかし、県大会では、藤平曰く「フォークを投げたのは1球だけ」。ストレートとスライダーでどこまで抑えられるか、考えながら投げていたという。ライバル校の監督からは「フォークを投げると言うけど、本当はそこまでの球種じゃないのでは?」との声も聞こえてきた。

 そんな声を封印するかのようなピッチングを見せたのが、神奈川1位で乗り込んだ関東大会だ。2回戦の千葉黎明戦で先発すると、要所で120キロ台後半のフォークを投じ、空振り三振。さらに、深く握るフォークでカウントを整えるピッチングも見せ、県大会とはまた違った藤平の姿があった。

努力によって進化した姿を結果で証明

 また、クセがばれないように、キャッチャーのサインを見るときには、フォークの握りでボールを持っていた。じつは、昨秋の県大会からずっとこの入り方をしていて、前監督である渡辺元智終身名誉監督からのアドバイスだという。このあたりの備えは、さすがといえる。

 エース格に成長してから、昨夏は県大会の決勝、秋は関東大会の初戦で敗れ、甲子園を逃してきた。いずれの試合も、自ら歩けないほど号泣し、敗戦の責任を背負い込んだ。

「自分に一番足りないのは結果。正直、2年の夏や秋までは自分の才能を頼りにやってきました。でも、それでは勝てない。才能に負けないだけの努力をしなければいけない」

 2年冬から本格的にトレーニングジムに通い始め、肉体強化。体重が7キロ増え、太もも回りも7センチ大きくなった。シーズンに入ってからも週3~4日のペースで、ジムに通っている。

「横浜高校に入ってくる選手は、才能を持っている。そのなかで甲子園に出て、プロに行きたいと思うのであれば、人一倍の努力をしなさい」

 渡辺終身名誉監督から掛けられた言葉だという。努力によって進化した姿を、この夏こそ結果で証明する。

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