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今、三冠王に一番近いのはこの選手だ!データから読み解く大記録の可能性【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。第24回目は、「三冠王」についてだ。

2014/12/05

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三冠王は最も取りにくいタイトル

 今、現役で「三冠王」を獲得した選手は何人?
「え、松中信彦だけだろ?」と答えた方は……残念! 
 
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 正解は、実は2人。ソフトバンクの李大浩も韓国野球委員会(KBO)で三冠王を取ったことがある。ちょっとしたひっかけだ。
 
 打撃三冠王は、プロ野球の各種記録の中でも最も取りにくいタイトルだと言える。
 NPB、MLB、KBOの三冠王の一覧を見てみよう。MLBは1900年以降、それぞれの選手のタイトル獲得数もつけた。
 
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 NPBは78年81シーズン(2シーズン制3期含む)で延べ11人、MLBは114年で14人、KBOは33年で3人。極めて少ない。
 川上哲治、藤村富美男、ベーブ・ルース、ウィリー・メイズ、ハンク・アーロンなど歴史に残る大選手も三冠王は取れなかった。それだけ難しいタイトルなのだ。
 
 三冠王を複数回取った選手は、NPBでは落合博満が3回、王貞治、ランディ・バースが各2回、MLBではロジャース・ホーンスビー、テッド・ウィリアムスが各2回。KBOでは李大浩が2回だ。
 
 三冠王がなぜ難しいか?それは「安打を打つ」と「本塁打を打つ」という性質の違う二つの目標に挑まなければならないからだ。
 三冠のうち「本塁打王」と「打点王」は相関関係が強い。本塁打を打てば最低でも1打点がついてくる。しかし「打率」と「本塁打」の相関関係はそれほど高くない。
 
「本塁打王」と「打点王」の二冠が取れても三冠目が難しいのだ。

三冠王を取るタイプとは?

 三冠王は二つのアプローチがある。
 
 ①アベレージヒッターが、長打力が増して本塁打、打点のタイトルを取る。
 ②長距離打者が、打率が上昇して首位打者のタイトルを取る。
 
 各三冠王のタイトル獲得数を見ると①なのか②なのかがわかる。
 
 MLBでは本塁打数が少なかった時代は①の選手が圧倒的に多い。しかし1920年にベーブ・ルースが54本塁打を打って「本塁打時代」が到来してからは②の選手が多くなる。
 
 テッド・ウィリアムスだけは①のタイプ。1966年のフランク・ロビンソンは②のタイプだが、三冠王のタイトルを取った年以外は打撃タイトルはゼロ。極めてラッキーな三冠王かもしれない。
 NPBでは野村、王などは②のタイプ、他は①のタイプといえる。
 
 いずれにしても選手の実力がピークにあるときに三冠王に手が届く。
 それはNPBでは平均31.2歳、MLBでは26.6歳、KBOでは26歳だ。

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